市場調査で現在の市場や消費者感覚を知ろう!代表的な手法やポイントも解説

2023年05月12日

market-research

市場調査とは、企業がマーケティング施策を行うにあたって必要不可欠となる情報を収集・分析する調査のことです。現在の市場や消費者感覚を理解できるため、マーケティング活動や商品開発に役立てることができます。

市場調査にはネットリサーチやグループインタビューなど、いくつかの調査手法があります。また、必ずしも自社で行う必要はなく、調査会社に依頼することも有効です。

とはいえ、どのように調査を行えばよいかわからない、自社での実施は自信がない、という方もいるのではないでしょうか。

この記事では、市場調査の代表的な手法や進め方、調査会社に依頼するかどうかの判断基準などについて、市場調査にあまり親しみのない初心者の方に向けてわかりやすく解説します。

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市場調査は”現在の市場や消費者感覚を知るための調査”

image01_新商品開発と市場調査の例

市場調査とは、企業がマーケティング施策を行うにあたって必要不可欠となる情報を収集・分析する調査のことです。調査を通じて業界の現状を把握し、マーケティング施策や商品開発に活用するために行われます。

市場調査では、「現在のマーケットがどうなっているか」を知ることができます。

市場で優位を確保し、消費者にとって良い商品を展開するためには、事前の情報収集が欠かせません。例えば新商品を販売するにあたって市場や競合の状況を気にせず進めれば、多くの場合は消費者に振り向いてもらえず、在庫を抱えてしまう結果となるでしょう。

市場調査では、商品のシェア率やブランドの認知率といった情報を入手できます。そのため、市場に新規参入するか否かを判断したり、新商品のアイデア出しを行ったりと、マーケティング施策立案のヒントとなる情報を収集するために、市場調査は実施されます。

◆市場調査でわかること(例)

  • 商品のシェア率
  • ブランドの認知率
  • 商品の満足度
  • 商品にかける平均的な費用
  • 競合の数・割合
  • 日本、海外での利用率
  • 昨年と今年での消費者の変化

また、市場調査では「消費者が今どう感じているのか」という消費者の思いや感情を、情報として収集します。

商品やサービスの購入を検討したり、実際に購入したりする消費者は、さまざまな感情や思いを抱いています。「お手頃価格でうれしい」と満足する声もあれば、「もう少し軽量化してくれたら購入するのに」と要望を抱く声もあるでしょう。こういった顧客の感情や思いを情報として収集・分析し、自社商品・サービスのさらなる改善に活用するのが、市場調査です。

市場調査のメリット

市場調査を実施するメリットとしては、以下が挙げられます。

◆市場調査のメリット

  • 消費者のライフスタイルを明らかにし、消費者の潜在的ニーズを推察できる
  • 景気や季節などの変動要因と組み合わせて、市場動向の傾向を把握できる
  • 競合他社との比較により、自社の強みや弱みを通じて差別化戦略を立案できる
  • 流通経路の実態を明らかにし、最適なチャネルを立案できる
  • 消費者理解を深め、自社ブランディングに活用できる
  • 顧客満足度を把握し、市場の潜在的ニーズの掘り起こしに役立てられる

企業側が「売れる」と思っていても、市場の動向や消費者のニーズによっては思い通りにいかない場合があります。しかし市場調査を行えば、市場や消費者の思いとのズレを小さくすることができます。消費者にとって需要の高い商品・サービスを提供できるようになるため、売上向上も期待できるでしょう。

市場調査の活用例

市場調査は、製品開発のアイデア・指針にするために、初期段階で使われることが一般的です。以下に、市場調査の活用例を示します。

◆市場調査の活用例

  • 販促調査
  • 価格調査
  • 商品開発調査
  • ブランドイメージ調査
  • 満足度調査(顧客・従業員)

市場調査とマーケティングリサーチの違い

image02_マーケティングリサーチと市場調査

市場調査に似た用語に、「マーケティングリサーチ」があります。

市場調査とマーケティングリサーチとで、似たような意味として使われることも多いですが、厳密に言えば、市場調査はマーケティングリサーチのうちの一つの調査手法です。

専門書には、市場調査とマーケティングリサーチの違いについて、以下のとおり記載されています。

◆市場調査とマーケティングリサーチの違い

欧米でマーケティングリサーチの中身を具体的に示すとき、product researchやadvertising researchという言葉と並列的に、market researchという言葉が使われることがある。この場合のmarket researchは、マーケット(市場)の大半を構成する消費者についての調査、すなわち、consumer researchを指していることが多い。この場合のmarket researchは、企業が市場に向かって能動的に提供する製品や広告に関する調査を直接包含していない。


