デシル分析とは|活用のメリットやExcelでの分析手順を解説

2023年11月10日

デシル分析とは|活用のメリットやExcelでの分析手順を解説

効率的なマーケティング施策を行うためには、全ての顧客に画一的なアプローチをするのではなく、優良顧客を見きわめ重点的にアプローチすることが大切です。優良顧客を見極める手法は複数存在しますが、Excelでも簡単にできる分析手法の1つに、デシル分析があります。

本記事では、デシル分析のメリット・デメリット、Excelを活用したデシル分析の手順を解説します。

デシル分析とは

1人あたりの購入金額平均値のグラフ

デシル分析とは、顧客を購入金額順に10段階にわけ、各グループごとに購入比率や売上高構成比を算出する分析手法です。「デシル」はラテン語で10等分を意味します。購入金額の高い顧客層を見つけて優先的にアプローチするなど、効率的なマーケティング施策を立案するために行われます。また、顧客に合わせたアプローチをすることで、リピーター獲得も期待できます。

デシル分析の活用例

デシル分析は、ターゲティングを行いたい時に活用できます。顧客全員に対し画一的なアプローチをしていては、時間や費用のコストがかさんでしまい、施策の費用対効果が低くなってしまいます。デシル分析では、購入金額ごとに10のグループに分類するため、優先的にアプローチしたいターゲットを絞り込むことができます。

また、デシル分析の結果をもとに購入金額の高い顧客グループの属性や傾向などの共通点をより深く分析し、解像度の高いペルソナを作り上げることで、新商品のコンセプト設計に活かした例もあります。

他の顧客分析との違い

デシル分析は代表的な顧客分析手法の1つですが、他にも2つの分析手法があります。

RFM分析

RFM分析は、以下の3つの指標を用いて顧客を分類する分析方法で、多くの場合、顧客生涯価値(LTV)の最大化を目的に行われます。

  • Recency(直近の購入日)
  • Frequency(頻度)
  • Monetary(購入総額)

購入金額のみを指標とするデシル分析と比較すると、RFM分析の方が3つの指標で顧客を分類するため、より詳細に顧客の分析が可能です。しかし、指標が増えるぶんデータが複雑化するため、活用が難しくなります。

RFM分析について詳しく知りたい方は「RFM分析とは?マーケティングに役立つ基本知識や分析方法を紹介」をご覧ください。

ABC分析

ABC分析は、売上高・コスト・在庫などから評価軸を1つ定め、多い順にA、B、Cと3つのグループにわけて、優先度を決める分析手法です。売上を評価軸にし、商品の在庫管理に使われることが多い手法ですが、品質管理や得意先の管理、売れ筋商品の理解など幅広く活用できます。

ABC分析で用いる指標は、デシル分析と同じく1つだけです。しかし、デシル分析では10グループに分類するのに対し、ABC分析では3グループと少ないのが特徴です。グループ数が少ないぶん、シンプルな分析で全体像を把握できますが、各グループのターゲット像はデシル分析よりもあいまいになります。

ABC分析について詳しく知りたい方は「ABC分析とは?必要な理由や手順などをまとめて解説」をご覧ください。

デシル分析のメリット

顧客分析の手法は複数ありますが、デシル分析を活用するメリットは2つあります。

簡単に分析できる

デシル分析で扱う指標は、「購入金額」1つだけです。顧客リストが手元にあり、各顧客の購入金額さえわかれば、複雑な計算を行わなくとも簡単に実行できます。専用の分析ツールもありますが、デシル分析ならばExcelやスプレッドシートなどの無料ツールでも分析が可能です。また、一般的なExcel関数を知っていれば実施できるため、専門的な知識も必要ありません。

施策の立案が容易

購入金額から顧客を10段階にわけるデシル分析は、分析結果がシンプルで、ターゲットの絞り込みが容易です。また、扱う指標も「購入金額」と売上に直結するものであり、購入金額の高い層に絞ったアプローチに注力するなどの施策立案に活用することができます。

デシル分析のデメリット

デシル分析のデメリットは、購入金額以外の要因を考慮できないことです。消費者は、商品を購入する時に「使用感」や「口コミ」など、金額以外の要素も考えます。しかし、デシル分析の指標は「購入金額」の1つしかないため、複数要素を加味できないのです。

