顧客ロイヤリティとは?高めるメリットや指標、重要ポイントを紹介

2021年09月06日

顧客ロイヤリティとは?高めるメリットや指標、重要ポイントを紹介

顧客ロイヤリティとは、企業や商品・サービスに対して信頼や愛着を持っているユーザーのことを指します。顧客ロイヤリティの高いユーザーは企業にとって大変重要な存在です。今回の記事では、顧客ロイヤリティを向上するメリットや活用事例をご紹介します。

顧客ロイヤリティとは何か

「ロイヤリティ(=Loyalty)」とは、直訳すると「忠誠心」を指します。忠誠心というと、尊敬や服従が想起されますが、「顧客ロイヤリティ」とは顧客が企業や商品に対して愛着を持つといった意味を表します。ロイヤリティの高い顧客は「ロイヤルカスタマー」と呼ばれ、リピート率も高いことから、企業にとって貢献度が高く重要視される存在といえます。

なぜ顧客ロイヤリティが重視されるのか

企業活動において顧客ロイヤリティが重要視されている背景には、新規顧客獲得よりも既存顧客との関係性を良好なものにする方が、結果としてビジネスの継続的な成長や利益向上が見込めると言われてるためです。

このような原理は「1:5の法則」や「5:25の法則」などからうかがうことができ、長期利用が見込めるロイヤルカスタマーを創出しコストを抑えることで、企業収益の向上が見込めます。

顧客満足度との違い

顧客ロイヤリティを考える上で、混同しやすいのが「顧客満足度」です。今や一般的なワードとなった顧客満足度ですが、サービスや商品に対して顧客満足度が高くても、顧客ロイヤリティが比例して高くなるわけではありません。

ユーザーが継続して企業のファンとなるかは、顧客満足度とは必ずしも結びつくわけでなく、一時的な満足で終わり、別の商品・サービスへ流れていく可能性もあります。

よって顧客満足度が高いからといって、顧客ロイヤリティが高いと早合点せず、顧客ロイヤリティは顧客満足度とは別個で測るようにしましょう。

「1:5の法則」と「5:25の法則」

顧客ロイヤリティが重要な理由として、マーケティング用語として有名な「1:5の法則」「5:25の法則」が根拠として挙げられます。

1:5の法則:
新規顧客への販売コストに比べ、既存顧客への販売コストは5分の1で済む
5:25の法則:
解約率を5%改善すれば、利益は25%改善する

上記2つの法則からうかがえるように、既存顧客のリピート率を上げることで、既存顧客はさらに高額商品を購入する可能性が高まり、さらに紹介による新規顧客獲得も見込めます。

新規顧客開拓はビジネスで必要不可欠ですが、新規顧客開拓と既存顧客への戦略とのバランスを鑑み、計画的に戦略を実行していくことが重要だと言えます。

顧客ロイヤリティの二つの側面

顧客ロイヤリティには、「心理ロイヤリティ」「行動ロイヤリティ」の二面性があります。心理ロイヤリティを向上させると、行動ロイヤリティの向上に貢献します。具体的にみていきましょう。

心理ロイヤリティ

心理ロイヤリティとは、顧客が企業のブランドや商品・サービスなどに対して持っている「愛着」や「信頼」のことを指します。ユーザーが商品・サービスに対し愛着を持っていればいるほど、心理ロイヤリティが高いと言えます。

行動ロイヤリティ

行動ロイヤリティとは、自社商品をリピート購入する、繰り返し購入するなど、ユーザー行動のことです。心理ロイヤリティが高ければ、口コミや紹介など、商品・サービスに対して好意的な行動に発展しやすくなります。

行動ロイヤリティ

一時的なセールスやキャンペーンだけでも、短期的に行動ロイヤリティを高めることは可能です。しかし一時的な満足だけで心理ロイヤリティが低いままだと、ユーザー離反は生じやすく、一時的なファン止まりとなります。