※引用『マーケティングリサーチの論理と技法 第4版』上田拓治。強調は筆者による

なお、マーケティングリサーチについてより詳しく知りたい方は、「マーケティングリサーチの定義から手法、流れを事例と併せて解説」をご覧ください。

image03_マーケティングリサーチの種類

マーケティングリサーチは、市場調査のほかに、製品調査・広告調査を含んでいます。製品調査や広告調査は、能動的に消費者にはたらきかけて反応を探り「将来的な可能性を検証する」調査です。

製品調査

製品調査(製品テスト)は、試作品やサンプルを用いて調査を行うものです。

自社と競合の製品を実際に使ってみた感想や満足度を把握し、商品改善や販売戦略の見直しに役立てたり、パッケージやネーミングのパターンの比較(ネーミングテスト・パッケージテスト)を行い、最適なパッケージやネーミングを決定する際に実施されます。

◆製品調査(例)

  • 数人~数十人のモニターにテストしてもらう
  • ネーミングの印象についてアンケートを行う
  • 実際にその製品を販売してみて、様子を観察する

広告調査

広告調査は、広告を用いて行う調査です。実際の媒体で広告を見てもらったり、制作のための聞き取り調査などを行ったりします。具体例は、以下のとおりです。

◆広告調査(例)

  • 広告キャンペーンを実施する前と実施した後で、それぞれ調査を行い比較することで、広告の効果を検証する
  • テレビや動画広告など、媒体別の広告出稿量を調査する

代表的な3つの市場調査方法

image04_市場調査でよく使われる手法.png

市場調査方法を細かく分けるとさまざまな種類がありますが、大きく分けると以下の3つの種類に分けられます。

  • 定量調査
  • 定性調査
  • デスクリサーチ

一次データと二次データ

市場調査の調査手法で取り扱うデータは、一次データと二次データに大別されます。先述した定量調査・定性調査は一次データを取り扱い、デスクリサーチでは二次データを取り扱います。

一般的な市場調査では、まず二次データを確認し、不足している情報を一次データとして収集する、という順で行われます。

一次データと二次データは、それぞれ意味やメリット・デメリットが異なります。以下の表で確認してみましょう。

◆一次データと二次データの意味・メリット・デメリット

  一次データ 二次データ
意味 実際に利用している人や企業から直接得られたデータ 国が行った統計や出版物、調査会社やシンクタンクなどがすでに発表している調査データ
メリット
  • 誰も知らない新しい情報を得られる可能性がある
  • 実態をもとにした信頼性の高いデータを取得できる
  • 本当に知りたい情報をピンポイントで手に入れられる
  • データ取得にかかる費用が安い
  • 手軽に情報を得られる
  • 情報元がしっかりしていれば信頼性が高い
デメリット
  • 二次データに比べて調査費用が高い
  • 調査に時間と手間がかかる
  • 専門知識が必要になる場合もある
  • 誰でも利用できるデータで、目新しさがない可能性がある
  • 知りたい情報からずれている可能性がある
  • 情報が古い可能性がある

なお、定量調査と定性調査の違いや使い分け方については、「定量調査と定性調査の違いと使い分けの方法とは?組み合わせた調査方法も紹介」もご覧ください。

定量調査

image05_定量調査の方法

定量調査は、質問に対して決まった選択肢から選ぶように設計することで、数値や客観的な指標でデータが得られる調査手法です。集計・分析がしやすいことがメリットの定量調査について、代表的な調査方法を5つ紹介します。

インターネット調査(ネットリサーチ)

インターネット調査(ネットリサーチ)は、ウェブ上で条件のあう対象者にアンケートに回答してもらいデータを収集する方法で、現在では定量調査の主流になっています。

◆インターネット調査のメリット

  • 費用が安い
  • 調査期間が短い
  • 工数がかからない
  • 回答者の負担が少ない
  • 広域で実施できる
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訪問調査

訪問調査(訪問面接調査、CAPI:Computer Assisted Personal Interviewing)は、調査員が対象者の自宅や職場を実際に訪問して行う手法です。消費者だけでなく、企業などを訪問調査の対象にすることもあります。対面式で行うため、実際の製品や広告を見てもらいながら調査できて、より具体的な意見をもらえる可能性が高いことがメリットです。

