ABC分析とは?必要な理由や手順などをまとめて解説

2022年11月11日

abc-analysis

ABC分析とは売上高・コスト・在庫といった評価軸を一つ定め、多い順にA、B、Cと3つのグループ分けをし、優先度を決める方法です。

売上を評価軸として在庫管理で使われることが多いですが、品質管理、得意先管理などで活用されています。また、売れ筋商品の理解や販売状況の時間軸における可視化など、さまざまな用途で大いに活用できるでしょう。

この記事では、ABC分析の意味と手順、注意点などを解説します。

ABC分析とは?

ABC分析とは
売上高・コスト・在庫といった評価軸を定め、多い順にA、B、Cと3つのグループ分けをし、優先度を決める方法。

ABC分析は、パレートの法則(売上の8割は、全体の2割の商品がもたらしている)が基になっている概念です。

ABC分析の各グループについて、概要を以下の表にまとめます。

Aグループ 多くの利益をもたらす可能性が高いため、機会損失がないよう、多めに在庫をそろえることが基本路線となる。
Bグループ 多少の利益をもたらす可能性があるため、現状維持が基本路線となる。
Cグループ 利益をもたらさない可能性が高いため、在庫を減らすか撤退することが基本路線となる。

また、ある商品の売上順にグループ分けを行うと、A、B、Cグループは以下のとおりわけられます。

Aグループ 売上上位7割までに位置するグループが該当する。
Bグループ 売上上位7割から9割までに位置するグループが該当する。
Cグループ AグループにもBグループにも属さない、残りのグループが該当する。

下に示すパレート図をご覧いただくと、視覚的にA、B、Cグループの区分がわかりやすくなるでしょう。

図版1 (1).jpg

なお、元々ABC分析は、在庫管理で行われていた分析方法でしたが、やがて品質管理や得意先管理などにも取り入れられることが増えてきました。

ABC分析を行うメリット

ABC分析を行うメリットを、2つ解説します。

売れ筋商品を理解できる

ABC分析を活用することで、売れ筋商品とそうでない商品を区別して、販売戦略を立案できます。

一般的には、グループAの商品は在庫切れによる機会損失がないよう多めに在庫を確保することが正解とされています。

一方、グループCの商品は、在庫になる可能性が高いので、あまり大量に仕入れないようにすることが基本です。

場合によっては、グループCの商品については、販売方法の見直しや撤退も視野に入れましょう。

ただし、後述のとおり例外もあります。

販売状況を時間軸に沿った形で可視化できる

ABC分析で、売上の推移を継続的にモニタリングしていくことで、販売状況を時間軸に沿った形で可視化することができます。そうすることにより、ある施策を講じた際に、施策自体の効果を検証することができます。

また、販売状況を理解することで、次の施策を立案する材料にも使えます。

季節限定商品など、特定の時期のみ売れる商品についても考慮できるため、ABC分析を活用できるシーンは多いと言えるでしょう。

ABC分析の手順

ABC分析の手順を、農産物直売所Oで取り扱っているジャムの売上を例に、3つのステップで解説します。

【ステップ1】商品ごとの売上データを収集する

データ分析に必要な、商品ごとの売上データを収集して、エクセルや販売管理システムなどでまとめます。

下に示した表は、農産物直売所Oで取り扱っている、20種類のジャムの売上を表にまとめたものです。

図版2.jpg

売上データをまとめる際には、分析する商品の売上データを、売上金額が大きい順番に並べておくと分析しやすいでしょう。

また、全体の売上金額も用意しておくと、後述のステップ2が容易になります。

【ステップ2】商品ごとの売上構成比を計算する

ある期間内において、商品ごとの売上構成比(売上割合)は以下の式で算出できます。

(売上割合)=(ある期間における当該商品の売上)÷(ある期間における合計の売上)

ABC分析では、上記の式で算出した、全体に占める各商品の売上構成比(売上割合)が大きい順に商品を分類していきます。

下の表は、農産物直売所Oで取り扱っているジャムについて、商品ごとの売上構成比を計算して、売上構成比の高さから順番に並べ替えたものです。

図版3.jpg

【ステップ3】商品を売上構成比別にグループ分けする

ステップ2において算出した、構成比が大きい順に商品を並べ替え、累積構成比を求めます。

そして、累積構成比の数値を基準に、ABCの3グループに分類するのです。

下の表は、農産物直売所Oで取り扱っているジャムについて、ステップ3を実施したものです。

ABCの3グループにどの商品が該当するか、色分けしてわかりやすくしています。

図版4.jpg

なお、パレート図を作ると、ABCグループの分類がよりわかりやすくなるでしょう。

また、最新のエクセルでは、ヒストグラムを選択するとパレート図を簡単に作成できるので、活用してもいいかもしれません。

▼参考

パレート図(統計局)

ABC分析の注意点

ABC分析は様々なビジネスシーンで役立ちますが、使いこなすためには注意すべき点があります。

以下では、ABC分析の注意点を2つ解説します。

流行商品や季節限定商品には個別対応が求められる

商品の中には、以下に示すとおり、一時的に大きな売り上げを上げるものも少なくありません。

流行商品 例:ハンドスピナー
季節限定商品 例:かき氷

流行商品や季節限定商品などは、条件によってどのグループに属するか大きく変動する可能性が高いため、特定の条件下のみ重要視してAランクとするなど対応が求められます。

長期間のABC分析と短期間のABC分析など、複数パターンでABC分析を行うことで、特定の条件下でのみ売れる商品を考慮しやすくなるでしょう。

Cグループを無視すべきではないシーンもある

一般的には、ABC分析でCグループとされた商品は、利益をもたらさないため、在庫を減らすか撤退が基本路線とされています。

しかし、以下のような場合は、Cグループの商品でも安易に販売を止めることは考えものです。

  • 年中安定して売上をあげられる商品
  • 客寄せ効果が期待できる商品(例:大食い挑戦メニュー)
  • Aグループの商品の間に相互作用がある商品

また、ECサイトでは、あえてCグループの商品を数多く取りそろえ、他ではあまり手に入らない希少性のある商品が手に入ることを差別化のポイントとする戦略もあります。

ECサイトでは、店舗より在庫維持やディスプレイにコストがかかりにくいため、商品1種類ずつは売り上げが少なくとも、商品の種類が豊富であるため利益が期待できるのです。

上記戦略を、「ロングテール戦略」と呼びます。

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まとめ

ABC分析とは、売上高・コスト・在庫といった評価軸を一つ定め、多い順にA、B、Cと3つのグループ分けをし、優先度を決める方法です。

売れ筋商品がわかる上に、販売状況を時間軸に沿った形で可視化できるため、在庫管理や品質管理、得意先管理など幅広いシーンで活用できます。

ただ、一般的には売上をもたらさないとされる、Cグループの商品を無視すべきでないシーンもあることには留意しましょう。

なお、ABC分析の手順も、例を交えて本記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

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