したがって顧客ロイヤリティを高めるには、心理ロイヤリティと行動ロイヤリティの両側面を高めるよう、意識することが重要です。

顧客ロイヤリティ向上で得られるメリット

顧客ロイヤリティを高めることで、以下の4つのメリットが期待できます。

1.リピート率向上
顧客ロイヤリティの高いユーザーは繰り返し商品を購入するため、全体のリピート率の向上に貢献します。
2.単価Up
リピート率が増加することにより、客単価Upも期待できます。顧客ロイヤリティの高いユーザーが多くなれば、自社の展開する他サービスへの展開への可能性も広がります。
3.解約率の低下
サブスクリプションサービスなどで特に重要となる解約率ですが、顧客ロイヤリティが高まれば、リピート率向上と同様、継続利用が増加し、解約率の低下が期待できます。
4.他者への推奨(口コミ)増
顧客ロイヤリティの高いユーザーは、好意的な口コミや他者への紹介を行う傾向が高いと言えます。特にSNSの影響は大きく、新規顧客やロイヤルカスタマーの開拓につながるでしょう。

上記4つのメリットを最大限に生かすためには、顧客ロイヤリティを正しく計測し、活用していく必要があります。

顧客ロイヤリティで重要となる4つの指標

顧客ロイヤリティを評価するには、以下4つの指標が重要な鍵になります。

  • NliS®(ネットプロモータースコア)
  • 顧客満足度(CS)
  • 継続利用意向
  • LTV(ライフ・タイムバリュー)

NPS®(ネットプロモータースコア)

NPS®(ネットプロモータースコア)とは、顧客ロイヤリティを数値で示す指標のことです。NPS®のアンケート設問には、顧客が商品やサービスに満足しているかに加え、「他人におすすめしたいか」を尋ねる項目があります。
このようにNPS®は顧客満足度とも相関関係にあるため、NPS®で高いスコアを回答するユーザーこそが「顧客ロイヤリティが高い」と評価できます。

顧客満足度(CS)

顧客満足度とは、ユーザーが商品やサービスに満足しているかどうか示す指標であり、顧客の商品やサービスに対する「期待値」が影響していると言われています。顧客満足度が高ければ、今後ロイヤルカスタマーが増える可能性が高いため、顧客ロイヤリティを測る上で重要な指標です。

ただし顧客満足度が高くても、必ずしも顧客ロイヤリティが高いとは限らず、継続的利用の可能性までは把握できない点に注意が必要です。

継続利用意向

顧客ロイヤリティでは、継続利用意向も重要な指標となります。継続利用意向と顧客満足度は密接な関係があり、両方高いことが望ましいですが、片方が低い場合は原因が異なる可能性が高いです。

具体的に以下の状況の場合は、行動あるいは心理ロイヤリティを深掘りすることで、顧客ロイヤリティを高める手がかりが見つかりやすいでしょう。

顧客満足度が高いが継続利用をしないユーザー → 「行動ロイヤリティ」

顧客満足度が低いが継続利用をするユーザー  → 「心理ロイヤリティ」

LTV(ライフ・タイムバリュー)

LTV(ライフ・タイムバリュー)とは、一人の顧客がサービス開始から終了までにもたらす価値のことを指し、顧客ロイヤリティを測る上で大切な指標の一つです。LTVは、利用した期間や金額、購入頻度などを分析し、行動ロイヤリティを計ることができます。

顧客ロイヤリティ向上のための4つのステップ

顧客ロイヤリティを向上させるために必要な手順を、4つのステップで説明します。

顧客ロイヤリティ向上のための4つのステップ

1.顧客データを取得する

まずは、ロイヤリティマネジメントに必要な顧客データを収集します。アンケート調査、会員登録やアプリ、カスタマーサポートなどの情報から、顧客の利用期間・頻度・利用金額・利用商品・サービスなどを把握します。

2.顧客ロイヤリティの現状を把握する

顧客ロイヤリティの指標を決め、必要なデータを分析していきます。

  • 顧客ロイヤリティの分布を調べる
    • ロイヤリティが高いユーザーと、低いユーザーとの違いを分析する
  • 顧客ロイヤリティが低いユーザーの傾向を調べる
    • 男女差や年齢差があるか
    • 商品やサービスに原因があるか
    • 利用・購入プロセスに問題がないか
  • 顧客ロイヤリティの高いユーザーの傾向を調べる
    • ロイヤリティが高い理由は何か

ユーザーがどのような点で不満を持っているのかが把握できれば、顧客ロイヤリティの向上につなげることができます。
また、ロイヤリティが高いユーザーについては、どのようなCX(顧客体験)が有効だったのかを見極めることが大切です。

