トラッキング調査とは?調査の意味と目的をわかりやすく解説

2021年11月22日

トラッキング調査とは?調査の意味と目的をわかりやすく解説

続々と新製品が生まれる現在においては、継続的に市場内の自社ポジション、ブランディングを確認する必要があります。

  • 新製品
  • ブランド浸透度
  • ブランド認知度
  • 顧客満足度
  • ブランドエクイティ

上記の確認には、トラッキング調査が効果的です。
トラッキング調査を活用することで、自社のフェーズに応じたマーケティング戦略の立案ができます。

この記事では、トラッキング調査の位置づけ、意味をわかりやすく解説します。

トラッキング調査とは

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トラッキング調査
特定の条件を満たす同一の母集団から人数を選抜し、同一の調査内容を一定の間隔で繰り返す調査方法。定点調査のひとつで、ベンチマーク調査、追跡型調査とも呼ばれる。

トラッキング調査は一定間隔で同じ内容の質問を繰り返し実施するため、時系列に沿った変動を確認できるのが特徴です。

トラッキング調査では、回答形式の制限はありません。したがって、選択肢、自由回答共に利用可能です。

トラッキング調査・アドホック調査・パネル調査の違い

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トラッキング調査とよく混同されやすい調査方法に「アドホック調査」と「パネル調査」があります。

アドホック調査とは

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アドホック調査
調査が1回で完結するように設計される調査。そのときどきで調べたいことや検証したいことのためにアンケートを設計するため、融通がききやすい。

アドホック調査は、アンケート調査でも最も良く使われている調査手法です。
アドホック調査とトラッキング調査を組み合わせて使われることもあります。

例えばトラッキング調査を行う前に、単発でコンセプト調査を行ったり、トラッキング調査で得たデータから仮説をさらに深堀るため実施されたりもします。

パネル調査とは

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パネル調査
同じ回答者に対し、同じ内容の調査を定期的に繰り返し実施する調査方法。調査対象を固定化(パネル化)することからパネル調査と呼ばれる。

パネル調査は時間軸で回答データの推移を追うために使用します。

例えば、ターゲットの動向を追うことで、ブランドスイッチのタイミング、どの程度の人がブランドスイッチをするのかといった割合を調べることができます。

ただし、継続して調査を実施するのでコストがかかりやすい調査方法ともいえます。
トラッキング調査は調査毎に調査対象を変更するのに対し、パネル調査では同じターゲットに対しアンケートを実施し続けます。

トラッキング調査の利用用途【期間別】

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トラッキング調査を実施する際は、調査データの利用用途に応じて適切な期間を設定することが重要です。

調査期間には日次、月次、年次の3パターンがあります。
具体的な例と判断基準を以下で説明します。

日次で取得する場合

複数のマーケティング施策を打ち出すような場合は、日次でのトラッキング調査が有用です。

日次で調査することで、どの施策が最も顧客に影響を与えたのかの判別が行いやすくなります。

例えば、ブランド認知度を向上させるために、WEB媒体の広告、テレビCM、雑誌媒体での広告を同期間で打ち出したような場合には、日次のトラッキング調査がおすすめです。

毎日複数媒体を定点調査することで、一時的な要因に振り回されず総合的に優れている媒体を見つけ出すことができます。

月次で取得する場合

一定期間内に1つの施策を行い、その効果検証を行うときに適しているのが月次の方式です。

よって月次でデータを取得する際は、ある測定期間に対し、同時に施策を打ち出さないのが一般的です。

ちなみに、新商品のブランド認知度を確認したいようなときに、認知度把握を日次で行うべきか月次で行うべきか迷うかもしれません。

このとき、1つの施策しか実行していないのであれば、月次単位でトラッキング調査が向いているでしょう。

年次で取得する場合

年次でのトラッキング調査は、既存のブランドイメージや既存商品のブランド認知度を調査するような場合に用いるのが一般的です。

年次単位は短期間の変動が見られないため、比較的需要が安定した商品や企業ブランドの把握のために利用されています。

したがって、まだ顧客に浸透していない新商品や新ブランド立ち上げの効果測定には向きません。

ただし、新製品の市場浸透度を計測する場合は年次よりは日次・月次のほうが向いています。

トラッキング調査の方法

トラッキング調査はさまざまな用途で活用される調査手法ですが、ビジネスにおいては新商品や、新ブランドの浸透状況を把握する場合に活用されることが多いです。

ここでは、「新商品が市場にどれくらい浸透しているのか」を調査するという目的でトラッキング調査を実施する例を元に、調査方法を説明しましょう。

今回の新商品は「化粧水A」で、顧客ターゲット層は以下の通りです。

◆化粧水Aのターゲット

  • オーガニックにこだわる20代後半の女性
  • 「肌を若く保ちたい」という美容に敏感な人

化粧水Aは今後インターネットをメインの販売経路と考えていますが、売れ行きの予想が立っていません。
そのため、そもそもこの化粧水がどれくらい市場に浸透しているのか調べるため、SNSを活用してトラッキング調査を実施することにしました。

この調査では競合となる商品と化粧水Aをアンケート上で表示させながら、化粧水Aとの認知度を比較します。

この際の調査手順は以下のようになります。

  1. トラッキング調査を実施、認知フェーズ毎の人数を確認する
  2. 多数を占めるフェーズの人数を確認する

ただし、認知フェーズを集計するためにはその前提となるブランド浸透度のモデルが必要です。そのため以下のようなモデルを自社で作成しました。

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※入手可能集合:消費者が手に入れることのできる全ブランドが含まれる集合。今回の例では化粧品メーカー全てが該当する。