郵送調査

郵送調査は、調査票を回答者に郵送し、回答後に返送してもらう手法です。官公庁などで主に使われており、インターネットを利用しない高齢世代に対しても使える点がメリットです。

電話調査

電話調査(CATI:Computer Assisted Telephone Interviewingなど)は、ランダムで電話をかけ、その場で協力を得て質問に答えてもらう手法です。速報性に優れており、選挙の投票調査などでも使われます。

覆面調査(ミステリーショッピングリサーチ)

覆面調査(ミステリーショッピングリサーチ)は、調査対象となる店舗などに調査員が客として訪問し、普段のサービスや態度、言葉遣いなどを調査する手法です。日本でも50年以上歴史がある、伝統的な調査方法です。

定性調査

image06_定性調査の方法.png

定性調査は、質問に対して自由に発言してもらい言葉そのものをデータとして取る調査手法です。数字では拾いきれない、回答者の本音を引き出しやすいことがメリットですが、定量調査と比べると集計や分析に時間を要する調査です。

以下に、定性調査の代表的な調査方法を3つ紹介します。

グループインタビュー(集団面接・FGI:フォーカスグループ)

グループインタビュー(集団面接・FGI:フォーカスグループ)は、座談会を行い、あるテーマについて話し合ってもらい意見やアイデアを収集する方法です。参加者同士の話し合いが刺激となって、ついぽろっと本音が出たり、参加者すら気づいていなかったような潜在的なアイデアを発見できる可能性があります。

6~8人程度の参加者と、司会進行役となるモデレーターとでグループを作って実施する方法が一般的で、最近ではオンラインでの座談会が主流になりつつあります。

◆グループインタビューのメリット

  • 多様な視点からの意見が一度に得られる
  • 参加者同士の意見交換による相乗効果(グループ・ダイナミクス)により、本音や参加者自身も気づいていなかった潜在的アイデアが引き出される可能性がある

複数の参加者が一度に参加するため、モデレーターの力量が不足していると、一部の参加者からは十分に意見が聞き取れなくなる恐れがあることには注意しましょう。

なお、グループインタビューについてより深く知りたい場合は、「【まとめて解説】グループインタビューとは?│特徴・流れ・留意点」もご覧ください。

デプスインタビュー(深層面接・パーソナルインタビュー)

デプスインタビュー(深層面接・パーソナルインタビュー)は、回答者とインタビュアーが1対1で向き合ってヒアリングする方法です。電話やチャットでデプスインタビューが行われるケースもあります。

◆デプスインタビューのメリット

  • 対象者の人となりを理解しやすい
  • 大勢の他人の前では話しにくいことを聞ける
  • 複雑で込み入ったことを詳しく聞ける

ただ、デプスインタビューは1対1で向き合ってヒアリングする必要があるため、多くのサンプルを取ることには向いていません。

デプスインタビューについて│特徴や進め方、メリットやデメリットを知って市場調査に役立てよう!」でも詳しく解説しています。デプスインタビューについて詳しく知りたい方は、あわせてご覧ください。

観察調査(エスノグラフィ・参与観察)

観察調査(エスノグラフィ・参与観察)とは、対象者のありのままの生活や行動、施設の実態などを文化人類学的に観察する手法です。実際の売場にカメラなどをセットし、その映像を見ながらインタビューを行ったり、売り場で起こったことをそのまま記述することで分析を行います。

観察調査は、対象者のありのままの生活や行動を観察できるため、消費者の潜在ニーズの掘り起こしに向いています。ただ、1回に多くの人数に調査を行うことは困難で、実施期間も長くなりがちなので、実施するハードルが高くなりやすいです。

観察調査(エスノグラフィティ)についてもう少し知りたい方は、「エスノグラフィー調査(行動観察調査)とは?方法や実践事例、メリット・デメリットを解説」をご覧ください。

二次データを取り扱うデスクリサーチ

デスクリサーチでは、すでに官公庁やシンクタンクなどが調査して公表されているデータ(二次データ)を利用して調査・分析を行います。市場調査ではまずデスクリサーチで二次データに当たり、不足している情報を一次データとして収集・調査すると効率的です。

◆デスクリサーチのメリットとデメリット

メリット 早く・安く・信頼性の高いデータを入手しやすい
デメリット 誰でも利用できるため、目新しい情報を得られないことも少なくない。また、情報が古いことや、ピンポイントで知りたい情報を得られないこともある。

