リッカート尺度とは?メリットと設問作成時の注意点を解説

2022年08月12日

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リッカート尺度とは

リッカート尺度の意味や特徴に加え、アンケートで用意されることが多い中立的選択肢について解説します。

リッカート尺度の特徴

リッカート尺度
あるトピックに対して、多段階の選択肢を用いたアンケートを取り、回答者がどの程度同意するかを測定する手法。

リッカート尺度では、両極に位置する選択肢の間に「大変満足、満足、普通」のように段階的な選択肢を設定することで、「はい・いいえ」など単純な2択では測定しにくい質問でも回答を集めやすいです。

  • 賛成を意味する選択肢
  • 反対を意味する選択肢

両極に位置する選択肢の間に、等間隔で選択肢を配置します。

選択肢の段階数については、「5段階」「7段階」を用いることが多いです。

選択肢の段階を決めるときには、以下の2項目を考慮しなければなりません。

  • アンケート実施者がアンケート結果を細かく分析しやすいか
  • アンケートの回答者が負担を感じずに回答しやすいか

選択肢が多いほど細かくアンケートの結果を分析できますが、アンケートの回答者が負担を感じて、途中で回答をやめる回答者や適当に回答する回答者が出てくるおそれがあります。

一方選択肢が少ないと、回答者が全ての質問にきちんと答えてくれる可能性は高まりますが、アンケートの結果を細かく分析することは困難です。

このように、細かい分析のしやすさと回答のしやすさはトレードオフの関係にあり、両者のバランスは「5段階」か「7段階」で最も取れるケースが多いとされています。

中立的選択肢

リッカート尺度を用いたアンケートでは、中立的尺度(「どちらとも言えない」という選択肢)も用意することが一般的です。

中立的尺度を用意することで、単純な2択では測定しにくい質問では中立的尺度で回答すればよいため、回答者の心理的負担を減らせます。

回答者の心理的負担を減らせれば、回答サンプルが増えるためよりアンケート結果の信頼性を向上させることができるのです。

ただし、選択肢の表現などに注意しないと、中立的選択肢に回答が集中するおそれがあります。

中立的選択肢に回答が集中することの問題点や対策については、後ほど詳しく説明します。

リッカート尺度のメリット

リッカート尺度のメリットを2つ解説します。

アンケートの回答を得やすい

自由記述形式など質問の対象範囲が広いアンケートの場合、「回答をしっかり考えて書くのが面倒」と考えて回答者がストレスを抱くおそれがあります。

回答者が強くストレスを感じると、回答者はアンケートへの回答を負担に感じて回答したくないと考えるものです。

リッカート尺度を用いたアンケートは選択肢から回答を選ぶ形式のため、記述式よりもシンプルで答えやすく、アンケートの回答を得やすいでしょう。

アンケートの回答を集めやすくなり回答率が上がることで、サンプル数も増えて分析精度が向上します。

詳細な意見を聞き取りやすい

リッカート尺度を用いたアンケートでは、1つのトピックに複数の選択肢を用いて質問するため、より詳細な意見を聞き取りやすいです。

より詳細な意見を聞き取ることが可能なため、1つのトピックに対して価値観や考えを深掘りできます。

価値観や考えを深掘りできると、分析時に正確な結果を得やすいはずです。

また、リッカート尺度を用いたアンケートでは、1つの項目に対して流れに沿って回答してもらえます。

例えば、レストランのコース料理に関するアンケートでは、実際に出したメニュー順にアンケートを作成すれば回答者は無理なく回答できるでしょう。

◆アンケート例

1.オードブルに、どの程度満足していますか?
  • 非常に満足している
  • 満足している
  • どちらとも言えない
  • あまり満足していない
  • 全く満足していない
2.スープに、どの程度満足していますか?
  • 非常に満足している
  • 満足している
  • どちらとも言えない
  • あまり満足していない
  • 全く満足していない
など

また、報告者も実際に出したメニュー順に分析結果を報告すればいいので、報告者も聞き手もわかりやすいこともメリットです。

リッカート尺度の活用例

リッカート尺度は、市場調査や写真への意見徴取などさまざまな場面で用いられます。

ここでは、リッカート尺度の活用事例を4つ解説します。

【活用例1】顧客の満足度調査

顧客の満足度調査ではリッカート尺度を用いたアンケートが頻繁に活用されます。

以下のアンケート例では、飲食店にお客様が抱いている印象を調査し、不満点を聞き取ることを目的にしています。

◆アンケート例

A店の接客に、どの程度満足していますか?
  • 非常に満足している
  • 満足している
  • どちらとも言えない
  • あまり満足していない
  • 全く満足していない