3.目標設定する

分析結果をもとに、具体的な顧客ロイヤリティの目標設定を行います。問題点や指標をどの程度改善していくのか、どの顧客をターゲットとして取り込むのかなどを設定します。

正しい目標設定のためには、「SMARTの法則」が有効です。

  • Specific「具体的でわかりやすい」
  • Measurable「計測可能な数字になっている」
  • Achievable「達成可能な」
  • Related「関連性のある」
  • Time-bound「時間制約・期限が明確である」

以上をふまえて目標を設定すれば、達成できる可能性が高まります。

4.顧客ロイヤリティを高めるカスタマー・エクスペリエンス(CX)を設計する

顧客ロイヤリティを高める上で、行動・心理ロイヤリティの2つの側面がありますが、先に心理ロイヤリティ向上を目指すことで、自然と顧客ロイヤリティが高められます。

心理ロイヤリティはカスタマー・エクスペリエンス(CX)によって高まると考えられています。調査結果をもとに、心理ロイヤリティ向上に必要なCXを設計していきましょう。

プロモーションや施策を実施したあとは、必ず課題や改善点を分析します。商品やサービスの質だけではなく、Webサイトやメール・SNS・接客なども大切な要素です。

顧客ロイヤリティを高める上で重要な5つのポイント

顧客ロイヤリティを高める上で重要な5つのポイント

顧客ロイヤリティの向上のためには、常にデータを定量評価していくことが大切です。主観的にならないよう客観的な評価を継続し、問題点を分析し改善していくことで、顧客ロイヤリティは格段に向上していくことでしょう。

顧客ロイヤリティを定量評価する

顧客ロイヤリティを高める上で、定量評価を継続することが重要です。主観的になりやすい定性評価では、マーケティング施策や経営目標の指針につながりにくいと言えます。具体的な数値に落とし込み、客観的な定量評価の継続がを継続していくために、ツール等を活用しながら、常に定点観測をして過去データと比較していきましょう。

CRM(顧客管理システム)を活用する

CRMとはCustomer Relationship Management(カスタマーリレーションシップマネージメント)の略語で、顧客との関係性を中心に考えて利益を最大化するマネジメント手法のことです。現在ではITツールそのものを指すこともめずらしくありません。

顧客ロイヤリティの定量評価のためには、常に顧客データを取得し分析していく必要があります。自社の目的に合ったCRMを活用していくことで、正確な現状把握と最適な戦略に活用することが期待できます。

LTVと顧客ロイヤリティの違いを理解する

顧客の中には、高い単価であっても「解約が手間」「他のサービスを探すのがめんどう」など、さまざまな理由で仕方なくサービスを継続している顧客もいます。

したがってLTVの高さは、顧客ロイヤリティの高さとは一致しないことがあります。それをふまえながら、顧客ロイヤリティを高める施策を設計していく必要があります。

カスタマー・エクスペリエンス(CX:顧客体験)を可視化する

顧客ロイヤリティの向上には、ユーザーのカスタマー・エクスペリエンスを可視化し、導入前のイメージや導入後のサポートについて明確にしていくことが重要です。

定点観測したデータをもとに、最も顧客ロイヤリティの低いシーンを分析して、問題のあるプロセスを洗い出した上で、改善策を検討していきます。

一つひとつ改善を重ねながら、さらにユーザーの求めるニーズを分析しプランを設計していくことで、顧客ロイヤリティ向上が見込めるでしょう。

顧客ロイヤリティに最も影響を与える顧客体験を特定する

商品の購入後やサービスの開始直後は、顧客も不安があり注意深くなっています。このタイミングこそ、顧客ロイヤリティに最も影響を与えるタイミングといえます。サービス開始直後の手厚いサポートや、商品に対しての情報を発信していくことで、よいイメージを持っていただけるようにしましょう。
もちろん、商品やサービスによって、力を入れるタイミングは変わってきますので、自社製品が力をいれるべきタイミングを見極めることが大切です。

まとめ

顧客ロイヤリティ向上には、まずユーザー理解を深めることが大切です。継続的にビジネスを成長させていくためにも、ロイヤルカスタマーの存在は軽視できません。顧客データを定量評価しながら問題点を常に分析し、カスタマー・エクスペリエンス(CX)を改善することで、ユーザーの顧客ロイヤリティを高めていきましょう。

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