デスクリサーチで市場調査を行う方法について、別記事「【市場調査】インターネット検索のみでできる?デスクリサーチの方法」にて詳しく解説しています。あわせてご覧ください。

デスクリサーチに役立つ統計データサイト

デスクリサーチに役立つ統計データサイトは、無料、有料問わず多数存在します。さまざまな企業が、ホームページ上で統計調査結果を公表しています。また、図書館や都道府県などの統計資料室でも、有用な統計データを発見できるかもしれません。

以下に、代表的な統計データサイトを一覧表にまとめました。デスクリサーチ実施時に、参考にしてください。

◆デスクリサーチに役立つ統計データサイトの例

無料 e-Stat 国勢調査や消費者物価指数などのデータを公表
統計ダッシュボード 人口や景気動向などの統計データを、グラフ化
統計局ホームページ-総務省 総務省統計局の最新公表データを公開
情報通信白書 -総務省 通信業・放送業に係るデータ・統計を公開
EDINET -金融庁 有価証券報告書など、一般企業の開示書類を公開
消費動向調査 -内閣府 消費者の志向や物価の見通しなどの調査結果を公表
世論調査 -内閣府 国民意識の動向や政府政策に関する国民の意識についての調査結果を公表
JETRO(日本貿易振興機構) 海外のビジネス関連情報や日本企業の海外展開に関する調査結果を公表
有料 日経テレコン 主要新聞の過去記事1億本以上を検索可能
DOW JONES 国内外の雑誌・新聞を閲覧可能
SPEEDA 世界500万社のデータを、約560業界に分類・分析して公表
COSMOSNET(帝国データバンク) 企業信用調査報告書や企業概要などを公開
TSR REPORT(国内企業情報リサーチ) TSR調査員が実際に企業にヒアリングを行った結果を公開
YDB -矢野経済研究所 矢野経済研究所による調査結果を公表
オリコン日本満足度調査 オリコンによる顧客満足度調査結果を公開
J Dream III -JST(科学技術振興機構) 日本最大級の科学技術文献情報データベース
STN -(社)化学情報協会 特許や雑誌論文などのデータを検索可能
MDB -日本能率協会総合研究所 業界調査やマーケティングリサーチについて情報提供

デスクリサーチに役立つサイトについては、「【市場調査】無料で使える統計データサイト11選-GMOリサーチ」でも紹介していますので、あわせてご覧ください。

市場調査の進め方

市場調査方法には様々な種類がありますが、いずれの調査方法を採用する場合でも、大まかな進め方は共通しています。以下に3つのステップに分けて、一般的な市場調査の進め方を解説します。

1.調査の目的を明確にする

まずは市場調査の目的を明確にしましょう。そもそも目的が不明確だと、必要のない情報まで収集してしまい時間や費用が余分にかかったり、せっかく調査を行っても意思決定に活用できなかったりと、調査が無駄になってしまうことがあるからです。

何を解決したいのか、得られた結果をどう活用すべきか、といった見通しを持つためにも、課題から目的を設定し、そこから調査項目や調査方法を決定する手順を踏みましょう。

2.調査を設計する

調査の目的が決まったら、次は調査内容を設計していきます。設計にあたり決めておくべき項目について、以下にまとめました。チェックリストとして一つ一つ確認してみてください。

◆調査設計のプロセス

1 予算、期間決め 予算、期間を決めておかないと、市場調査で余計にリソースを消費してしまう危険性があります。そのため、いつまでに分析結果が欲しいか、もしくは調査の成果としてどこまでのレベルのものを求めるかあらかじめ決定します。
2 仮説立案 市場調査結果について事前に仮説を立てておくことで、結果に対する考察を行いやすくなります。
3 デスクリサーチ すでに市場調査で使える二次データがあれば、それを活用する方が合理的です。デスクリサーチで不足している情報を一次データとして補足するようにすれば、より効率的に市場調査を行えるでしょう。
4 調査手法の決定 目的やリソースから、最適な市場調査手法を決定します。必要に応じて、複数の手法を組み合わせることも有効です。
5 調査設計 調査対象、調査規模、聞き取り内容を最終的に設定しましょう。市場調査結果を分析することを念頭に設計すると、より良質な調査・分析結果や考察を得られる可能性が高まります。
6 設計内容の確認 出来上がった調査設計について、事前に他の従業員などに回答してもらうと、質問表の問題点を事前に把握できるためおすすめです。

