【自主調査】生成AIは案ずるより産むが易し?生成AIのビジネス活用への意識、利用状況を日米で比較

2023年10月16日

generative -ai

 ChatGPTの登場は世界に「生成AI」の大旋風を巻き起こし、AIを身近な存在へと変化させました。様々な生成AIサービスが誕生している昨今、日本ではそれらをどのように捉えているのでしょうか。また、活用は進んでいるのでしょうか。

 今回GMOリサーチは生成AIに対する意識を高め、利用を促進することを目的とし、生成AIに関する意識・利用状況についての調査を日米で実施し、その結果を比較しました。

【調査結果1】生成AI活用の現状は?ビジネスにおける活用状況を調査

 米国の大手IT企業の生成AI関連の動向など、生成AIサービスの開発に関するニュースは日々メディアに取り上げられていますが、一般の人々の間での利用は進んでいるのでしょうか。利用はされているのか、業務活用は進んでいるのか、どのように利用しているのか、日米の状況を比較しながら見ていきましょう。

生成AIの業務利用経験において日本は米国に大きく遅れを取っている

 生成AIを認知している人のうち、既に利用経験のある人は、日本18.7%、米国29.5% と、米国の方が生成AIの活用が進んでいます。

 さらに、業務利用経験がある人については、日本10.7%に対して、米国29.5%と約3倍、日米間で大きな差のある結果となりました。

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業務利用している層は男性、20~30代が中心

 生成AIを業務利用者層については、性年代別にみると、日本では男性の利用経験者割合(14.5%)が女性(6.9%)の約2倍、米国でも男性(34.7%)の方が女性(24.3%)よりも高い結果となりました。また、年齢層については日米ともに、20代、30代が中心となっています。

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日本では「生産性の向上」、米国では「品質の向上」が利用用途の1位

 業務利用の用途では、「テキスト生成」を目的として生成AIを用いる人が、日米 ともに生成AI利用者の7割近くにのぼり、圧倒的に多いことが分かりました。

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業務利用しない理由は「利用方法がわからない」が最多

 生成AIの業務利用していない人に、その理由を尋ねたところ、日米ともに4割弱の人が「生成AIの利用方法がわからないから」と回答しています。

 米国では、日本と比較して、社内・部内でのコミュニケーションが不足する点及び、生成AIの安全性や品質をその理由として挙げる人が多く、日本では費用面を理由とする人が多いという違いが見られました。

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【調査結果2】生成AIは自社のチャンスか、それとも脅威か、人々の認識は?

 前章では生成AI の業務利用状況について見てきました。本章では勤務先の会社にとって、生成AIの出現はチャンスと捉えているのか、それとも脅威と捉えているのか、その理由と併せて見ていきましょう。

自社の「チャンス」と考える人が圧倒的多数、ただし米国では日本の2倍

 生成AIを認知している人に、勤務する会社への生成AIの影響についてたずねたところ、日米ともに、脅威よりもチャンスと捉えている人が圧倒的に多い結果となりました。

 ただし、チャンスと考える人は日本の32.8%に対して、米国では63.2%となっており、生成AIによってビジネス機会が創出されると考える人は、米国では日本のほぼ2倍存在することが見て取れます。

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チャンスだと思う理由は「生産性の向上」がトップ

 勤務する会社への生成AIの影響について「大きなチャンスである」「チャンスである」と考える人に対して、その理由をたずねたところ、理由のトップは日米ともに「生産性の向 上」で一致しました。日本では、次いで「ミスや事故の減少」、「高精度なデータ分析や予測が可能」と続き、米国では、「高精度なデータ分析や予測が可能」、「品質の向上」が挙げられました。

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脅威だと思う理由は「安全性の問題」、次いで「品質の問題」

  勤務する会社に対する生成AIの影響について「大きな脅威である」「脅威である」と考える人に、その理由をたずねたところ、日米ともに「安全性の問題」がトップとなりました。