さっそく、トラッキング調査を実施します。

1.トラッキング調査を実施、各フェーズ毎の人数を確認する

先ほど提示した「ブランド認知のフェーズ」を活用できるように、トラッキング調査の質問は以下のように設定しました。

◆トラッキング調査で利用する質問

  1. 上記の商品の内、名前を知っている商品はどれですか?
  2. 名前を見たことがない商品はどれですか?
  3. 見たことはあるが、購入したことがない商品はどれですか?
  4. 今までに購入したことがある商品はありますか?
  5. この商品以外は購入しないというものはありますか?
  6. 購入してもよい商品はどれですか?
  7. 購入を検討している商品はどれですか?
  8. 絶対に購入しない商品はどれですか?

上記の設問を「競合となる商品」と「化粧水A」をWEB上のアンケートで表示させながら、化粧水Aとの認知度を比較しました。

例えば調査結果で「2.名前を見たことがない商品」でチェックを付けた人数が多かった場合、「そもそも化粧水Aは顧客に認知されていないらしい」と判断できます。

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上記のアンケートは、ブランド認知度の洗い出しのために何度も使用できる設問のため、トラッキング調査で繰り返し活用できます。

このように、何度同様の質問を繰り返しても、結果をマーケティング戦略に有効活用できる設問を作成することで、トラッキング調査の有用性が高まります。

2.多数を占めるフェーズの人数を確認する

トラッキング調査で自社商品の認知フェーズが明らかになったことで以下のようなマーケティング施策を打ち出すことができます。

  • 名前すら知らない:認知度が不足しているため露出度を増やす
  • 興味はない:商品の魅力が伝わっていないため、宣伝ポイントを見直す
  • 購入検討はしない:アドホック調査で検討理由の洗い出しを行う
  • 現在保留中:差別化が不十分なのか、スイッチングコストが高いのか、あるいは両方かを確認する
  • 迷っている:最終購買要因の洗い出しを行い、リターゲティング広告などの活用も検討する

このようにトラッキング調査を実施することで、自社の現状を正確に捉え直し、最適なマーケティング施策に繋げることができます。

【トラッキング調査】実際の活用事例

ビジネスにおいてトラッキング調査は、以下のような場面で活用されています。

◆トラッキング調査活用事例

  • 飲食店チェーン(CS向上事例)
  • クレジットカード会社(新商品の浸透率測定事例)

飲食店チェーン(CS向上事例)

チェーン店では、一つの店舗におけるイメージ悪化がチェーン店全体のイメージに影響するため、顧客満足度が低い店舗は本部から改善指令を出す必要があります。

しかし、各店舗に対する顧客満足度やイメージの実態を本部が把握するまでには時間がかかり、本部まで情報が上がる頃には既に手遅れという課題がありました。

こうした顧客のイメージをいち早く本部が認知し、各店舗のイメージをすぐに改善できるように、飲食店Aチェーンでトラッキング調査が利用されました。

飲食店Aチェーンでは、顧客の声を365日回収する仕組みを整え、毎日顧客から寄せられるフィードバックを本社宛に共有できる仕組みを作り上げました。

その結果、アンケート結果を本部が迅速に分析できるため、支店の状況や問題把握がいち早く行え、CS向上に寄与しました。

現在では、各店舗毎の顧客満足度を定量化して計測でき、緊急性が高い問題にも本部がいち早く対応できる仕組みが整っています。

厳密にいえば、同じ顧客が何度もお客さまの声を記載する可能性があるため、純粋なトラッキング調査ではありませんが、トラッキング調査を活用した応用事例だといえます。

クレジットカード会社(新商品の浸透率測定事例)

クレジットカード会社はサービス内容が類似しているため、他社との差別化がしづらいという特徴があります。

商品の差別化には、自社と他社のポジションを定点で捉え、顧客のブランドイメージを逐一把握することが課題です。

そこでこのクレジットカード会社では、他社との差別化を図るために、新商品立ち上げの段階からトラッキング調査を活用しました。

トラッキング調査のターゲットは子持ちの40代の女性。このターゲット層が求めるニーズを明らかにするために、商品浸透モデルを利用し、WEB上でトラッキング調査を進めました。

トラッキング調査で明らかになったのは、認知度の高いクレジットカードはどれも特定のスーパーで利用するとポイントが何倍も溜まるカードでした。

そこで自社商品の訴求ポイントを「他のクレジットカードにはないさらにお得なキャッシュバック」に変更したところ、自社商品の認知度は上昇。結果として他社との違いも明確に顧客に提示でき、クレジットカードのシェアを獲得することができました。

トラッキング調査を実施したことで、新商品の普及に成功した事例です。

まとめ | 自社に適切な調査方法を利用しよう

本記事では、トラッキング調査を解説しました。

トラッキング調査は、新商品の浸透状況を確認する際に活用できますが、目的によっては他の調査方法が優れている場合もあります。

ただし市場調査を実施することは、自社のマーケティング戦略の立案に欠かせないのは確かです。

今後自社で何をしたいのかを明確に決めた上で、市場調査を実施しましょう。

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