オープンデータとは?定義や活用事例を徹底解説

2021年10月27日

オープンデータとは?定義や活用事例を徹底解説

マーケティングや事業の戦略を立てるためには、情報収集が欠かせません。
しかしそのためのリサーチには膨大な時間と労力がかかり、自分たちでできる範囲には限りがあります。
そこでぜひ活用したいのがオープンデータです。

この記事ではオープンデータを効果的に活用していきたい方のために、実際の活用事例や入手先を解説します。

オープンデータとは?

「オープンデータ」とは、公共の機関が調査した誰でも使える公表データのことです。事業戦略やマーケティングに有益なデータを、誰でも使えるようにWebサイト上でオープンに公開しています。

オープンデータの定義

そもそもどのようなものをオープンデータとよぶのでしょうか。定められた条件とともに解説します。

一般社団法人「オープン・ナレッジ・ファウンデーション(Open Knowledge Foundation)」の「オープンデータの意味(Open Definition)」によると、オープンデータは、以下にような特徴があります。

◆オープンデータの特徴

  • 誰もが利用(加工・編集・再配布等)できること
  • 再利用されやすいデータ形式であること
  • 営利・非営利に関わらず二次利用が可能であること
  • 利用にコストがかからないこと
  • 機械判読に適していること

もっとも大切なのは誰でも無料で使えて、自由に複製や加工ができることです。
データの閲覧やダウンロードに必要以上にお金がかかったり、データが紙媒体しかなかったり、データの使用先に制限をかけてあったりするものは、オープンデータとは呼べません。

オープンデータでは、例えばこのような情報を得ることができます。

◆オープンデータの例

  • 民間企業の退職金の実態
  • 若者の生活に関する調査
  • 景気動向指数
  • SDGsに関するアンケート調査
  • 動物検疫の統計

これらはあくまでもほんの一例にすぎません。現在公開されているオープンデータの種類は非常に多分野に渡っています。

このように個人や企業では調査が難しい、もしくは調査できない範囲の公共データを、誰でも有益に活用できるように提供しているのがオープンデータです。

オープンデータの目的

オープンデータをほぼ無償で使用可能にしている大きな目的は、経済の活性化のためです。

人口や財政状況など公的機関でしか調査できないデータを得ることで、

  • 企業や個々の団体はより顧客にマッチしたサービスの提供
  • 現状のサービスの改善
  • 課題解決

こういったことに役立てることができます。

近年国や各自治体によるオープンデータの普及が進められています。
公のデータが公開されることで、普段なかなか実態の見えづらい行政組織の評価が高まり、信頼性が上がります。

平成28年には「官民データ活用推進基本法」が施行され、そのなかで国や自治体が保有するデータを、Webサイト上で国民が誰でも利用できることが義務付けられました。
翌年には、「平成32年度までに地方公共団体のオープンデータ取組率を100%にする」という目的が閣議決定されています。(※平成32年度=令和2年度)

オープンデータを使うには?

実際にオープンデータを使うのはとても簡単です。後に紹介するオープンデータのプラットフォームやWebサイトにアクセスし、該当データをダウンロードするだけで利用可能になります。
Webサイトごとに利用規約があり、その条件下であれば基本的には自由にデータを閲覧、ダウンロード、加工して使用できます。ただし、ものによっては、

  • データ使用の旨を提供元に報告
  • 出典の記載

などが義務付けられているものもあるので、使用前に利用条件はしっかり確認しましょう。

オープンデータの入手先

オープンデータを公式に提供しているのは、国や政府、独立行政法人、地方公共団体や事業者などです。
実際にオープンデータを使ってみたい方のために、データを入手できるサイトをいくつかご紹介します。

総務省の「データカタログサイト」

データカタログサイト」は、デジタル庁が運営するオープンデータの情報ポータルサイトです。データの提供側と利用側、双方がオープンデータをわかりやすく理解して使えることを目的としています。

データカタログサイトはポータルサイトなので、このなかからそれぞれオープンデータを公表している企業や団体のページに飛ぶことができます。データベースサイトは「国」「地方公共団体」など団体ごとにカテゴライズされており、例えば、

  • 花粉の飛散状況
  • 犯罪率
  • 交通事故発生率
  • 自治体の給付金情報

など、さまざまなジャンルのオープンデータを探すことができます。

政府統計の「e-Stat」

e-Stat」は、日本の統計が閲覧できる政府統計のポータルサイトです。分野や統計ごとにデータを検索したり、グラフや地図上に統計データを表示できたりと、欲しいオープンデータにリーチしやすくなるような工夫がされています。

そこからわかるデータは、例えば、

  • 平均年齢
  • 労働力調査
  • 就業構造基本調査

といった労働面や、

  • 医療施設調査
  • 患者調査

といった社会保障面まで、私たちの普段の暮らしに欠かせないデータがさまざまなジャンルに渡って公表されています。

今後新しく公表予定のデータもお知らせしていたり、新着データやランキングも載せたりしているので見やすく、楽しんでオープンデータを検索できます。

アジア経済圏のデータなら「ADBデータライブラリ」

ADBデータライブラリ(ADB Data Library)」はアジア開発銀行が公開するオープンデータのWebサイトです。最新のアジア太平洋地域のGDP成長率やアジア開発の見通しなどがデータで閲覧できます。

