SWOT分析とは?内部環境・外部環境の4要素や分析方法を解説

2022年05月18日

SWOT Analysis

マーケティング戦略の立案では、自社を取り巻く市場や環境分析が欠かせません。こうした環境分析がシンプルに行えるビジネスフレームワークにSWOT分析があります。
SWOT分析は4要素から構成され、自社を取り巻く環境を分析し、強みや弱みを把握するフレームワークです。

SWOT分析を派生したクロスSWOT分析も一緒に行われることが多く、クロスSWOT分析は戦略の方向性がより検討しやすくなるメリットがあります。
この記事では、SWOT分析の概要や分析方法などを解説します。4要素の抽出方法のコツも解説しますので、ぜひご参考ください。

SWOT分析とは?

swot1

SWOT分析とは、マーケティング戦略立案において、初期段階の環境分析に使われることの多いビジネスフレームワークです。

SWOTはStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4要素から構成されています。

SWOT分析では、上記4要素のうち縦軸を「内部環境」と「外部環境」、横軸を「プラス要因」と「マイナス要因」に分けて分析します。

SWOT分析をさらに派生させたクロスSWOT分析では、4要素をそれぞれかけ合わせ、4つの戦略を検討します。クロスSWOT分析は、マーケティング戦略の方向性を検討する上で有用です。

SWOT分析の他にも環境分析が行える分析方法に、PEST分析や5F(ファイブフォース)分析、3C分析などがあります。しかしこれらの分析方法はマーケティング戦略立案に精通しているコンサルタント向けのビジネスフレームワークであり、実施難易度は高めです。

その点SWOT分析は、これらの分析方法の中で一番シンプルであり、取り組みやすい分析方法だといえます。

またSWOT分析は業界のあるべき姿ではなく、自社独自の見解が得られやすいのが特徴です。同業種でも異なった結果が導き出されることが多いため、他社と類似する戦略に繋がりにくい点もSWOT分析の魅力だといえるでしょう。

SWOT分析の4要素【内部環境・外部環境】

SWOT分析の内部環境と外部環境は、以下の通りに分類されます。

  • 内部環境:経営資源など、社内でコントロールできる領域。Strength(強み)とWeakness(弱み)が該当する。
  • 外部環境:市場動向や競合他社の動きなど、社内でコントロールできない領域。Opportunity(機会)とThreat(脅威)が該当する。

ここで、4要素それぞれの内容について詳しく見ていきましょう。

Strength:強み

Strength(強み)とは、目標達成にプラスの影響を与える経営資源や武器のことを指します。

強みは顧客の購買理由になりうる、売上・利益向上につながる具体的な強みが該当します。したがって競合と比べて有利に働くことや、重要な取引条件であることなどが該当します。

社風や労働環境が良い、顧客が評価しているポイントなど、世間的に見た良さや強みでは必ずしもない点に注意しましょう。

裏を返すと、一見強みに見えない部分でも、自社の優位性が保てる強みと判断できれば十分強みになりえます。

◆強み発掘のヒント一例
  • 技術開発力
  • 知的財産
  • 蓄積されたノウハウ
  • ブランド認知度
  • 製品・サービスの品質

Weakness:弱み

Weakness(弱み)とは、目標達成にマイナスの影響を与えうる経営資源等を指します。

単純に悪い点や改善点ではなく、機会や可能性に活用できない経営資源やネックな点が弱みに該当します。

弱みの抽出を深めると、できない理由の深堀につながる恐れが高いため、弱みの抽出にはあまり時間をかけないことがポイントです。

◆弱み発掘のヒント一例
  • 顧客ニーズに対応していない項目
  • 設備面での不備や弱み
  • 顧客開拓・販促におけるウィークポイント
  • クレームの多い項目

Opportunity:機会

Opportunity(機会)とは外部環境のうち、目標達成にプラスの影響を与える要素を指します。具体的には市場拡大や競合よりも優位性が保てる要素などが挙げられます。

機会を抽出し分析することで、ニッチなニーズや市場を見つけられる可能性が高くなります。

機会を深く追求・発掘することで、SWOT分析・クロスSWOT分析の精度が高まるとされており、機会は4要素の中でも一番核心部分だと言われています。

以下のような外部環境の項目単体は、捉え方によって機会にも脅威にもなりえます。

機会を発掘する際は以下の各項目に対し「どのようなビジネスチャンスが期待できるのか」「売上増は見込めるのか」等を検討しましょう。

◆外部環境の例
  • 法改正
  • WebやSNSの活用
  • 円高・円安
  • 少子高齢化
  • 国内外への販路拡大
  • 政権交代
  • 国内外の社会情勢