3.調査を実施し、結果を分析する

実際に市場調査を実施し、調査結果を分析します。

定性調査を行った場合は、発言内容などをグルーピングし、あくまでも調査目的に沿って意思決定に役立つよう結果をまとめることが大切です。調査結果を分析したら、調査設計時に立案した仮説を検証し、意思決定に役立てましょう。分析結果をチーム内で共有すれば、アイデア出しにも活用できるはずです。

市場調査を行うポイント

市場調査を成功させて、自社のビジネスに活用できる知見を得るには、以下に示す2つのポイントを押さえなければなりません。

事前に仮説を立てる

市場調査前には、事前に仮説を立てておきましょう。

施策や開発の前に「とりあえず」市場調査をしてしまうパターンがあります。仮説がないまま調査を行うと「結果は出たけど、これからどうすればいいのか?」という状態になりかねません。「リサーチ結果を得て何をしたいのか?」を明確にすることで、より市場調査結果を効果的に活用できるでしょう。

市場調査における仮説設定については、「市場調査の調査設計とは?方法とポイントを解説」でも詳しく解説しています。

回答者にとって回答しやすい調査設計とする

調査設計を行う際には、回答者にとって回答しやすいか、十分に注意しましょう。例えば、質問に掲載する質問を立案する際に注意したいポイントは、以下のとおりです。

◆質問表を設計する際の注意点

  • 質問文はあいまいさや誤解のない言い回しにする
  • 論理的な質問構成にする
  • バイアスを避ける

また、市場調査のアンケートでは、回答者は負担が大きすぎると感じると、適切に回答してくれない恐れがあります。調査項目は一度に全部聞こうとせず、必要最小限に絞るよう心がけましょう。

また、質問設計ができたら、プリテストを行うと、どのぐらい回答に時間がかかるのか計測できる上に、質問の表現のわかりづらさなどの課題も抽出できます。調査を行う前に問題点を改善するためにも、事前のプリテストもあわせて行っておくとよいでしょう。

精度の高いアンケート調査票を作りたい方は、「はじめての市場調査:アンケート調査票の作り方は?良い例・悪い例」をご覧ください。

市場調査は自社で行う?調査会社へ依頼する?

ここまで、市場調査の方法や進め方、ポイントについて解説してきましたが、実際に市場調査を行う場合は、自社で行うか調査会社に依頼するかも、考えなければなりません。

市場調査に知見があり、収集したデータを集計・分析できる人材や仕組みが整っているならば、市場調査を自社で行うことも考えてよいでしょう。ただ、実際に自社で市場調査を行うか調査会社に依頼するかは、双方のメリットとデメリットを考慮して決定することをおすすめします。

以下に、自社で市場調査を行う場合と調査会社に依頼する場合、双方のメリットとデメリットをまとめました。それぞれの良さを把握したうえで、どちらを選ぶべきか判断基準としてみてください。

自社で行うメリットとデメリット

まずは、自社で市場調査を行うメリットとデメリットを、表にまとめました。

◆自社で市場調査を行うメリットとデメリット

メリット
  • 背景や課題の理解が早い
  • 責任感や達成意識が社外の人より強い
  • スピードや柔軟性を持った動き方ができる
  • 知見を社内に蓄積することができる
  • 中長期的な人材育成につながる
デメリット
  • 組織運営や人員に固定的な費用がかかり続ける
  • 退職や異動で知見が引き継がれないリスクがある
  • 戦略や戦術に使える情報やデータが限定的である
  • 客観的に自社を捉えられなくなるリスクがある
  • 新しい発想が出てこない

参考『デジタル時代の基礎知識 リサーチ 多彩なデータから顧客の「すべて」を知る新しいルール』石渡佑矢(P.79)

調査会社へ依頼するメリットとデメリット

次に、調査会社へ依頼するメリットとデメリットを、以下の表にまとめました。

◆調査会社へ依頼するメリット・デメリット

メリット
  • 自社で本来やるべきことに時間を集中できる
  • 必要なときに必要な部分にのみ費用を捻出すればよい
  • 多様な情報やデータを活用できる
  • 社内に足りないスキルやノウハウを利用できる
  • 他社や異業種の成功/失敗事例を参考にできる
デメリット
  • 背景や課題を説明する時間を要する
  • 品質やパフォーマンスをチェックする手間を要する
  • 一つひとつの業務の細かい部分までは知ることができない
  • 場合によっては内製の運営コストを上回る
  • 委託先の倒産や事業撤退リスクがある