すべて英語表記ではありますが、ブラウザの翻訳機能などを用いれば問題なく利用できます。

公的機関が発表しているデータとなりますので、アジア圏でビジネスを展開している方・これから展開を考えている方にとっては有益なポータルサイトと言えるでしょう。

米国のデータなら「data.gov」

data.gov」は米国政府が公開するオープンデータサイトです。食物生産や地球エネルギー、健康や気候などさまざまなデータを公表しています。

HTML、PNGなどデータ形式もアイコンでわかりやすく表示されています。こちらもすべて英語表記ですが、興味のある方はぜひこちらも覗いてみてください。

その他無料で市場調査ができるサイトまとめ

公的なオープンデータの定義からは少し逸れてしまいますが、マーケティングリサーチに有用であるという意味では、研究機関や大手企業が公表しているデータも参考になります。
興味がある方は下記記事もぜひご覧ください。

オープンデータのリスク

メリットばかりのように見えるオープンデータですが、リスクもあります。
オープンデータの大きなリスクは、プライバシー問題です。

基本的に世の中に公表されていたり、誰でも閲覧できたりする状態の情報は、内容から個人が特定できないような匿名性を保っています。
オープンデータも然りで、公表されているオープンデータは個人情報に該当しないようにしてあります。

しかしオープンデータは前述のとおり、多くの範囲、ジャンルで多岐に渡る膨大なデータを網羅しています。
そのため、逆にいうとそれらのデータをつなぎ合わせて個人を特定できてしまう危険性をはらんでいます。

例えばアメリカで問題になっているのは、「データブローカー」と呼ばれる悪徳企業です。
彼らはブラウザーの履歴や納税記録、資産情報などの個人情報の売買を仲介しています。
本来匿名化されているはずのこれらの個人情報をつなぎ合わせて、結果的に個人を特定することができる、との学術誌の研究結果もあります。

政府で開かれた個人情報に関する討論会でも、「個人特定困難なデータについては、本人の同意無く第三者提供を可能とする」と結論付けられましたが、どこまで匿名化すればその「第三者提供」となるかは不確定なままです。

今後もっと精度の高いデータが取得できるようになる可能性を考えると、オープンデータの個人情報保護の重要性はより強くなってくるでしょう。

オープンデータ活用の成功事例

実際にオープンデータをビジネスに活用して、成功している事例をいくつかご紹介します。ぜひオープンデータを使用する際の参考にしてみてください。

花粉くん(花粉くん.com)

総務省が提供するオープンデータの「花粉情報(日別花粉粒子数および花粉飛散レベル)」を利用して博報堂アイ・スタジオが開発したスマートフォンアプリです。

「花粉くん(花粉くん.com)」は花粉症関連情報実証のAPIやTwitterの投稿分析を活用し、花粉飛散量とその飛散地周辺や観光スポットでの花粉の体感ポイントを独自の指標で簡単に分かりやすく教えてくれるアプリとなっています。

公的な無機質なデータをユーザに親しみやすく情報提供するために、アプリ内ではオリジナルゆるキャラクターの「花粉くん」を通して、お出かけ前や朝の花粉チェックができる使用になっています。

なお、こちらのアプリはオープンデータ流通推進コンソーシアムと総務省が開催したオープンデータアプリコンテストで最優秀賞を受賞しています。

スマイティ

不動産住宅情報サイトの「スマイティ」も、オープンデータを有効に活用しているサービスのひとつです。スマイティはWebサイト内に「住みやすい街」サイトを開設しており、

  • 平均年齢
  • 犯罪率
  • 交通事故発生率
  • 災害情報

など、オープンデータの統計から出した各地域の情報を紹介しています。

これにより、間取りや家賃などの条件だけではなく、地域としての安全性や住みやすさを比較検討できます。
「なんとなくこの地域は治安が良さそう」といった感覚値ではなく、オープンデータから割り出した根拠のある情報によって、地域情報の信頼度が上がります。

顧客の「住みやすい街に住みたい」「住む場所選びに失敗したくない」というニーズを、オープンデータの活用によって満たしている成功例です。

Zaim

Zaim」は、GOOD DESIGN AWARDの受賞歴もある家計簿アプリです。
Zaimの画期的な取り組みは、自治体による給付金の公式情報をオープンデータから取得して連携していることです。

これにより、Zaimの給付金情報サイト「わたしの給付金」のなかで、連携した市の給付金情報が無料で閲覧できます。さらにZaimに登録された家計簿情報や家族構成から、それぞれ受給可能性のある給付金額を自動で出してくれます。

この施策は、オープンデータの具体的活用策を推進している「オープンガバメント推進協議会」の連携のもと、会員であるいくつかの市ですでに開始しています。

給付金はその存在自体知らなかったり、知っていてもいくらもらえるかわからなかったりしますよね。そうして本来渡るべき人々に給付されていない問題があります。
そこを家計簿アプリの自社データと、自治体のオープンデータの組み合わせで見事に改善した、ユニークで有益な取り組み例です。

まとめ

オープンデータはとても有益な情報ですが、誰でも使用できるデータでもあります。ただ活用するだけでは、他と差をつけ市場から一抜けることは難しくなります。

あくまでもオープンデータは補助材料としての活用が大切です。そこに自社独自に市場調査したオリジナルデータをかけ合わせて、イノベーティブな商品開発につなげましょう。

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