ギャップ分析とは?意味や手順、4つのフレームワークを解説

2022年06月21日

gap-analysis

ギャップ分析とは、理想の状態と現在の状況とのギャップを解決するために、やるべきことを洗い出す課題抽出方法です。ビジネスの現場では経営戦略やマーケティング戦略の立案で活用されることが多いです。

本記事では、ギャップ分析に役立つフレームワークや分析手順を中心に解説します。

ギャップ分析とは?

ギャップ分析
理想(To Be)と現実(As Is)の間にあるギャップ解消に必要な項目を洗い出す課題抽出方法。ビジネスでは主に「現在の業績と理想の業績の比較」「商品イメージに対する理想と現実の比較」などに活用される。

ギャップ分析は、ビジネスにおいて企業の経営課題解決やマーケティング戦略の立案に役立ちます。また、日常生活の課題を洗い出すためにも活用できます。

ギャップ分析では、目標に到達するために必要なプロセスを数値にして定量化し、目標数値と比較しながらギャップを埋めていくことが重要です。

例えば、現状の売上が500万円である企業が売上目標を1,000万円と設定している場合、500万円のギャップが生じています。

生じている500万円の売上を達成するためにWhyを繰り返していくと、以下のような課題が抽出されます。

  • 売上目標の数値が非現実的
  • 主力商品の業界シェアの低下
  • 顧客のリピート率低下
  • 新規購入者の減少
  • 自社の人手不足

上記のようにギャップ分析で洗い出した課題を分析し、ギャップ解消に必要な解決策を検討し実行していきます。

ギャップ分析が役立つ3つの場面

ビジネスにおいてギャップ分析は、主に企業の課題解決やプロジェクト管理などでも活用されます。具体的には、ギャップ分析が役立つのは以下のような場面です。

  • 経営戦略の見直し
  • マーケティング活動の改善
  • ステークホルダーに対するIRの開示

ギャップ分析を活用すると目標に辿りつくための指針ができ、どのような戦略が必要なのか把握できます。

また課題の優先順位も設定しやすくなります。例えば、経営戦略の見直しやマーケティング活動の改善であれば、抽出した課題の中から「業績に与えるインパクトが大きい要素」の優先度を上げるとよいでしょう。

ギャップ分析は現状と理想の業績を比較して経営見直しする際にも活用されるため、ステークホルダーへのIR資料開示が必要になった際にも役立ちます。

ギャップ分析の手順

ギャップ分析の手順は、以下の4ステップに分けられます。

  1. 理想のあるべき姿を考える
  2. 現状を基準として設定する
  3. ギャップを認識し、実現可能な課題に落とし込む
  4. 実施可能な解決策を決定し、計画を実践する

1.理想のあるべき姿を考える

ギャップ分析を実施する際は、まず理想のあるべき姿から考えます。設定した理想に近づけるためには、理想の状態を目標設定できるように数値化する必要があります。

理想の状態を数値化するためにOKR・KPI・SMARTなどの目標設定手法を活用します。

  • OKR:「Objectives(目標)・Key Results(主要な結果)」の略。目標を設定する際に、達成に求められる具体的な数値も提示すること。
  • KPI:Key Performance Indicator(主要業績評価指標)の略。目標の達成度合いをチェックするための定量的な指標を指す。
  • SMART:Specific(具体的)・Measurable(測定可能)・Achievable(達成可能)・Relevant(関連性)・Time-bound(明確な期日)の5項目に沿って目標を設定する手法。

理想の状態を数値化しておくとギャップ分析で課題を抽出する際にスムーズです。

2.現状を基準として設定する

現状の業績や状況を把握し、基準として設定します。

例えば理想とする売上目標金額を設定した場合は、現在の売上を基準として設定しましょう。また、売上に関わる「営業担当の人数推移」「クレーム件数の変化」などの情報も集計しておきます。

他にも「お客さまの声」などの定性データも、現状を把握するためには必要です。必要に応じてアンケート調査や座談会などマーケティングリサーチを実施し、顧客ニーズや顧客が持つ不満点から自社の抱える課題を見つけ出すこともできます。

現状を抜け漏れなく把握するように意識しましょう。

3.ギャップを認識し、実現可能な課題に落とし込む

1で設定した理想の状態と、2で洗い出した現状の状態を比較し、ギャップ解消のために必要な課題を抽出して、実現可能な課題に落とし込んでいきます。

そこで洗い出した課題に対して「Why」を繰り返し、実現可能なKPIを設定できるまで内容を深堀りしましょう。

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例えば売上目標を1,000万円に設定し、現状の売上が500万円とすると理想に対し500万円のギャップがあるとします。
洗い出した課題に対して「Why」を繰り返し、大きな課題として「営業人員不足」が考えられるとしたら、実現可能なKPIを設定できるまで内容を深堀りしましょう。

