コーホート分析とは?やり方や活用方法・参考事例を分かりやすく解説

2021年08月23日

コーホート分析とは?やり方や活用方法・参考事例を分かりやすく解説

「コーホート分析」とは、簡単に言えば、世代別の消費動向を分析・調査することです。

主にWebマーケティングの施策を行う際に活用される分析手法で、世代間の消費行動データを元に、サービス・商品のターゲティングや商品の今後の需要予測に活用することができます。

コーホート分析では主に3つの効果がデータに影響しています。それぞれの効果を把握することで、より的確な分析と施策に繋げられるようになります。

本記事ではコーホート分析の特徴や実際のやり方・分析方法を、事例を交えて分かりやすく解説します。

コーホート分析とは同時期に生まれた人達の消費動向を分析・調査すること

コーホート表のイメージ

出典:内閣府|コーホート分析に関する概要

 

コーホート分析とは、同じ時期に生まれた人の生活様式や、行動・意識などからくる消費動向を調査することを指す、統計学の分析手法の一つです。
「コーホート(cohort)」はもともと古代ローマの歩兵隊の単位を指す言葉で、転じて「集団」という意味になりました。

戦後世代や団塊世代、ミレニアム世代、Z世代などといった「ある一定の期間に生まれた人」の集団を抽出して消費動向を分析することで、それぞれの特徴を把握・分析することができるという訳です。

例えば、90年代から日本は少子高齢化の影響により、高齢者と比較して子供の数が年々減少傾向にあります。
時代や社会環境の変化により子供が減れば、子供向けの商品や教育関連サービスの売り上げにも、大きく影響を与えます。

コーホート分析を活用することで、消費者の潜在ニーズを把握し、企業のマーケティング戦略に活かすことができます。

コーホート分析を構成する3つの効果

  1. 年齢効果(加齢効果)
  2. 時代効果
  3. 世代効果(コーホート効果)

コーホート分析では、世代別にどのような要因が消費動向に影響を及ぼしているかを、主に3つの効果に分けて分析することができます。

より細かく見れば膨大な要因となる項目が挙げられますが、基本的には3つの効果に分類した方が分かりやすいです。

1.年齢効果(加齢効果)

「年齢効果」とは、人間の成長過程や加齢に伴って発生する要因のことを指します。

例えば20代と50代の消費動向が全く異なるように、年齢における影響というのは、かなり大きいものです。

人間の内面的な成長や外面的な家族構成の変化などにより、「若いときは〇〇と思っていたが、年をとったら考えが変わった」ということはよく起こります。

2.時代効果

「時代効果」とは、高度成長期やバブル期などの各年代における、社会環境からくる要因を意味しています。

例えば、日本では戦時中と戦後の消費動向に関しては、全く異なるものがありました。

戦時中はできるだけ消費を控えることで、貧しさを抑えて貯蓄を増やす傾向が強くありました。
しかし、戦後になると日本経済は急成長を遂げ、多くの人が消費活動を積極的に行っています。

このように社会環境が私たちに及ぼす影響は大きく、社会の変化によって消費動向や行動も大きく変わってしまいます。

3.世代効果(コーホート効果)

「世代効果(コーホート効果)」とは、団塊世代やゆとり世代などの同じ時期に生まれ、同じような社会環境で育った人間集団から考えられる要因を意味します。

例えば、90年代生まれの筆者が学生だった頃は、毎回学校へ教科書をランドセルに入れて持ち運び、ノートに黒板の文字を書き写すのが当たり前でした。

しかし、今の学生はタブレットも活用して、学習の効率化を積極的に行っており、宿題に関してもデータファイルで提出することがあります。

このようにどのような社会環境で育ったかによって、その人の中での「当たり前」が異なります。消費行動に関しても同じことがいえます。

世代間の認識や価値観の違いが消費動向に影響していることが世代効果であり、世代効果を把握することで、マーケティング施策のやり方も変わってきます。

逆に、世代別の消費動向を把握せずにマーケティング施策を行っても、思ったような成果を上げることができないでしょう。

世代効果は、コーホート分析の根幹となる部分なので、その意味合いに関してはしっかりと抑えておくことが大切です。

コーホート分析の主な3つのやり方・方法

ここでは具体的なコーホート分析のやり方として、代表的なものを3つご紹介しましょう。

  1. 回顧(かいこ)的情報を分析する
  2. 標準コーホート表に考察を加えて分析する
  3. ベイズ型コウホートモデル

回顧的情報を分析する

回顧的情報とは、調査対象となる本人自身の過去の行動や、意識等に関する情報を指します。

特定の調査対象者に対し自身の行動が数年前と比較して、どのように変化したのかを聞き取り調査します。
回顧的情報を分析する手法は定性調査に近く、統計的な処理は難しいことが多いです。

「標準コーホート表」に考察を加え分析する

標準コーホート表のイメージ

日本の成人男性の自殺率に関する標準コーホート表 出典:厚生労働統計協会

 

「標準コーホート表」とは、上の画像のように、年齢別・時系列別のデータを一致するように配置した表のことを指します。

標準コーホート表では、表の縦・横・斜めの3つの観点から、考察を加えます。

  • 縦:年齢効果(加齢効果)
  • 横:時代効果
  • 斜め:世代効果(コーホート効果)

標準コーホート表では、各効果の大きさを数量的に把握することはできません。しかし、分析者が柔軟にさまざまな仮説を立てながら、分析を進めていくことができます。

ベイズ型コウホートモデル

ベイズ型コーホート表のイメージ

出典:総計数理研究所

 

「ベイズ型コウホートモデル」とは、統計数理学研究所の中村 隆氏が考えた分析手法です。

中村氏は、時代や年齢、世代という効果は、徐々に影響を与えて変化していく(漸進的変化の条件)と考えています。

この漸進的変化の条件を前提に、標準コーホート表の隣り合う区分のそれぞれの係数の二乗和が最小になるように答えを出す方法が、ベイズ型コウホートモデルです。

コーホート分析の活用事例

コーホート分析を行うことで世代別の消費動向を知ることができます。得られた情報はECサイトやWebサイト等のマーケティング戦略に活かすことが可能です。

消費者の潜在ニーズを知るための方法として、コーホート分析は多くの企業で活用されています。

ECサイトの活用事例

ECサイトの場合は、コーホート分析を行うことでリピーター作りに効果を発揮することもできます。

ECサイトではキャンペーン広告を配信することがありますが、コーホート分析を行うことで、どのような世代によくリーチしているのかを調べることができます。

世代によって異なる商品やサービスの売れ行きの違いといったデータをコーホート分析から調整することで、リピーター創出を期待できます。

Webサイトの活用事例

Webサイトでもコーホート分析を活用して、トレンドに適した訴求に改善したり、世代のニーズにマッチした新しい商品開発の参考にしたり出来ます。

もともとWebマーケティングの業界では、コーホート分析が広く活用されてきた歴史があります。
一番よく使われるコーホート分析は、アクセス解析ツールです。

アクセス解析ツールを通じてサイトを訪問したユーザーの属性や性別、年齢、訪問回数、訪問日時などを知ることで、よりWebサイトに最適化した広告の配信やキャンペーンの実施に繋げることが出来ます。

まとめ

コーホート分析とは、同じ時期に生まれた人の生活様式や、行動・意識などからくる消費動向を調査することとして解説してきました。

コーホート分析を活用することで同時期に生まれた人たちの消費動向を把握し、より最適なマーケティング施策が行えるようになるでしょう。

特にBtoBの業界では、コーホート分析を活用して「時代効果」を考慮し、働き方改革やリモートワークなど、現代社会での効率化が求められています。

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