【活用例2】ブランド認知度・企業イメージ調査

リッカート尺度はブランド認知度や企業イメージ調査にも活用できます。

今回の例では、アンケートを通じて以下の項目を分析すると仮定しています。

  • 企業やブランドがどのくらい顧客から認知されているか
  • 企業やブランドに対し、顧客がどのようなイメージを持っているか

◆アンケート例

B社のイメージについて、当てはまる項目を選んでください。
  とても当てはまる やや当てはまる どちらとも言えない あまり当てはまらない 全く当てはまらない
一流企業である
信頼できる
親しみを感じる
※質問の一部を抜粋

【活用例3】広告の効果測定調査

広告の効果測定調査においてリッカート尺度を用いたアンケートの例を示します。

◆アンケート例

C社が放映しているCM広告をご覧になって、どのように感じましたか。
  そう思う ややそう思う どちらとも言えない あまりそう思わない そう思わない
商品に興味を持った
購入したくなった
商品の使い方が理解できた
※質問の一部を抜粋

【活用例4】従業員の意識調査

「社員教育に関する従業員の意識調査」というテーマにおけるアンケートの例は以下のとおりです。

◆アンケート例

今回の研修は、あなたの業務に役立つと思いますか?
  • 非常に役立つ
  • 役立つ
  • どちらとも言えない
  • あまり役立たない
  • 全く役立たない

リッカート尺度の注意点

リッカート尺度を用いたアンケートは、アンケートの回答を得やすいことと詳細な意見を聞き取りやすいことがメリットです。

しかし、尺度の段階や表現などに注意しないと、十分に効果を発揮しない可能性があります。

リッカート尺度の注意点を3つ解説します。

尺度の段階や質問数で回答率や質が左右される

リッカート尺度を用いたアンケートを作成するときには、尺度の段階や質問数の設定に注意しましょう。

尺度の段階や質問数が増えすぎると、回答者は負担を感じます。

アンケートの回答に負担を感じると以下のリスクが想定され、適切な分析を行うために必要な質と量のアンケート結果を得られないかもしれません。

  • アンケートの離脱率が上がる
  • 適当に回答する回答者が増える

回答者に負担を感じさせる質問は避けるべきですが、反対に尺度の段階や質問数が少なすぎてしまうと、分析精度が低下するおそれもあります。

一定以上の分析精度を確保でき、かつ、アンケートの回答に負担を感じないよう、尺度の段階や質問数を慎重に設定しましょう。

回答率や回答の質を向上させるには、以下のポイントにも注意します。

  • 各尺度の距離は均等にする
  • すべての範囲を網羅できるように選択肢を設定する
  • 選択肢の文言は数字ではなく言葉を使い、すぐに選択肢の意味を理解できるようにする

中立的尺度に回答が集中しやすい

リッカート尺度を用いたアンケートは、中立的尺度に回答が集中しやすい傾向にあります。

中立的尺度に回答が集中しやすいのは、中立的尺度は「Yes・No」では回答が難しい質問に関する回答者の負担を和らげるために設けられるからです。

中立的尺度に回答が集中しやすい理由としては、大きく以下の3つが考えられます。

  • 興味関心が薄い
  • 質問の意図を理解できていない
  • 明確な回答をすることに不利益がある

しかしアンケート結果だけでは、中立的尺度を選択した理由まで把握することは困難です。

選択した理由を把握できない回答が増えてしまうと、アンケート結果全体を正しく分析することはできません。

中立的尺度の回答割合が多い場合は、質問の意図がわかりやすく、回答しやすい選択肢になっているかを確認しましょう。

選択肢はわかりやすい表現を使う

選択肢には正確でわかりやすい表現を使うことで、アンケートに回答してもらいやすくなります。

選択肢のOK例とNG例は、以下のとおりです。

OK例
D店の接客態度にどの程度満足していますか?
NG例
D店のサービスはよかったですか?

OK例はNG例と比べて、具体的に「何に対してどのように思ったか」を質問しているため、回答者が答えやすいです。

また、選択肢の両端には、両極端な選択肢を用意しましょう。

例えば、料理の味に関するアンケートにおける選択肢のOK例とNG例は以下のとおりです。

OK例
「とてもおいしい」「おいしい」「どちらとも言えない」「あまりおいしくない」「全くおいしくない」
NG例
「おいしい」「ややおいしい」「どちらとも言えない」「ややおいしくない」「おいしくない」

OK例はNG例と比べて、選択肢の両端がより極端です。

選択肢の両極が極端であれば、アンケートの回答者は各選択肢の違いを正確に理解できます。

各選択肢の違いを理解できることで、アンケートの回答者はアンケートに答えやすくなるはずです。

まとめ

リッカート尺度とは、あるトピックに対して多段階の選択肢を用いたアンケートを取り、回答者がどの程度同意するかを測定する手法です。

選択肢に従いアンケートに回答してもらうことで、回答者にストレスを与えずデータを集計できます。

ただし、中立的選択肢に回答が集中すると、結果の分析が困難になる点は注意しましょう。

リッカート尺度を用いてアンケートを作成する際は、回答者が正確に理解できるわかりやすい選択肢を設定することが成功のコツです。

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