Threat:脅威

Threat(脅威)とは外部環境のうち、目標達成にマイナスの影響を与えうる要素を指します。市場や顧客、政治、流通など、自社の頑張りだけではどうしようもない環境が該当します。

市場変化や時代の流れなど、抽象的に脅威を捉えると、次々と脅威が挙げられてマイナスな議論につながりやすくなります。

したがって脅威を抽出する際は、外部環境がどう脅威になりうるのか、具体的に考えていくことがポイントです。

上記「◆外部環境の例」の各項目において、「どのような外部環境が自社の脅威に関係しそうか」、「具体的にどのような脅威になりうるか」等を検討しましょう。

SWOT分析の方法

これからSWOT分析の具体的な方法を4ステップに分けて紹介します。

SWOT分析は4要素を掛け合わせた「クロスSWOT分析」と合わせて行うことが多いです。

SWOT分析では「機会」に「強み」を当てていく姿勢を重要視します。加えてクロスSWOT分析でも「機会」と「強み」をかけ合わせた「積極戦略」が4戦略の中でも一番重要視される戦略です。

このように4要素の中でも、「機会」と「強み」に注力する点をあらかじめ押さえておきましょう。

1.SWOT分析の対象を定める

まずSWOT分析を行う前に、分析を行う対象を定めましょう。対象は主に以下3種類に大別されます。

  • 自社(他社)全体
  • 自社(他社)の複数事業
  • 自社(他社)の一事業

特に機会や脅威は範囲が広く、対象を絞らないと際限なく抽出・分析が行えるため、事前に対象を絞り、効果的な分析につなげましょう。

2.外部環境の情報収集・要素の抽出

最初は外部環境の情報収集・要素の抽出から行っていきます。

外部環境のうち機会の抽出は、4要素の中でも一番時間をかけて検討すべき要素です。

機会の内容が薄いと分析内容が表面的になり、強みの抽出・分析にも悪影響を及ぼすためです。

一方脅威の抽出は、対策が現実的に厳しい内容も含まれているため、そこまで時間をかけなくても良いと考えられます。

なお外部環境の分析は、PEST分析や5F(ファイブフォース)分析、3C分析、PPM分析などでも行えるため、他の分析手法と合わせて行うと、より複合的な視野で外部環境が把握できるでしょう。ただしいずれもSWOT分析よりも難易度が高い分析方法ですので、注意が必要です。

3.内部環境の情報収集・要素の抽出

内部環境の抽出では、商品・サービスや人材・資産など、SWOT分析で定めた対象にフォーカスを当てて各項目を洗い出していきます。

強みは機会と照らし合わせながら、対象特有の優位性が担保できそうなポイントを抽出します。この後のクロスSWOT分析における積極戦略を考える上でも、強みも機会同様、時間をかけて深堀りすべき要素です。

反対に弱みは脅威同様、深く追求しすぎると「できない理由」の正当化につながるため、そこまで時間を割かないこともポイントです。

4.クロスSWOT分析の実施

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SWOT分析で4要素の洗い出しを行なった後は、各要素をかけ合わせて行うロスSWOT分析を実施します。クロスSWOT分析によって戦略の方向性がより定まりやすくなります。

クロスSWOT分析は上図のように4つの戦略に分類されます。各戦略の概要は以下の通りです。

【積極戦略】機会 × 強み 最も競争優位性が発揮しやすい戦略
【改善戦略】機会 × 弱み 時間をかけて弱み改善が必要な戦略
【差別化戦略】脅威 × 強み 脅威を逆手にとり差別化を目指す戦略
【致命傷回避・撤退縮小戦略】脅威 × 弱み 生き残りのために前向きに検討すべき戦略

4つの中で最も検討優先度が高いのは、競争優位性が発揮しやすい「機会」×「強み」=「積極戦略」です。

積極戦略の施策が成功すると、他の戦略にもポジティブな影響の波及や、ビジネス成長拡大の可能性が高くなります。

ただしあくまで優先順位を示した場合であり、他の戦略も分析・検討の余地は十分あります。

まとめ

ここまでSWOT分析の概要から、具体的な方法を解説しました。

SWOT分析を実施する際は、外部環境、内部環境の順番から要素を抽出します。収集した情報をもとにクロスSWOT分析を行うと、マーケティング戦略の方向性をより検討しやすくなるため、ぜひクロスSWOT分析も合わせて行いましょう。

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