また、売上を多角的に分析したい場合にも不向きです。例えば、過去に1度だけ高額な商品を購入した顧客Aと、1回ごとの購入金額は少ないものの継続して購入している顧客Bがいるとします。デシル分析では購入金額によってグループわけするため、この場合は顧客Aが優良顧客層に該当します。しかし、今後も継続的に商品を購入する可能性が高いかどうかという視点で考えると、見込みが高いのは顧客Bです。より緻密なマーケティング施策を行いたい場合には、RFM分析など他の分析手法と組み合わせる必要があります。

【実践】Excelを用いたデシル分析のやり方を4ステップで解説

デシル分析は、Excel関数を使うことで簡単に実施できます。本章では、Excelを使ってデシル分析を行う手順について、4つのステップにわけて解説します。

  1. 分析に必要なデータを用意する
  2. 顧客を購入金額順に整理する
  3. 上位から10個のグループに均等に分ける
  4. グループごとの構成比を算出する

1.分析に必要なデータを用意する

まずはデシル分析に必要なデータを用意します。

▼必要なデータ

  • 注文を識別できる項目(注文番号など)
  • 顧客を識別できる項目(顧客IDなど)
  • 購入日
  • 購入金額

2.顧客を購入金額順に整理する

デシル分析に必要な項目を用意したら、顧客を購入金額順に整理します。今回は、2023年3月31日〜2023年5月6日までの売上データを取り込みました。

売上データの一覧表

続いて、使用する売上データの期間を設定します。1ヶ月や6ヶ月、1年など一定期間を任意で決め、リスト化します。今回は、使用する売上データの期間を2023年4月1日〜2023年4月30日と設定しました。

2023年4月1日〜2023年4月30日のみの売上データ一覧表

ここまで準備ができたら、次は「挿入」タブ内にある「ピボットテーブル」を使い、顧客ごとの購入金額の合計を算出します。行ラベルには「顧客ID(顧客名)」、値ラベルには「購入金額」をドラッグします。

ピボットテーブルの画像

顧客ごとの購入金額の合計が自動集計されたら、購入金額が大きい順になるよう、降順で並べ替えます。

ピボットテーブル内のデータを並べ替えている画像

3.上位から10個のグループに均等に分ける

次は、顧客を「購入金額」が多い順に順位づけします。例えば顧客30名を10ランクに分ける場合、3名ずつにわけてランク付けします。

「購入金額」が最も高いグループがデシル1で、最も低いグループがデシル10です。

購入金額上位から10等分に分けた画像

4.グループごとの構成比を算出する

最後に、デシルランクごと「顧客数」「合計購入金額」「累計購入金額比率(売上構成比)」をまとめた表を作成します。「合計購入金額」の算出にはSUMIF関数を使用しますが、その他の比率は、以下の方法で算出できます。

【購入金額比率】

グループごとの合計購入金額÷全体の合計購入金額

【累計購入金額比率】

指定グループまでの合計購入金額÷全体の合計購入金額

購入金額比率と累計購入金額比率の画像

まとめ|デシル分析は効率的なマーケティング施策に活用できる

デシル分析は、顧客を購入金額順に10段階にわけ、各グループごとに購入比率や売上高構成比を算出する分析手法です。優良顧客層を見つけられるので、マーケティング戦略の立案や商品開発に役立てられます。

デシル分析は購入金額のみを指標とするため、ExcelやGoogleスプレッドシートで簡単かつスムーズに分析できます。一方で、その他の指標が考慮できないぶん、緻密な分析には不向きです。

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よくある質問

Q1.デシル分析とは?

デシル分析は、顧客を購入金額順に10段階にわけ、各グループごとに購入比率や売上高構成比を算出する分析手法です。優良顧客層を見つけて優先的にアプローチするなど、効率的なマーケティング施策を立案するために行われます。

詳しくは「デシル分析とは」の章をご覧ください。

Q2.デシル分析のメリットは?

デシル分析のメリットは、以下の3つです。

  • 簡単に分析できる
  • 施策の立案が容易

詳しくは「デシル分析のメリット」の章をご覧ください。

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