ラダリングとは|消費者の真のニーズを探るポイントを解説

2024年01月26日

ラダリングとは|消費者の真のニーズを探るポイントを解説

消費者の心を掴むマーケティング施策を行いたい場合、表層的なニーズだけではなく、潜在ニーズも把握することが重要です。このとき役立つ調査手法が、ラダリングです。

ラダリングでは、調査対象者に対して「なぜ?」と繰り返し質問します。回答を深く掘り下げていくことで、対象者自身も気づいていなかった潜在的なニーズを明らかにすることができます。

本記事では、ラダリングの意味、実施時のポイントについて解説します。

ラダリングとは

ラダリングは、商品やサービスの持つ特徴が、消費者の真のニーズ・価値観にどのように結びついているのか、構造的に明らかにするための定性調査手法です。はしご(ladder/ラダー)を上っていくように、徐々に消費者のニーズを深掘りしていくことから、「ラダリング」と名付けられました。

定性調査については、「定量調査と定性調査の違いと使い分けの方法とは?組み合わせた調査方法も紹介」にて詳しく解説しています。

ラダリングの考え方

ラダリングはとてもシンプルな調査手法です。調査対象者に対して「なぜ?」と繰り返し問い続けていくことで、潜在ニーズを引き出します。

例えば、A社の化粧品を購入した消費者に対して、「なぜその商品を選んだのか」とラダリングで質問していくとします。

最初に「香りが好きだから」という回答を得られたら、次に「なぜその香りが好きなのか」と繰り返し質問していきます。

「リラックスできる香りだから」という回答が返ってきたら、さらに「なぜリラックスできることが大切なのか」と掘り下げます。

その質問に対して「ストレス解消に役立つから」という回答が得られたことで、「仕事のストレス解消したい」という真の動機が見えてきました。

このように、小さな理由から出発点となる消費者の真の思いに段階を追って迫っていくことができます。

ラダリングの考え方

ラダリングでは、商品・サービスの「属性」→「機能的な価値」→「情緒的な価値」→「真のニーズ(価値観や信条)」と、段階を追って深掘りすることで、消費者の選択理由を可視化します。

ラダリングでできること

ラダリングは以下2点においてビジネスに役立てることができるため、商品開発や広告改善などでよく使われます。

ブランド戦略の方向性を見きわめられる

ラダリングを用いることで、商品やサービスが持つ機能や特徴と、消費者の潜在的な価値観や欲求との結びつきを可視化できます。

例えば、ある商品を選択する理由として「価格が手頃である」ことを消費者が挙げた場合、ラダリングによってその背景に「家計に負担をかけたくない」「長く使えるものを選びたい」といった真の動機や価値観があることが分かってきます。このように、消費者と商品特性の結びつきを構造的に理解することで、低価格かつ耐久性の高い商品を提供するなどの戦略をたてられるようになります。

消費者理解が深まれば、ブランドの認知度向上や、ブランド想起の強化など、自社が今後どのようにブランド戦略を進めていくか、方向性を見きわめることにも役立ちます。

商品開発・改善のヒントを得られる

商品開発・改善を行う際、消費者全てのニーズに応えたいと思い、あれもこれもと要素を盛り込みたくなってしまうことがあります。しかし複数の改善を並行で進めるのはコストがかかるうえ、何がその商品にとって一番の価値なのか、消費者に伝わりづらくなってしまいます。

ラダリングを通して、消費者の真のニーズにつながるヒントを把握することができれば、どの価値提供に焦点を当てた施策を行えばよいかが明快になります。また、ニーズに迫る価値提供を行うことで理解を得ることができれば、結果としてリピーター獲得にもつながる可能性があります。

ラダリング実施時のポイント

ラダリングを実施する際は、以下4つのポイントを意識することが大切です。

調査対象者が答えやすい聞き方を意識する

真のニーズに迫るために「なぜそう思うのか?」を繰り返し、深く掘り下げていくのがラダリングの基本です。だからと言って、何について聞かれているのかがはっきりしない質問を繰り返すと調査対象者が困惑してしまい、本心とは異なる回答をしてしまう可能性もあります。

質問者は複数の質問をあらかじめ用意しておくなどして、調査対象者が落ち着いて自然に回答できるよう意識することが重要です。

▼ラダリングでの質問例

  • あなたの率直な意見を教えてほしいです(安心感を与える)
  • あなたはなぜそう感じるのでしょうか?(主観の回答を促す)
  • あなたはどんな時にそう思うのですか?(具体的な場面を想起させる)
  • つまり、どういうことですか?(別の言葉に置き換えて探る)

対象者条件を適切に設定する

評価対象となる商品・サービスへの理解が浅い、あるいは思い入れがない人を調査対象者にしてしまうと、「なぜそう思うのか?」と考えても、なかなか答えることができません。そのため、ラダリング前にはスクリーニングを実施し、調査対象者の条件を適切に設定することが大切です。

また、質問を繰り返していると、「化粧が楽しくなるから」という情緒に関する回答の後に、「保湿力が高いから」という属性に関する回答へと、下の階層へ戻ってしまうこともあります。このような階層の飛躍があっても気づけるよう、質問者自身も詳しい人であることが求められます。

スクリーニング調査は、「スクリーニング調査とは?注意点・質問の作り方・質問事例なども紹介」で詳しく解説しています。

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先入観が入らないように注意する

ラダリングに限らず、インタビューを行う際に注意しなければならないことの一つが、質問者の先入観が調査対象者へおよぼす影響です。あいづちや問いかけに主観を入れず、回答者を誘導してしまうことがないよう、あいづちは基本的にオウム返しにします。

質問の進め方は、「この商品をどう思いますか?」など、全体的な質問から始めることがポイントです。そこから徐々に、「この商品のどこが好きですか?」など、より具体的な質問をしていきます。こうすることで、回答者は全体像を把握して無理なく質問へ回答できるようになります。

結果の解釈は客観的な目線で

インタビュー結果の分析をする際には、都合の良い解釈をしてしまわないように注意します。質問者や商品開発担当者など、調査に関わる関係者が複数人で意見を交換しあい、偏った解釈にならないような工夫が必要です。

まとめ|ラダリングで消費者の価値観を明らかにする

ラダリングは、消費者に質問を繰り返すことで、商品やサービスの特徴が消費者の価値観にどうつながっているか定性的に明らかにする手法です。消費者が商品を選択する理由を構造的に可視化できるため、商品開発やブランド構築の際には、大いに役立ちます。

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よくある質問

Q1.ラダリングとはどのような考え方?

ラダリングの考え方は、調査対象者に「なぜ?」と質問を繰り返していくことです。質問を繰り返して深掘りすることで、「属性」→「機能的な価値」→「情緒的な価値」→「真のニーズ」と階層を深めていくことで、消費者の価値観を明らかにすることができます。

詳しくは、「ラダリングの考え方」の節をご覧ください。

Q2.ラダリングでできることは?

ラダリングを用いることでどのような勝ちに焦点を当てるべきか明確になるため、商品開発・改善のヒントを得る際に有効です。また、ブランドイメージを構造的に可視化できるため、ブランド戦略の方向性を見きわめる際にも役立ちます。

詳しくは、「ラダリングでできること」の章をご覧ください。

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