 米国では日本と異なり、安全性の問題の他、「生成AIの品質の問題」や「自社ビジネスとの親和性が低い点」なども4割以上の人が脅威の理由として挙げています。

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【調査結果3】生成AIの業務利用経験が認識に与える影響

 生成AIをポジティブに捉えるか、ネガティブに捉えるか、その捉え方に利用経験の有無は関係しているのでしょうか。生成AIの業務利用経験者と未経験者に分けて、その認識を比較、分析しました。

生成AI利用経験者は未経験者よりも生成AIを自社のチャンスと捉える傾向

 勤務する会社への生成AIの影響について、生成AIの利用経験の有無別に分析すると、利用経験者は未経験者と比較して、チャンスだと認識する人の割合が日本では19.1ポイント、米国で31.5ポイント増加し、脅威だと感じる人が減少しているという結果となり、利用経験者は未経験者と比較して生成AIをチャンスと考える割合が高いという傾向がみられました。

 また、日本の利用経験者の4割程度がチャンスだと認識するのに対して、米国では利用経験者の8割が生成AIによって、ビジネス機会が創出されると考えているという差があることも分かりました。

 

さらに、生成AIの業務利用経験の有無別にみると、業務利用経験者は未経験者と比較して、チャンスだと認識する人の割合が日本では56.6ポイント、米国で36.4ポイントと大きく増加しています。

 また、チャンスだと認識する人の割合について、業務利用経験者同士で比較すると、日米で大きな相違はなく、両国ともに約8割の人がビジネス機会が創出されると考えていることが見て取れます。

 

これらの結果から、実際に生成AIを利用してみると、理解が深まることで生成AIに対してポジティブな可能性を感じ、さらに業務で利用することにより、具体的な活用イメージが湧き、ポジティブな可能性をより強く感じるのではないかと推測することができます。

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生成AIに対する理解不足が懸念を増幅させている可能性

 生成AIの業務利用経験の有無が、懸念する項目にどのような相違をもたらすかをみてみると、日本では、「生成AIに入力した情報が他者に漏洩するリスク」や「人工知能の判断基準が不明」という点について、利用経験者のほうが未経験者よりも懸念する割合が高く、業務利用することで、それらをより認識するようになっていると思われます。一方、「失業者の増大」という点については未経験者の方が懸念する割合が高く、利用経験者との間に大きな差が見られました。

 また、米国では、業務利用の未経験者のほうが「人間との対話の喪失」や「失業者の増大」を懸念する人の割合が高いという結果となり、生成AIの理解不足によって、これらの懸念が増幅している可能性が考えられます。

 実際に業務利用してみることで、想像していたほど生成AIが万能ではないということが分かり、その理解がこれらの懸念の増幅・減衰どちらにも影響していると推測できます。

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まとめ

 ここまで生成AIの利用状況について日本と米国を比較しながら見てきました。生成AIの利用経験の有無については日米間で大きな差は無いものの、生成AIに対する意識や利用実態、期待には国による違いが見られました。米国では生成AIを前向きに捉える人が多く、業務への活用も進んでいるのに対し、日本ではまだ積極的な姿勢や利用実態が限定的であることが示唆されました。

 また、生成AIの利用経験、特に業務利用経験の有無による認識の差は大きく、利用経験者は未経験者よりも生成AIに対して前向きな認識を持っているという傾向が見えました。生成AIを利用したことが無い人の未利用理由も「利用方法がわからない」が1番に上がっており、生成AIの普及と活用には生成AIの理解が重要であり、その理解には、利用してみることが有効策の1つになると考えられます。

 

市場調査の実施はGMOリサーチへ

今回は生成AIをテーマとした調査を紹介しましたが、GMOリサーチでは様々な業界・業種でのマーケティング・リサーチを実施しています。

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調査概要

詳細:生成AIの利用実態・意識に関する調査
調査方法:オンラインアンケート
調査期間:2023年8月9日~8月18日
調査地域:日本・米国
有効回答:日本1,047名、米国1,048名
調査対象:生成AIについて認知している20歳~69歳の正社員
 

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