アンケートの「属性」とは?正しい属性調査を行うポイント

2022年12月23日

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アンケート調査で回答者の「属性」、すなわち、基本情報を適切に取得することで、意義のある回答を得られ、結果の比較に役立ちます。

年齢・性別・職業など同じ属性に該当する人たちは同じような特徴や傾向を持ちやすく、回答者を似たような性質を持つ属性に分類・比較することで、性質ごとの思考や行動を把握しやすくなるためです。

この記事では、効果の高い市場調査を行うための主要な回答者属性の項目や、属性の聞き取りにおいて注意するべきポイントについてご紹介します。

※なお、この記事では、Webを用いた定量調査(Webアンケート)に焦点を当てて説明します。

アンケート調査における属性とは?

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参考:GMOリサーチ&AI「JAPAN CLOUD PANEL」保有モニター25,411,000人の属性別グラフ

アンケート調査における属性とは、年齢・性別・職業など、回答者の特性データのことです。
属性には、大きく分けてデモグラフィックジオグラフィックの2種類があります。

◆属性の種類

デモグラフィック デモグラフィックとは、人口統計学的属性のことです。個人の性格や好みに左右されることがない客観的なデータを得ることができます。しかし、デモグラフィック変数のみでは、「なぜそのような行動をとったのか」ということはわかりません。
例)性別・年齢・職業・所得・居住地など
ジオグラフィック ジオグラフィックとは、地理的属性のことです。デモグラフィック特性と共に客観的データとして収集できます。
例)国・地域・居住地・現在地など

なお、マーケティングでは消費者特性を、デモグラフィック・ジオグラフィック以外にもビヘイビアル(行動学的属性)やサイコグラフィック(心理学的要因)で分類することがあります。

ビヘイビアルとは、回答者の過去の行動の指標であり、例えば、利用頻度・価格感度・サイト閲覧時間・購入目的・購入金額などです。
サイコグラフィックは、個々人の心理的側面に関わる特性のことで、例えば、個人の趣味・性格・価値観・ライフスタイルなどです。

アンケートの属性という意味では、デモグラフィック・ジオグラフィックの2種類を考えておけば良いでしょう。ビヘイビアル(行動学的属性)やサイコグラフィック(心理学的要因)は、行動・意識が基であり、特性のデータとは言い難いためです。

内部リンク:デモグラフィックとは|特徴や取得方法、マーケティング活用例を解説

属性調査を行う理由

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アンケートをこれまでに作成したことがある方は、なんとなく性別や年代などを設定されていた方もいるかもしれません。ただし、アンケート調査において適切に属性を設定することで、結果の質を高め、自社により役立てることが可能になります。

アンケートにおいて、属性調査を行う理由を改めて簡単に整理しておきましょう。

属性別の傾向・特徴を把握するため

マーケティング戦略は、手あたり次第行うのではなく、消費者を区分して戦略の対象とする層を定めます(セグメンテーション)。そして、セグメンテーションを行うために属性が必要となります。

属性も含めたアンケート結果を用いてクロス集計を行うことで、属性ごとの傾向や特徴を分析できます。
クロス集計とは、「2つ以上の質問項目の回答内容をかけ合わせ、回答属性ごとの反応の違いを見るようなときに用いる集計方法」です。

◆クロス集計の例

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例えば、ある商品を買った人に、「その商品を他の人におすすめしたいか」という質問をした場合、「したい」と回答した属性を把握することで、自社の優良顧客ペルソナの策定に役立てられます。
また、ブランディング調査の場合も、回答者の情報を得ることで、より具体的な分析が可能になります。

内部リンク:クロス集計表とは?基礎知識と賢い活用法

アンケートの信頼性を把握するため

属性の偏りから、調査の信頼性を把握できます。

例えば「スポーツジムの利用者で、若い女性の割合が急増している」という調査を全国規模で行う場合、正確な結果を得るためには、性別や年齢別で回収する回答者のサンプルサイズを調整しなければなりません。
もしも、地域によって、集めるサンプルの男女比率や年代比率に大きな差があれば、正確な調査結果であるとはいえないためです。

