はじめに

今回は、日本および中国におけるコカ・コーラのブランドイメージ構造抽出を目的として、2013年1月にGMOリサーチがScanamindを用いて実施した調査について解説します。Scanamindは多言語に対応し、市場に関する予備知識がなくても調査可能という優位性を備えているため、今回中国でも調査を行いました。調査概要は以下になります。

調査設計概要

■GMOリサーチ株式会社自主調査

[1]目的:
コカ・コーラに対する消費者のイメージ構造の可視化(マッピング)

[2]調査時期:
[日本]2013年1月21~22日
[中国]2013年1月24~28日

[3]調査対象:
[日本]GMOリサーチ保有オンラインパネルinfoQ(男女20~60歳)
[中国]GMOリサーチクラウドパネルChina Cloud Panel(男女20~60歳)

[4]有効回答数:
[日本]2,221件,[中国]2,357件



調査の流れ(日本)

日本における調査は以下のような流れで実施しました。

(1)まず、以下の質問に基づきコカ・コーラについて思い浮かぶイメージを調査対象者に12項目挙げてもらいました。

コカ・コーラについて思い浮かぶイメージ


(2)(1)において調査対象者自ら入力した12項目それぞれの関連性(66通り)を4段階で評価してもらいます。また、直感的イメージで判断してもらうため、「2秒以内に回答する」「中止や再回答不可」の指示を与えました。

調査指示


(3)入力した12項目がすべての組み合わせについて画面に表示されます。回答者にはそれぞれの組み合わせについて、「強い関係がある」「少し関係がある」「関係は弱い」「ほぼ無関係」の4段階から1つを選択してもらいます。

調査画面




調査結果(日本)

上記までの作業を調査対象者2,221人に行ってもらい、Scanamindで解析すると、以下のように調査結果がアウトプットされます。

概念構造


■調査結果の概要
[1]「炭酸(30%)」「甘い(25%)」「さわやか(21%)」「赤(21%)」「おいしい(17%)」といった言葉が多く挙げられました。

[2]マップ右下に製品の直接的イメージ(製品の有する特質)、左上に間接的・付随的イメージ(製品の利用環境等)が位置しています。さらに直接的イメージは、上部に「甘い」「おいしい」「さわやか」といった主観に根ざした感覚的な言葉が並び、下部に「自販機」「黒」「ペットボトル」といった製品の客観的な特徴が位置します。それぞれの位置はほぼ正反対で対照的な概念だと言えます。

このように誰もが思い描くような商品(この場合はコカ・コーラ)についてのイメージが、調査票を作成しなくても、そのまま再現されることがScanamindの最大の特徴だと言えます。


概念構造の分類


■コカ・コーラとファーストフードの関係
・コカ・コーラは、ハンバーガー、ポテトに代表されるファーストフードと密接に結びついています。また「マクドナルド」がそのイメージを代表するブランドといえます。

・「ファーストフード」の右側に「太る」「肥満」「ダイエット」といった高カロリーなイメージが存在します。これらは、コカ・コーラとファーストフードで提供される「ハンバーガー」「ポテト」といった高カロリー食のイメージと重なり合っています。

高カロリー食のイメージ



調査の流れ(中国)

中国における調査も、日本同様以下のような流れで実施しました。

(1)コカ・コーラについて持っているイメージを、調査対象者に12項目挙げてもらいます。

コカ・コーラについて持っているイメージ


(2)調査対象者自ら入力した12項目の関連性(66通り)を4段階で評価してもらいます(「2秒以内に回答する」「中止や再回答不可」という条件も日本と同じ)。

調査指示画面



さらに、調査対象者が自ら入力した12項目すべての組み合わせについて、「強い関係がある」「少し関係がある」「関係は弱い」「ほぼ無関係」から1つを調査対象者に選択してもらいました。

調査画面




調査結果(中国)

これまでの作業を中国に居住する調査対象者2,357人に行ってもらい、Scanamindで解析すると、以下のように調査結果が中国語でアウトプットされます。Scanamindは、調査対象者が挙げたそれぞれの言葉の意味ではなく、その関係性をもとにマッピングしていきます。そのため、一般的な定性調査や定量調査の自由回答のコーディングのように、マッピングの段階で調査実施者が母国語に翻訳する必要がありません。

マッピング後は、Google 翻訳などの無料の機械翻訳サービスを利用するだけで、大枠の内容を知ることができ、機械翻訳だけでは正確に分からない単語も周囲に位置する概念との関連からその意味を推定することができます。そのため、翻訳に多大なコストと時間が必要だったこれまでの海外調査と比較すると、調査プロジェクトのハンドリングが大幅に容易になると言えるでしょう。

概念構造


概念構造


■調査結果の概要
[1]「喉の渇きをいやす(15%)」、「おいしい(15%)」、「スーパーマーケット(14%)」、「さわやか(11%)」、「甘い(10%)」の順に多いという結果になりました。日本と比較すると少数の言葉に集中しておらず、イメージが広く分散していることが分かります。

[2]マップ右側のかなり広い範囲に製品の直接的イメージ(製品の有する特質)が位置し、左下に間接的・付随的イメージ(製品の利用環境等)が位置します。さらに直接的イメージは、上部に「渇きをいやす」「おいしい」「さわやか」「幸せな」といった主観に根ざした感覚的な言葉が並び、下部に「ブラック」「黒」「ペットボトル」といった製品の客観的な状態が位置します。それぞれの位置は、ほぼ正反対で対照的な概念です。

概念構造


■中国の特徴
大きな傾向は日本とほとんど変わりません。それはコカ・コーラがグローバルで統一した顧客とのコミュニケーションを行っていることが理由だと言えます。しかし細かく見ていくと、例えば、「おいしい」の近くに「うれしい」というポジティブな概念が存在している点は日本と異なっています。この「うれしい」の中には「楽しい」「幸せ」をはじめ、「旧正月」「友人」「パーティ」といった言葉が含まれており、家族や友人との団欒が「うれしい」のバックボーンとなっていることが推測されます。また、中国では、日本の消費者とは異なり、「太る」「肥満」などのネガティブなイメージが挙げられていなかった点も注目されます。




次回は、Scanamindの調査事例(後編)として、コカ・コーラを対象とした本調査をベースに、日本と中国の消費者によるイメージ構造の違いなどについて詳しく述べたいと思います。





※「Scanamind」に関わる技術は株式会社クリエイティブ・ブレインズが特許法に基づく特許権を取得しています(特許第3335602号,特許3278415号,特許3417941号,特許3638943号,特許4824837号)。
米国・ドイツ・フランス・英国でも同社の特許権が成立しています。
※「Scanamind」は株式会社クリエイティブ・ブレインズの登録商標です(登録番号第5109952号)。また世界主要35カ国における同社の登録商標です(国際登録第1131308号)。
※「Scanamind」公式サイト
http://www.scanamind.jp/