参考『デジタル時代の基礎知識 リサーチ 多彩なデータから顧客の「すべて」を知る新しいルール』石渡佑矢(P.79)

調査会社に市場調査を依頼する作業範囲はさまざまです。

例えばリクルーティング(回答者の確保)だけ依頼することも可能ですし、スクリーニング(条件に該当する回答者の洗い出し)から実査(実際の調査)、分析まで丸ごと依頼することもできます。

依頼を検討する場合は、自社の状況と予算を考慮して、どの程度まで調査会社に依頼するか決定するとよいでしょう。

また、最近ではリクルーティングや実査のみのインターネットリサーチの依頼ならば、かなり手軽な価格で依頼することも可能になっています。そのため、より手軽に調査会社に依頼できるようになってきていると言えるでしょう。

インターネット調査の費用相場

アウトソーシングの費用相場の例として、GMOリサーチにおけるインターネット調査の費用相場(海外旅行経験者調査)を紹介します。他にもGMOリサーチではインターネット調査サービスを提供していますので、詳しくはホームページを参照してください。

◆GMOリサーチにおけるインターネット調査費用等の一例(海外旅行経験者調査)

調査方法 スクリーニング調査 + 本調査
費用 631,000円(税別)
対象者 直近1年間に海外旅行に行ったことがある方
サンプル数 2,000件
スクリーニング設問数 5問
本調査設問数 20問
納品物 GT表・ローデータ

設問カウントルール:デモグラフィック設問はカウント対象外、マトリクス設問は10×10で1問、音声・動画は10秒で1問

その他の調査費用相場

GMOリサーチでは、インターネット調査以外にも市場調査に関するサービスを提供しています。以下の表に、調査費用の目安をまとめました。

◆その他の調査費用相場

項目 内容 費用の目安
CLT参加者募集 スクリーニング5,000サンプル・15問 約80,000円~
HUT参加者募集 スクリーニング10,000サンプル・15問 約130,000円~
デプスインタビュー 5サンプル・60分 約130,000円~

自社での実施と調査会社への依頼、どちらを選ぶべきか

ここまで、市場調査を自社で行う場合と、調査会社へ依頼する場合について、双方のメリット・デメリットを解説してきました。

双方のメリット・デメリットを踏まえると、市場調査を自社で実施すべきか、調査会社に依頼すべきかは、以下の判断基準で行うとよいでしょう。

◆市場調査を自社で実施すべきか、調査会社に依頼すべきかの判断基準

自社での実施 自社に市場調査ノウハウがあり、時間をかけてでも自ら十分調査したい
調査会社への依頼 自社に市場調査ノウハウや時間、リソースがない

ただ、多くの企業では自社で十分な市場調査ノウハウや時間、リソースを有していないものです。そのため、市場調査に自信がない限りは、基本的には調査会社への依頼をおすすめします。

まとめ|市場調査を自社のビジネスに役立てよう

市場調査は、現在の市場や消費者感覚を理解する際に役立ちます。

市場調査方法は、一次データを扱う定量調査と定性調査、さらには二次データを扱うデスクリサーチの3種類に大別されます。いずれの調査方法を活用する場合でも、仮説を立てて回答者が回答しやすい調査設計にした上で、正しい進め方で行いましょう。

また、自社に十分な市場調査ノウハウやリソースがない場合は、調査会社に市場調査を依頼することも検討しましょう。

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よくある質問

Q1.市場調査とマーケティングリサーチの違いは?
厳密に言えば、市場調査はマーケティングリサーチのうちの一つの調査手法です。ただ、実際には市場調査とマーケティングリサーチは、同じような意味で用いられることも珍しくありません。
詳しくは「市場調査とマーケティングリサーチの違い」の章をご覧ください。
Q2.市場調査は、自社で行うべきか?それとも調査会社に依頼すべきか?
自社に市場調査ノウハウがあり、時間をかけてでも自ら十分調査したい場合は、自社で行ってもよいでしょう。ただ、多くの企業では自社で十分な市場調査ノウハウや時間、リソースを有していないものです。そのため、市場調査に自信がない限りは、基本的には調査会社への依頼をおすすめします。 詳しくは「市場調査は自社で行う?調査会社へ依頼する?」の章をご覧ください。
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