また、実際にアンケートを実施してみると、思うように回答が集まらないということが起こりえます。回答が十分に収集できなかった属性の追加調査が必要となった際、調査設計・手法の見直しにつなげることができます。
例えば、質問の言葉遣い・質問項目数・回答形式・質問の流れは、回答が少ない層に対して適切かどうかを確認することで、その層からの回答を増やすための改善点を見つけられることがあります。

属性調査の主要項目10つ

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では、回答者属性は具体的にどのように聞き取ればよいのでしょうか。属性調査でよく使われる主要な項目を例も含めて10つ紹介します。

なお、あくまで例であり、調査内容や目的により設定すべき項目は変わります。

1. 年齢・年代

選択肢の提示は、主に以下の2パターンです。

  • 5歳・10歳・20歳ごと
  • 層で区切る(幼児・小学生・中高生・大学生・社会人・シニア)

◆例

年代:▢10代 ▢20代 ▢30代 ▢40代 ▢50代 ▢60代

また、以下のような区分もあります。(主に16~60歳を対象にした調査)
年齢:▢15歳以下 ▢16~60歳(  歳) ▢61歳以上

2. 性別

男性・女性という2つの分類だけでなく、性の多様性を配慮した選択肢が用いられることが増えています。一方で、定量分析のために、男性・女性のみに限定して分析する場合もあります。

◆例

性別:▢男性 ▢女性 ▢答えたくない(回答しない・その他)

3. 居住地

マーケットリサーチが対象としている地域の規模によって、設定すべき選択肢は変わります。例えば、以下のケースがあります。

  • 都道府県別
  • 地域別
  • 市区町村別

◆例

(7地方区分の場合)
居住地:▢北海道 ▢東北 ▢関東 ▢中部 ▢近畿 ▢中国 ▢四国 ▢九州

4. 雇用形態

雇用形態の主な例は以下の通りです。

◆例

雇用形態:▢正規の職員・従業員 ▢パート ▢アルバイト  
     ▢労働者派遣事業所の派遣社員 ▢その他

さらに細かく、職種や業種を尋ねる場合もあります。

5. 職種・業種

尋ねたいのが職種なのか、業種なのかを明確に決めましょう。

職種とは、「個人の仕事内容の種類」です。例えば、「営業職」「開発職」「人事職」と分けられます。
業種とは「企業の事業内容の種類」です。「工業」「建設業」「製造業」などと分けられます。

◆例

業種:▢農業・林業 ▢漁業 ▢製造業 ▢宿泊業・サービス業 ▢金融業・保険業 ▢鉱業・採石業・砂利採取業 ▢運輸業・郵便業 ▢電気・ガス・熱供給・水道業 ▢医療・福祉 ▢教育・学習支援 ▢複合サービス事業 ▢公務(他に分類されるものを除く) ▢生活関連サービス業 ▢サービス業(他に分類されないもの) ▢分類不能の産業

総務省「日本標準産業分類 大分類」をもとに作成

職種の選択肢があまりに多くなってしまう場合には、自由回答とすることもできます。集計作業は大変になりますが、調査票の見やすさや回答者の回答しやすさを考えて調査票を作りましょう。

6. 収入

プライバシーに関わる質問のため、もし調査の必要がある場合は、個人情報を特定しないよう配慮しながらヒアリングする必要があります。
「不明」「わからない」「答えたくない」という選択肢も準備しておくと良いでしょう。

なお、年収には個人年収と世帯年収があるので、回答者が認識違いを起こさないように、個人年収なのか世帯年収なのか明記しましょう。

◆例

年収(個人年収):▢100万円未満 ▢100~200万円 ▢200~300万円 ▢300~400万円 ▢500~600万円 ▢600~700万円 ▢700~800万円 ▢800~900万円 ▢900~1000万円 ▢1000万円以上

