ソーシャルメディア上の情報を企業側も無視できない時代に

従来のマーケティングツールは、TVCMや新聞広告、雑誌広告などのマスメディアが中心でした。ところが2000年代中頃から、インターネット上でインタラクティブな情報発信が可能となるソーシャルメディア(ブログ、Wiki、Twitter、SNSなど)が急速に発達し、その中で企業や製品に対する情報交換が頻繁に行われるにようになり、企業側もそれらの存在を無視できなくなってきました。
中でもアクセス数が多く、書き込む内容も注目に値する"インフルエンサー"と呼ばれるブロガーの意見が企業やブランド、製品のイメージ形成に大きな影響力を持つようになっています。




ソーシャルメディアによって消費者の購買行動が大きく変化

こうしたソーシャルメディアの普及により、「AIDMA」と言われるこれまで標準とされてきた消費者の購買モデルが大きく変化しつつあります。それは、従来のAIDMAに2つのS(Search/検索)(Share/共有)が加わったことではないでしょうか。

つまり、製品の購入前にまずインターネットにアクセスして製品に関する情報を収集し、購入後にその感想や意見を不特定多数のネットユーザーと共有することが一般化してきたのです。

図1 消費者の購買行動

図1 消費者の購買行動




ソーシャルメディアは企業のマーケティング戦略立案にも活用可能

私たちが開発した「ソーシャルメディア調査」は、こうしたソーシャルメディア上の情報をソースとして調査・分析を行い、企業個別のマーケティング目的に合わせて活用してもらうサービスです。
例えば、広告投入やプロモーション展開の前後に、インターネット上の口コミ情報を調査し、その評価を比較できるなど、「ソーシャルメディア調査」は企業のマーケティング活動の検証に有効です。

その他ソーシャルメディア調査を行うメリットとしては以下が挙げられます。

● ソーシャルメディア上の口コミ情報はバイアスのない消費者の生の声が満ちているため、製品やブランドイメージに対する偏りのない評価やキャンペーンのリーチ状況の測定に最適なデータを収集できる

● マスメディアとの接触機会が減少しつつある20~30代の消費者の素顔を把握できる

● ネット上で企業やブランド、製品に対するネガティブな意見(風評など)が広まっている場合、その原因や伝達経路を特定して迅速に対応することができる

● ネット上のデジタルデータを収集・加工できるため、インタビューやアンケートなどの従来型手法に比べて大量の情報を迅速に取得することが可能なうえ、定期的または継続的な調査が可能であり、時系列の比較も容易である




3つの調査目的ごとに適切なデータ収集・分析を行うことが重要

しかしながら、ただ単に情報収集エンジンを使ってソーシャルメディア上の情報を検索するだけでは、ネット上に存在するあまり意味のない情報までも収集してしまいます。

そうしたムダを省くために、私たちのサービスでは、まず特定製品分野で影響力を持つブロガーやTwitterなどを特定したうえで、「販売促進」「商品開発」「風評対策」の3つの目的に合わせて、より有意義な結果を得られるように調査を実施しています。

(1) 販売促進
広告や販売促進の目的や意図がきちんと伝わって、ブログなどでその主旨通りの書き込みが行われているかという動向を調査します。そのために、ブログなどの口コミの「質」と「量」の双方に注目して、どれくらいの人たちがどのような内容を取り上げているかを定量的手法をベースに分析します。

<家電エコポイントの事例>
2010年12月1日に家電エコポイントの付与額が半減された際に、その前月と、2011年4月でどのようなキーワードがソーシャルメディア上で多く見られたかの「共起語」を調査しました。その結果、2010年11月は「半減」「駆け込み」が多く見られ、2011年4月の「購入」「家電」「買い替え」とは大きく異なっていることがわかります。

また、2010年11月の「エコポイント」&「テレビ」の検索ヒット数は、地上デジタル放送受信機国内出荷実績と見事に重なっています。このことにより、ソーシャルメディア調査は、製品需要を正確に表していると考えられます。

図2 家電エコポイント事例

図2 家電エコポイント事例



図3 家電エコポイント事例 口コミ数

図3 家電エコポイント事例 口コミ数


(2)商品開発
今後、開発しようとするジャンルの既存製品群に対して、消費者が何気なく漏らしている不満の声を拾い上げることを主な目的としています。インタビューやアンケートなどの従来型手法では質問の枠組みの中でしか回答は得られませんが、ソーシャルメディアからだと、企業が想像していない使われ方や改良のためのアイデアなども効果的に集めることが可能です。基本的には定性的手法がベースとなります。

<スマートフォンの事例>
下記の事例は、「製品名」&「不満」、「ジャンル名」&「不便」を検索して、スマートフォンに関する口コミ情報を抽出したものです。検索結果を不満の対象カテゴリで分類し、次の製品開発のコンセプト(既存製品のどの部分を改善すれば、差別化を図ることができるのか)に生かすことができます。

図4 スマートフォン事例

図4 スマートフォン事例


(3) 風評対策
企業やブランド、製品に対するネガティブな記述やコメントには、即座に対処することが最も重要であり、そのことが風評対策にもつながります。その点、ソーシャルメディア調査は、リアルタイムで風評の発生をキャッチし、それらの「根本要因」「範囲」「伝達経路」をすばやく特定することができます。

<風評対策で検索した共起語分析の事例>
風評対策では、時間が経ってくると、下記の事例のようにクレームが発生した製品Aそのものではなく、その製品を製造するA社の事故対応姿勢や顧客への釈明が問題となるケースもあり、根本的な要因が何なのかをまず確定することが大切です。
ソーシャルメディア調査なら、ブログなどの検索を通じて共起語の共起割合から、ネガティブイメージがどのキーワードで支配されているのか、風評の「量」と「質」を測定することで、適切に対処することができます

図5 風評対策で検索した共起語分析の事例

図5 風評対策で検索した共起語分析の事例



次回は、販売促進を目的とするソーシャルメディア調査にテーマを絞って述べてみたいと思います。