マーケティングの定義とは何か?

前回までのレポートでは、日本国内に居ながらにして現地の消費者ニーズを低コストで調べられるインターネット調査の利用が中国でも広がっていく可能性は大いにあるということを述べてきました。

今回は、序論ということもあり、マーケティングリサーチのことを解説する前に、マーケティングとは何か?さらに、マーケティングにおけるマーケティングリサーチはどういう位置付けにあるのかについて述べてみたいと思います。

まず、マーケティングの定義ですが、「顧客の満足と企業の利益を追求する企業活動で、企業の利益と消費者のベネフィット(便益)の接点が、最大になるように計画実行すること」と、私たちGMOジャパン マーケット インテリジェンスはとらえています。

一般的にマーケティングというと、広告・宣伝、販促のことだと解釈している人が多いようですが、実はもっと幅広い概念であり、製品、流通、価格、広告・販促など、これらの要素をいかに組み合わせて顧客満足や売上増などを実現するかがマーケティングだと言えるでしょう。




マーケティング活動の構成要素である「3C、4P、8F」とは?


図1 企業のマーケティング活動の基本(構成要素)

図1 企業のマーケティング活動の基本(構成要素)


次に、マーケティングを考えるうえで重要な、3C、4P、8Fという用語について解説します。

この3Cとは、Company(自社)Customer(顧客) Competitor(競合)の3つの頭文字で、4Pとは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(広告/販促)の4 つの頭文字Pのことを意味しています。

企業が製品やサービスを市場に投入する際、競合他社と差別化しながら、どのような対象の顧客に向けて提供していったほうがよいか分析を行うのが3Cです。それらを基に、どんな製品を、いくらで、どんな店や場所で、そして、どんな方法でその製品情報を伝えていくか。そうした販売施策を立案していくのが4Pだと言えます。

また、このような販売施策を実行していくうえでの具体的な手段としては、

1.Reserch(リサーチ)

2.Product Development(製品開発)

3.TradeStrategy(流通政策・戦略)

4.CommunicationStrategy(広告戦略)

5.SalesPromotion(販売促進)

6.Selling(営業活動)

7.InformationSystem(情報システム)

8.DistributionSystem(流通システム)

というマーケティングの8つのF(Function:機能)があり、マーケティングリサーチはここに位置づけられています。

つまり、マーティングリサーチとは、マーケティング活動を通して立案した施策を実行するうえでのひとつの手段だと言えるのです。




マーケティングの変遷および今後の方向性について

続いて、このマーケティングは歴史的にどのような変遷があり、今後はどのような方向に向かっているかについて述べてみたいと思います。

1.1960年代初期以前(生産志向の時代)
 物不足で作れば売れる時代~入手しやすい手頃な価格なら売れる時代

2.1960年代(製品志向の時代)
 ライフスタイルの提案も含めて、品質・性能がよく格好よいものなら売れる時代

3.1970年代~1980年代前半(販売志向の時代)
 売り手が販促努力を行い、製品の優位性を訴求しなければ売れないマスセールスの時代

4.1990年代以降(市場/顧客志向の時代)
 市場の成熟化と不景気により、顧客の一人ひとりにとって価値があるものでなくては売れない時代

5.2000年以降(社会志向の時代)
 製品だけでなく、企業のブランド価値や社会貢献という観点も重要となる時代

さらに、今後のマーケティングのあり方として注目されているのが、Marketize(マーケタイズ)という概念です。

従来のマーケティングの手法では、既存のマーケットにおいて自社のターゲットとなる調査対象者からニーズを聞き出し、それをヒントに新たな製品開発を行っていましたが、従来の枠を超えた画期的な製品開発はなかなか実現できませんでした。

それに対して、特定の消費者に依存せず、自社で推定した新しいニーズからマーケットを創造していくマーケタイズという概念では、新たな文化の提案や時代を創造する製品を開発することができる可能性があると言われています。

今日、このような新しい市場創造型のマーケティングが注目されるなか、マーケティングリサーチの重要性はますます高まっていると言えます。




マーケットリサーチとマーケティングリサーチは異なる!

さて、ここからはマーケティングリサーチについて述べていきたいと思います。まず、皆さんに知っていただきたいのは、日本語では同じ「市場調査」に訳されるので誤解されることが多いのですが、以下のようにマーケットリサーチとマーケティングリサーチは明確に異なるということです。

・マーケットリサーチ(市場調査、英国発)
 市場データ解析をベースに、事実の把握をめざすもの
・マーケティングリサーチ(リサーチ、米国発)
 マーケティング結果の推測、マーケティング管理全般をサポートするもの

マーケットリサーチとは、前述した3Cのデータを調査して提示するだけの現状分析的だと言えます。それに対して、マーケティングリサーチとは、製品を売り出す際の施策である4Pの立案をサポートする戦略的なものだと考えたらよいでしょう。

例えば、新製品投入というマーケティング活動においては、まず試作品ができたら、グループインタビューなどを通じて製品の購入意向を調べます。これは製品が売れるかどうかというマーケティング結果を推測するために行うものであり、これこそがマーケティングリサーチだと言えるでしょう。




マーケティングリサーチの目的・機能および領域とは?

1. 目的

マーケティングリスクを低減すること(基本的な視点として成功確率の増大よりも失敗確率を低減することにある)

2. 機能

消費者の欲求や期待の変化を客観的に把握するために、データ収集と分析を通じて消費者の変化を予測する情報を提供し、これに基づくマーケティング計画の立案に参画・協力すること
調査実施者の「予測能力・予測の精度」を高めるために、「質・付加価値」を備えた情報を提供し、提言すること

3.マーケティングリサーチの領域

・製品開発
利用実態調査、ブランドイメージ調査、消費者行動分析、ライフスタイル分析、市場細分化分析、アイデア開発、製品ベネフィット調査、製品コンセプトテスト、製品テスト、パッケージテスト、ネーミングテスト、価格受容性調査、顧客満足度調査、新製品追跡調査、他
・流通戦略
流通経路調査、流通受容性調査、小売店調査、販売店パネル調査、他
・広告戦略・販売促進
広告コピーテスト、広告コンセプトテスト、広告テスト、広告効果測定、販促効果測定、広告媒体調査、他
・営業活動
需要予測、販売予測、他
・情報システム& 流通システム
・経営・マーケティング戦略
市場分析、社会動向分析、業績分析、競合分析、他

このようにマーケティングリサーチは、製品開発から戦略策定まで、さまざまなマーケティング領域において多様な分析データを提供し、企業の意思決定をサポートするツールとして活用されています。



次回は、マーケティングリサーチの基本的な考え方について述べたいと思います。



取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社

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