7. 最終学歴

中卒・高卒・大卒と区分する場合が多いですが、調査によっては、以下のように細かく区分する場合もあります。

◆例

最終学歴:既卒(▢中卒 ▢高卒 ▢4年制大学卒 ▢短期大学卒 ▢専門学校卒)
在学(▢小学 ▢中学 ▢高校 ▢短大/高専 ▢大学/大学院)
          ▢未就学

8. 住居形態

住居形態の主な例は以下の通りです。

◆例

住居形態:▢一軒家 ▢マンション ▢アパートなどの集合住宅
     ▢賃貸 ▢持家

9. 既婚・独身

婚姻状態の主な例は以下の通りです。

◆例

婚姻状態:▢既婚 ▢未婚 ▢独身

離婚歴や死離別の選択肢は調査目的によって必要になります。

10. 子どもの有無

子どもの年齢や数によって回答に差が見られると予想される調査では、問いを複数に分けて、年齢や数も聞くと良いでしょう。

◆例

子どもの有無:▢あり ▢なし
子どもの年齢:▢0~4歳 ▢5歳~9歳 ▢10歳~14歳 ▢15~19歳 ▢20歳以上

属性を尋ねるときに気をつけるポイント3つ

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上で10項目紹介した以外にも属性にはさまざまな種類があり、アンケートの目的や調査内容によって設定すべき項目が異なります。

このとき、選択肢の設定や質問の仕方によって回答に影響を及ぼしてしまうことがあります。
最後に、回答者の属性を有効に調査するために気を付けるべきポイントを3つ紹介します。

1.仮説に応じて必要な項目を設定する

アンケート調査を行う前に、その調査を行う目的を明確にし、仮説を立てましょう。

例えば、あるスポーツジムの売り上げ減少の理由を検証するため「40代女性の継続率の低さが原因ではないか」と仮説を立てたとします。この場合、年齢・性別はアンケートにおいて必須項目です。また、「子どもを育てながら仕事をしている40代女性にとって、ジムの営業時間が適していない」という仮説を立てた場合には、就業状態や職種、子どもの有無などのヒアリングも必要でしょう。

また、調査実施の際は、立てた仮説を十分に実証できるサンプルサイズを設定しましょう。
十分な回答数の無い調査は信頼性が低く、正しい分析が行えません。

※アンケート調査表の設計について、詳しくは以下の記事で解説しています。

内部リンク:はじめての市場調査:アンケート調査票の作り方は?良い例・悪い例

2.回答者負担を軽減する

回答者の負担が大きい調査の場合、離脱が増え、十分なサンプルサイズを得にくくなります。

  • 現実的に回答可能な調査内容にする
  • 特に属性調査においては、特に理由がなければ選択式が望ましい

また、回答者が答えるのに抵抗を覚えやすい年収や学歴などのセンシティブな質問を含む場合には、属性調査をアンケートの最後に置くことで、回答者の抵抗感を減らす方法もあります。

3.漏れ・ダブりのない選択肢にする

回答の選択肢の意味が曖昧になることや、内容が似たり、漏れが出たりすることは避けましょう。
選択肢がMECE(ミーシー:Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive:漏れなく、ダブりなく)になっていない場合、同じ意図を持った回答者であっても回答が分かれてしまうため、正しいデータを得られなくなってしまいます。

設計したアンケートは事前に少人数に向けてテストを行い、設問の意図が十分に伝わるものだったかどうか確認できると良いでしょう。

まとめ|アンケート目的に合った属性を設定し、有効な調査へ

アンケートでは、回答者の属性を適切に把握することで、より有効な示唆へと繋げられます。

「商品やサービスの売り上げ向上をしたい」「消費者のニーズを知りたい」「ターゲットにより刺さるアプローチを考えたい」…
など、自社で行いたいアンケートの目的や内容に応じて、項目や記述方法を考えましょう。

 
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