営業人員不足の解決策として「営業を1名採用し人員を補充する」目標設定を導き出せました。

4.実施可能な解決策を決定し、計画を実践する

洗い出した課題を元に、解決策を導き出し効果の高い施策を選定します。上記で紹介した例では、営業人員不足の解決策として「営業人員を1名人採用し人員を補充する」目標を設定しました。

仮にギャップ分析によって施策が3パターン出てきても、すべてを実施する必要はありません。パフォーマンスの高い施策のみに注力し、他のKPIはペンディングとして残します。
パフォーマンスの高い施策を検討する際は、施策案ごとの費用対効果を計上し選定するとよいでしょう。

施策を決定したら「必要な準備時間」「改善に要する期間」を明確にし、計画表を作成します。さらに組織としてのKPIを個人レベルの目標へと落とし込み、目標達成に向かうようにします。

ギャップ分析に役立つ4つのフレームワーク

ギャップ分析を実施する際は、以下のようなフレームワークを活用しながら行うとより実施しやすいでしょう。

  • PEST分析・PESTLE分析
  • クロスSWOT分析
  • マッキンゼーの7S
  • フィッシュボーン・ダイアグラム

PEST分析・PESTLE分析

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PEST分析
自社を取り巻く環境を、政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Social)、技術(Technology)の4つに分け、自社にもたらす影響を把握する分析手法。企業のマクロ的な環境要因を考える際に活用される。

外部のマクロ要因は自社内のみで対処することが難しいですが、PEST分析により外部のマクロ要因を把握でき、市場リスクを踏まえた現状分析が可能です。

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PESTLE分析
PEST分析に法律(Legal)、環境(Environment)を加えた分析手法。PEST分析よりも広範囲で自社を取り巻く外部のマクロ要因を把握できる。

企業を取り巻く要素として、PEST以外にも法律・環境面のリスクが挙げられます。例えば、海外展開する場合は各国の法律に従ったり、数年後に法改正が行われる場合は改正後の法律に則ったサービス展開を想定したりする必要があります。

環境面については、例えば「地球環境に配慮したエコな材料を利用しているか」という点に気を配る必要があります。

クロスSWOT分析

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クロスSWOT分析
SWOT分析の4項目[強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)]を「機会×強み」のように組み合わせ、自社の優位性を活かした施策策定に役立つフレームワーク。

SWOT分析は企業の内部要因、外部要因の双方から自社を取り巻く環境を把握できるため、自社内部の改善策を発見するのに役立ちます。実施することで、思わぬ外部環境が自社の強みにも弱みにもなりうることがわかる場合があります。

各項目を重ね合わせたクロスSWOT分析では「強み」と「機会」が合わさった項目を主に検討していきます。そのため企業が最も競争優位性を発揮しやすい施策の検討が可能です。

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マッキンゼーの7S

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マッキンゼーの7S
組織構造、戦略、スキル、スタッフ、スタイル、システム、共通の価値観の7つの観点から、理想と現実とのギャップを推定する分析ツール。

マッキンゼーの7Sでは、経営資源を「ソフト4つ・ハード3つ」の合計7つに分類しています。

  • ソフトの4S:スキル、スタッフ、スタイル、共通の価値観
  • ハードの3S:組織構造、戦略、システム

それぞれの要素に相互関連性があるため、ひとつの要素が問題に見えても、実際は他の6つの要素にも問題が生じている可能性があります。マッキンゼーの7Sでは相互的な関連性を「線」で示しており、課題を漏れなく抽出しやすい分析ツールです。

一口に「企業戦略に課題がある」といっても、新規戦略の足かせとなるシステムや組織構造が存在する可能性があります。

他にも「人員が不足している」と課題が導き出せたとしても、実はスタッフの人数ではなく組織体系に問題がある、というケースも十分にあり得るということです。

フィッシュボーン・ダイアグラム

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フィッシュボーン・ダイアグラム
現在の結果を引き起こした原因を深掘りし図式化させたフレームワーク。複数の要因が起因している場合に漏れなく要因を把握しやすい。

フィッシュボーン・ダイアグラムはひとつの課題に対し、複雑な要因が絡む分析に対して活用できるフレームワークです。

ひとつの大きな課題(今回の場合は「純利益が激減した」)に対し、背骨(太線)を引き、その後大骨・小骨を引くことで、魚の骨のように見えることから、フィッシュボーンという名前がついています。

課題に対して多角的な視点で要因を把握しやすく、視覚的にも掴みやすいフレームワークです。

まとめ

ギャップ分析は、理想の姿を達成するために必要な課題を抽出する方法です。さまざまな施策を実施しているのにかかわらず結果が出ない場合は、ギャップ分析を実施することで他の主要因を発見できるかもしれません。

4つのフレームワークも活用して現状と理想の間にある課題を抽出し、適切な施策を実施することで自社の目標を達成しましょう。

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