PEST分析とは?目的や分析方法、事例をわかりやすく解説

2022年07月01日

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PEST分析とは、外部環境を政治・経済・社会・技術の4つに分類し脅威を洗い出し、自社にもたらす影響を分析するフレームワークです。

PEST分析を行うと自社が抱える課題や市場変化を把握できます。
市場の将来性や変化の予測にも活用できるため、マーケティング戦略や施策立案などで役立つ分析手法です。

本記事では、PEST分析の概要と実施手順、具体例を解説します。

PEST分析とは

PEST分析とは、外部環境を政治、経済、社会、技術の4つの要因に分類し、自社に与える影響を読み解く分析手法です。

政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Society)、技術(Technology)の4つの頭文字を取ってPEST分析と呼ばれています。

自社を取り巻く外部環境には以下の2種類があり、PEST分析は自社で制御することが難しいマクロ環境の分析に適しています。

◆外部環境の分類

ミクロ環境
自社を取り巻く市場や競合他社のことを指し、市場の将来性や顧客の行動、競合の動向などがあげられる。
マクロ環境
政治、経済、社会、技術の環境要因を指し、人口統計・技術革新・流行変化などがあげられる。

PEST分析によって、自社に影響を与える脅威を洗い出し、これから起こりうる社会の変化などを予測して、事業戦略の策定やマーケティング戦略に役立てます。

PEST分析を行う目的

PEST分析は、技術革新や法改正など自社を取り巻く環境要因を把握し、脅威を予測できる点で有効です。

PEST分析を実施する主な目的としては、以下の2つがあげられます。

  • マーケティング戦略や施策の方向性を明確化する
  • 市場の将来性や変化を予測する

マーケティング戦略や施策の方向性を明確化する

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マーケティング戦略や施策を成功させるためには、実施する方向性を明確化しておくことが重要です。

まずは外部や内部環境を分析して、市場参入の見込みや将来性などを把握したうえでマーケティング戦略や施策立案していきます。
そのため、環境分析はマーケティング戦略や施策の土台となります。

特にPEST分析はマクロ環境を分析できるため、マーケティング戦略や施策を実施する方向性を明確にしたいときに役立ちます。

他にもマーケティング戦略や施策を行うときには、段階に応じて以下の分析手法が使われます。

  • 環境分析:SWOT分析、3C分析
  • 基本戦略:STP分析
  • 施策:4P、4C

PEST分析やSWOT分析、3C分析を用いて環境要因を分析し、方向性を明確化してからSTP分析や4P、4C分析を活用して基本戦略や施策の策定につなげていくとよいでしょう。

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市場の将来性や変化を予測する

PEST分析では、社会情勢や経済状況など自社での制御が難しいマクロ環境を分析できるため、市場の将来性や変化を予測したいときに役立ちます。

PEST分析で機会に分類された要因をいかして、新規市場への参入や新製品開発などをすることもできます。

一方で自社にとっての脅威を把握しておくと、市場やサービスの撤退判断を下すことも可能です。

PEST分析を活用して外部環境が自社に及ぼす影響を予測して、市場チャンスをいかしたり、時流に合わせたりしたマーケティング戦略や施策を検討しましょう。

PEST分析の4要素

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PEST分析では、自社を取り巻く環境要因を以下の4つの要素に分類します。

◆PEST分析の環境要因

  • Politics:政治的要因
  • Economy:経済的要因
  • Society:社会的要因
  • Technology:技術的要因

4つの環境要因をそれぞれ解説していきます。

Politics:政治的要因

Politics(政治的要因)は、自社に影響を与える法律や行政、政治などの動向を指します。

政治的要因例は、以下の通りです。

◆Politics(政治的要因)の例

  • 税制の変化
  • 法改正
  • 規制緩和
  • 条例の改正
  • 政権交代
  • 政策の変化
  • 補助金の交付

法改正や規制緩和などは市場に与える影響が大きく、脅威として捉えられることもありますが、新たなビジネスチャンスが見つかる可能性もあります。

例えば、政治的要因を機会として捉えたクラウド型会計ソフト提供企業のA社は、電子帳簿保存法の緩和や政府推進のDX化を機に新規市場への参入に成功しています。

Economy:経済的要因

Economy(経済的要因)は、経済成長率や為替相場などの経済動向を指し、以下のような例が挙げられます。

◆Economy(経済的要因)の例

  • 景気
  • 株価
  • 金利
  • 賃金動向
  • 個人の消費
  • 為替動向
  • 原油価格

経済的要因は、景気や株価など企業の売上に大きな影響や変化をもたらします。

例えば円安が続いてしまうと、原料などを海外から仕入れて商品を生産している企業にとっては大きな脅威となります。
仕入れコストが上昇し、商品の値上げを検討しなければいけない恐れもあります。

長期的な経済動向を予測して、最小限のリスクで抑えられるように対策を検討しましょう。

Society:社会的要因

Society(社会的要因)は、社会環境を取り巻く人口動向や価値観の変化といった生活に影響を与える項目を指します。

以下のような例が挙げられます。

◆Society(社会的要因)の例

  • 流行
  • 生活習慣・ライフスタイル
  • 宗教
  • 文化
  • 人口動態
  • 少子高齢化

核家族の増加や価値観の多様化など、社会的要因を分析することで消費者のライフスタイル変化や流行を予測し、マーケティング施策立案に活用できます。

例えば、アパレル業界であれば、トレンドを先読みしてシーズン毎に新商品を企画、開発しなければいけません。
社会的要因を分析して、消費者の好みに合わせた商品開発が求められます。

