アジャイルリサーチとは？

マーケティングリサーチの分野では、近頃アジャイルリサーチという言葉をよく耳にするようになってきています。

アジャイルという言葉は、もともとソフトウェア工学の分野で使われている言葉で、設計と実践を行き来し、トライアンドエラーで改良していく方法を指します。 アジャイルリサーチについても、基本この方法を踏襲し、調査の企画や設計に時間をかけずに、短期間にリサーチを複数回行い、その結果をもとに改善していくというPDCAサイクルの高速化を目的としたものです。

通常のマーケティングリサーチでは、調査企画・設計から実査、そして集計・分析という工程を段階的に進んでいきます。
一方でアジャイルリサーチについては、調査企画・設計に多く時間をかけるのではなく、短期間にポイントごとにリサーチを多く行い、製品・サービスへの改善などをスピーディに行うなど、PDCAサイクルを早く回すことを目的とした方法です。 そのような取り組みにより、目まぐるしく変わる環境変化に対応できるようになります。

重要なのは

• 1回ずつの調査は簡易に
• 短期間で調査を繰り返す
• 結果をもとに改善する
• PDCAを高速に回すことを意識する

という点です。

アジャイルリサーチの利点

調査実施にあたって、どのような意見やデータを得るかということは調査設計の重要なポイントです。

アジャイルリサーチにおいては、複数回調査で理解(観測)したい大枠のテーマはあらかじめ決めておくものの、各調査ごとのテーマ全てを最初に決めておかず、前回の調査から出た改善点や仮説について深掘りした意見やデータが欲しいときに用いられる手法です。

ポイントごとに多くリサーチを行う、というアジャイルリサーチの性質上、1回の調査に掛ける費用や工数は、通常の調査よりも抑えることができます。 何万人規模の回答を集めるなど大規模な調査を想定した場合に、掛かる費用が高額になると実施すること自体のハードルが高くなります。
簡易な調査を繰り返すというアジャイルリサーチでは、1回あたりの費用は少なくてすむため、まず実施してみよう、という試みがしやすくなると考えられます。

アジャイルリサーチの活用例

WebサイトやアプリなどのUX改善

webサイトやアプリのユーザーインターフェースを作成し評価を得るユーザテストを 行う場合に、アジャイルリサーチの方法で行うことができます。 課題とした行動が無事に完了できるか、ページ内のメニューやボタンの位置や内容はすぐ分かり直感的に操作できたかなど、デザイン上の課題について評価を得ることができます。
その評価を基にして問題となった箇所を修正し、さらにそのバージョンをテストすることで、ユーザにとって使いやすいものとなっているか、改善に改善を重ねることができます。

UX改善後の印象や評価を得る

ユーザテストで行うようなWebサイトやアプリでの操作性への評価とは別に、サイトやアプリの全体的な 印象や評価については、同じようにアンケートを繰り返し行うことで、過去のものと比べてどの程度評価が違うのか比較し検証することができます。
修正するごとに印象や評価をたずねるアンケートを都度行うことで、修正した点が実際どのようにとらえられたのか、という点について定量的に検証することができます。

アジャイルリサーチを行う際に必要なもの

簡単に使えるアンケートツール・インタビューツール

短時間でリサーチ・インタビューを行う性質上、外部のリサーチャーに依頼し調査を行うよりも、自身で簡単に操作などができるアンケートツールやインタビューツールを利用して調査を行った方がPDCAサイクルの更なる高速化が期待できます。

必要な対象者がリクルーティング可能な調査モニター

リサーチを行いたいと思っても、アンケートやインタビューに参加してくれるモニターが必要です。
「30代・男女・首都圏在住」という条件で1,000人にアンケートを取りたいと思っても、依頼する企業によっては条件に合う方を集めることができない、ということが起こりえます。そのため価格やスピードも重要ですが、十分な人数の調査モニターを保有している企業に依頼することが必要です。

まとめ

以上、アジャイルリサーチについて、利点や活用例を中心にご紹介しました。

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