日本国内で売れている商品が、海外では文化や法律などの違いで売れないことは決してありえない話ではありません。そのため、海外の顧客や現地の法律を知る海外調査は、日本国外へのマーケットにおいて、自社のサービスや商品を提供するときに必要なのです。

この記事では、海外調査に関する基礎知識や海外調査方法、成功に導くポイントなどを解説します。

海外調査方法の基礎知識

海外調査方法の基礎知識を、3つ解説します

海外調査とは

日本国内は少子高齢化や人口減少が進み、マーケットの縮小は避けられないため、海外マーケットに活路を見出そうと考える会社は多いです。

内閣府の令和3年度版高齢社会白書では、2065年には日本全体の人口は約8,800万人、現役世代（15〜64歳）の人口は約4,500万人になると予想されています。

ただ、海外マーケットの現状を十分理解せずに参入しても、成功は期待できません。

なぜなら、日本と海外では、顧客のニーズやビジネス上必要な法律など多くの違いが存在するため、日本でうまく行った方法が必ずしも海外でも適用できるとは限らないからです。また、場合によっては市場規模が小さすぎて、採算が取れないケースもあるかもしれません。

よって、海外の顧客や現地の法律などを知るために海外調査を行うことは、日本国外のマーケットで成功するために必要なことなのです。

海外調査が必要な3つのケース

海外調査が必要なケースは、以下の3つです。

海外進出	日本国内だけで提供していたサービスや商品を、海外でも提供していきたいケース
訪日インバウンド	日本国内の事業者が、訪日客向けにサービスや商品を販売していきたいケース
越境EC	日本国内で展開してきたECサイトを通じて、外国人や海外在住者向けに商品にも販売していきたいケース

海外調査に必要な6つの調査観点

海外調査に必要な調査観点は、以下の6つです。

市場規模	日本国内や現地における類似カテゴリの商品などと比較することで、現地の市場規模を予測する ▼関連記事 市場調査とマーケティングリサーチの違いは「現状／将来の可能性」 | リサーチコラム
顧客ニーズ	現地で売られている類似カテゴリの商品などを研究することで、現地での需要や効果が大きい販売戦略を検証する
競合他社	現地において競合相手となる会社を研究することで、現地における自社の戦略の立案、立ち位置やターゲットの選定を実施する
法律・現地習慣	現地の法律・習慣を理解することで、現地でトラブルに巻き込まれる危険性を軽減する
現地パートナー	現地の事情をよく理解している弁護士や取引先などのパートナーを確保することで、現地ビジネスをサポートしてもらう
自社の強み・弱み	SWOT分析などを行うことで、現地でも活かせる可能性がある自社の強み・弱みがないか分析する ▼関連記事 SWOT分析とは？内部環境・外部環境の4要素や分析方法を解説 | リサーチコラム

海外調査方法を5つ解説

海外調査には様々な方法があり、調査目的や現地状況によって最適な方法は異なります。

ここでは、代表的な海外調査方法を5つ解説します。

デスクリサーチ

デスクリサーチとは、すでに存在する統計資料や報道資料などから情報収集を行い、分析を行う調査手法のことです。

海外調査では、現地でよく閲覧されるWebサイトやSNSなどから情報収集し、競合他社や現地顧客の趣味趣向を分析しましょう。

手間やお金をあまりかけずに、売れ筋商品やトレンド、さらには現地の法律などを分析できることがメリットです。

ただ、デスクリサーチの調査結果は正確でないことも多いため、他の方法と併用する方が確実でしょう。

アンケート調査

アンケート調査は代表的な海外調査方法の1つで、事前に用意した質問を多数の人に回答してもらい、解決実績を集計してデータを集めるものです。

海外調査におけるアンケート調査では、「対象国の人で且つ対象国在住の人」にアンケートを行って、趣味趣向や生活習慣、流行などを分析できます。

アンケートの実施方法には、対面でのアンケートやインターネット上でのアンケートなど、様々な方法が考えられます。

各アンケート方法の特性を考慮して、最適な方法を選択しましょう。

例えば、現地に出向いてアンケート調査を行う場合、大規模な実施は困難なものの、アンケート項目以外の項目をその場で聞き取れることはメリットです。

一方、インターネットだけで完結できるアンケートの方が、大量の対象者にアンケートを行いたい場合には向いているでしょう。

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店頭調査

店頭調査は、現地競合他社の店頭に出向いて、価格や店舗レイアウトなどを研究するものです。

インターネットや書籍などだけでは、現地の実態を十分把握できないことも少なくありません。

しかし、店頭調査を行うことで、よりリアルな消費者行動を理解できるでしょう。

特に、価格設定において、店頭調査は重要な材料になるはずです。

HUT（ホームユーステスト）

HUT（ホームユーステスト）は、現地在住者や対象国出身者の体験モニターに、自社商品を送って使用してもらう方法です。

自社商品の使用期間終了後に、アンケートを送付してもらうことで、改善点や現地における利用シーンなどが明確になると期待されます。

また、「日本ではニーズがあったが、現地では生活習慣の違いでニーズがない」といった失敗を防ぐためにも有効です。

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インタビュー

インタビューは、会話を通じた聞き取り調査です。

アンケートと比べて調査時間はかかるものの、より詳細な情報を得られます。

また、一口にインタビューと言っても、インタビュー方法は様々です。

代表的なインタビュー方法は以下です。

デプスインタビュー	インタビュアー1人と回答者1人が、長時間聞き取りを行う。 深掘りした内容を聞き取りたいときに向いている
グループインタビュー	インタビュアーが、複数の回答者に対して、座談会形式で聞き取りを行う。 多様な回答をまとめて聞き取りたいときに向いている
オンラインインタビュー	オンラインツールを用いて、離れた場所の回答者にインタビュアーが聞き取りを行う。 遠方の回答者へもインタビューを行えることがメリット

インタビューで得たい情報などを考慮して、最適なインタビュー方法を選択しましょう。

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海外調査を成功に導く方法

ここまで、海外調査に関する基礎知識や方法について解説してきました。

以下では、海外調査を成功に導く方法を4つ解説します。

現地状況を踏まえた最適な方法で海外調査を行う

海外調査を成功させるには、現地状況を踏まえた最適な方法で海外調査を行うことが必須です。

注意するとよい現地状況と対応策の例は以下のとおりです。