マーケティング課題をリサーチの課題に置き換えることが、調査企画の基本

前回のレポートでは、インターネット調査などの定量調査が備えるべき基本要因などについて述べましたが、今回は、マーケティングリサーチ全般において、調査を企画設計するうえでどのようなことに気をつけなくてはいけないか、重要なポイントについて述べてみたいと思います。

さて、調査企画とは一体どのような業務を指すのでしょうか?

それは、「企業が日頃行っているマーケティング活動(広い意味で製造から販売まで)のなかで直面する課題や解決すべき問題点をマーケティングリサーチによって明らかにし、最終的には、その調査結果に基づいて課題や問題点の解決策の糸口を探り出すことであり、それらを私たちの業界では「マーケティング課題のリサーチ化」と呼んでいます。

このマーケティング課題のリサーチ化における3つのポイントは以下の通りです。

1. マーケティング課題を分解・整理する
マーケティング活動のなかで直面した課題や問題点がいくつかのマーケティング要因(製品特徴の問題/ターゲットのずれ/消費志向の変化/競合の激化など)で構成されていれば、それらを分解して整理します。

2. マーケティング活動のなかで直面した課題や問題点の原因は何か?その原因を明確にするには、どのような情報・データが必要なのかを把握します。

3. 調査方法を策定する
マーケティング活動のなかで直面した課題や問題点の原因を明確にするための情報・データを得るためには、どのような調査方法が適切なのかを検討します。

これらを実際に、あるトイレタリーメーカーのシャンプーの調査企画に当てはめると以下のようになります。


図1 シャンプーの調査企画立案の場合

図1 シャンプーの調査企画立案の場合


まず、調査の企画立案に必要なのは、「最近、ダメージケア・シャンプーの売上げが振るわない」など、マーケティング活動のなかで直面した課題や問題点を把握することだと言えます。

次に、製品特徴やターゲット、競合製品、女性のヘアケア志向など、具体的な状況を理解し、ダメージケア・シャンプーの問題点を明確にすることになります。さらに、仮説の設定とは、上記から問題解決に役立ちそうな手がかりを見つけることです。

最後に、 調査方法、調査内容、調査日程、調査費用など実施に向けた具体的な計画を立てることになります。




仮説の設定こそが、調査企画の最重要ポイント!!

前の段落で「仮説の設定」のことを述べましたが、これはマーケティング活動のなかで直面した課題や問題点の解決に役立ちそうな手がかりを探すことを言います。こうした手がかりがあると、調査のマトをしぼれるので、見当はずれの調査を提案することがなくなります。

上記の例でいくと、クライアントから提起されたダメージケア・シャンプーの売上げが減少した理由として、市場動向や消費者志向などのマーケティング要因から以下の仮説を設定することができます。

仮説1.ヘアケア分野は価格競争が厳しいが、ブランドイメージ優先の戦略のため、消費者が望むような価格設定ができてない。

⇒価格優先なのか、それともイメージ優先なのか?
仮説2.髪のダメージケアから、スタイリング機能優先へと女性のニーズが変化した。


⇒ シャンプーの機能や特徴に何を求めているのか?
たまに調査票の質問文に「弊社の製品を買わない理由は何ですか?」「どうすれば購入しますか?」など、あまりにも直接的なものを見かけるケースがありますが、あくまでマーケティング要因から類推した仮説をもとに考えないと、課題解決につながる有効な回答は得られないことを知っておいてほしいと思います。




調査企画の流れおよび調査実施要領・方法/調査内容・項目について

図2 調査企画の全体イメージ

図2 調査企画の全体イメージ


これまでの話をまとめますと、調査企画の全体イメージは上記のようになります。

この中で調査企画の流れとしては、①マーケティング課題の把握→②リサーチ課題の把握→③調査企画の具体化(調査項目や調査票/質問文の作成)となりますが、マーケティング課題を把握し、リサーチの課題に置き換えるうえでは、以下の3点が重要です。

a.調査の背景:
市場動向や競合の状況などマーケティング課題が発生しているビジネス上の背景を知ることを言います。これらの理解を深めることで調査結果に基づいた提言や課題解決案が提案しやすくなります。

b.調査の目的:
『課題解決または戦略・政策決定』のために、情報・データ収集に向けたどのような調査を行うかを考えることで、これが最終的な調査結果の結論に結びつきます。

c.設定された仮説:
背景や目的から類推された調査企画立案の手がかりとなるもので、調査項目/調査票の質問文として活用することがきます。

最後に、上記の調査企画の方針にもとづいて実施される調査の実施要領/方法(どうやって、どこで、誰に、どんな規模で行うか)や調査内容/項目(調査を実施することで何を知りたいのか)には以下のようなものがあるので紹介いたします。


・調査実施要領/調査方法

1.調査方法(調査手法/実査方法):
訪問面接調査、電話調査/CATI、郵送調査、会場調査・集合調査/CAPI、インターネット調査、グループインタビュー、インデプスインタビューなど

2.調査地域:
調査対象が居住する/調査対象と接触する地域(全国、首都圏、京阪神など)

3.調査対象者:
マーケティングにおいて、コントロールする(コントロールするのに有効と思われる)母集団(性別、年 齢、製品カテゴリーの使用状況など)

4.調査対象者の選定方法:
無作為抽出法、有意選出法など

5.調査対象者の規模/構成/割当:
有効回収サンプル数(構成/割当別回収数)


・調査内容/調査項目(消費者調査項目の大枠)

◆認知(ブランドやCM・広告を知っているか)
銘柄認知、広告認知、広告内容想起

◆購入(製品の購入状況について)
購入銘柄、購入量、購入頻度、購入時重視点、購入理由、購入意向

◆使用(どのように使っているか)
使用場面、使用方法、使用頻度、使用意向

◆評価(どのように思っているか)
全体評価(満足度について)、属性評価(特徴別の評価)、評価理由、銘柄イメージ、ユーザーイメージ

◆対象者特性
性別、年代、未既婚、職業、家族構成、学歴、年収、家計支出など




次回は、マーケティングリサーチの手法(種類/タイプ)について述べたいと思います。





取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社

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