Technology:技術的要因

Technology(技術的要因)は、テクノロジーの飛躍的進歩など技術やシステムの動向を指します。

ビジネスに影響を与える技術要因の例は、以下の通りです。

◆Technology(技術的要因)の例

  • ビッグデータ
  • AI
  • IoT
  • 機械学習
  • 自動運転システム
  • ブロックチェーン
  • メタバース・AR
  • 設計技術
  • 特許

技術革新は、工場の製造工程や広告手法などさまざまな分野に影響を与えるため、事業の成長や衰退に大きく関わります。

例えば、映像技術の発展やインターネット環境の整備などによって動画配信サービスが浸透しています。
技術的要因は消費者が利用するサービスへの影響が大きいといえます。

PEST分析の方法

PEST分析は、マクロ環境を4つの環境要因に分類し、自社にとっての「機会」と「脅威」を洗い出します。

以下の手順で進めていきましょう。

  1. 環境要因の対象を設定する
  2. 情報収集し、4つの環境要因に分類する
  3. 分類した環境要因を事実と解釈に分ける
  4. 事実を脅威と機会に分類する
  5. 分析結果を元に施策に落とし込む

ここでは航空会社を例に挙げて解説します。

1.環境要因の対象を設定する

PEST分析を行う前に、まずは環境要因の対象を設定します。

例えば航空会社を分析するのであれば、以下の3つが環境要因の対象として考えられます。

  • 航空業界
  • 自社の外部環境
  • 鉄道、バスなど公共交通機関全体

環境要因をどこに設定するかにより分析結果が変わるため、マーケティング戦略などにあわせて適切な対象を設定することが重要です。

例えば、自社の飛行機の利用者を増やすために訴求したいのであれば、環境要因は航空業界に留まります。

一方で「短い時間で遠くまで運ぶ」という点を訴求したいので捉えるのであれば、鉄道やバスなど他の公共交通機関も環境要因として捉えられるでしょう。

環境要因対象を正しく設定し分析することで、戦略施策の目的や方向性が明確になります。

2.情報収集し、4つの環境要因に分類する

1で設定した環境要因に関する情報を収集し「政治・経済・社会・技術」の4つに分類していきます。

業界情報や新聞、マーケティング会社の調査レポートなどから環境要因についての情報を集めましょう。

例えば「航空業界全体を対象にする」と決定した場合には、航空業界を取り巻く外部環境について情報収集し、集めた情報を4つに分類していきます。

◆航空業界の分類例

  • Politics(政治):航空法改正
  • Economy(経済):国内外需の低迷による利用者減少
  • Society(社会):格安航空会社の出現・チケット代の高騰
  • Technology(技術):AIによる無人チェックイン

3.分類した環境要因を事実と解釈に分ける

2で振り分けた環境要因を「事実」と「解釈」に分類します。

以下の点を注意しながら、事実と解釈に分けていきましょう。

事実
実際に起きている事柄や状況、データから明確にわかること
解釈
起きている事柄や状況を個人の主観で理解すること

事実と解釈はどちらに当てはまるのか判別するのが難しいですが、現状起きていることを思い浮かべると判断しやすくなります。

例えば「飛行機の利用者が減っている」、「飛行機のチケット代は高騰している」というデータがある場合は、以下のように分けられます。

◆航空業界における事実と解釈の例

事実
・飛行機の利用者の減少
・チケット代の高騰
解釈
・チケット代の高騰により利用者が減少している

「利用者の減少」「チケット代の高騰」は数値から判断でき、実際に起きている事柄のため事実として扱います。

一方「チケット代の高騰により利用者が減少している」は、起きている状況を個人の主観で判断していて、因果関係が定かではないため解釈として扱います。

4.事実を脅威と機会に分類する

3の工程で「事実」に該当した情報やデータをさらに「脅威」と「機会」に分類します。

自社にとって有利に働く情報は「機会」に、不利に働くことが予測できる情報は「脅威」として分類しましょう。

例えば、格安航空会社の出現は価格面でみると大手航空会社にとって脅威となります。

しかし、サービスの質で差別化して顧客に訴求できれば、高所得者層など新たな層を取り込むきっかけとなるかもしれません。

一見脅威に見える情報は、多面的な視点でみると機会になりうることもあります。
視点を変えることで、大きなチャンスにつながるアイデアが見つかる可能性があります。

5.分析結果を元に施策に落とし込む

振り分けした機会と脅威をもとに、具体的な施策へ落とし込みます。

以下の視点で考えながら、施策へと落とし込みましょう。

  • 緊急性が高いか、低いか
  • 長期で考えるべきか、短期で考えるべきか

施策に落とし込む優先度が高いのは、「緊急性が高く短期で考えるべきこと」です。

例えば「国内外需の低迷による利用者減少」に対しては、プロモーションの強化やキャンペーンの実施など短期的な対処が必要ですが、「AIによる無人チェックイン」に対しては実装されるまでに時間がかかるため、長期的に対策を検討していきます。

自社のリソースと向き合いながら、優先して対応すべき施策を検討することが大切です。

まとめ

PEST分析は、自社を取り巻く外部環境を政治、経済、社会、技術の4つの環境要因に分けることで自社に与える影響を予測できる分析手法です。

外部環境を分析するので、マーケティング戦略や施策の土台となります。
分類した環境要因を機会と脅威に分けて分析していけば、マーケティング戦略の方向性を決めたいときに役立ちます。

自社で制御することが難しいマクロ環境を分析すれば、効果的なマーケティング施策の立案につながるでしょう。

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