マス広告を使い、大衆全般に訴求することが非効率な時代に

ウェブサイトにおける消費者のパーチェスファネルの図

ウェブサイトにおける消費者のパーチェスファネルの図
※各段階を経て、見込客は「ファネル=じょうご」型に減退します。

前編で述べてきたように、実際の店舗でもEコマースでも、購買プロセスの各段階で次第に見込客は漸減していくのが通常です。例えば、初期の時点で100人の認知があったとしても徐々に減少していき、最終的には10人が購入し、3人のリピーターを確保できる程度だと思われます。これらの流れは、右図のパーチェスファネル(購買じょうご)の図として表わすことができます。

これまでのマーケティング戦略では、認知にお金をかけて来店数を増やすことが、試着や試乗にもつながるため、とにかく「認知is King」とマス広告を重視してきました。しかし、こうした考えも過去のものになりつつあります。というのは、1980年代以降、消費者の価値の多元化・相対化が進んで、「いつかはクラウン」的な発想に共感を示す人は少なくなってきたからです。「僕はポルシェが欲しい」「僕はマーチでいいよ」など、いろいろな考え方を持つ人が現れているのが今日の消費者像だと言えます。

ですから、いくらテレビCMを打って認知を上げても、今、車自体に興味のない若者も増えてしまい、最終的に購買・リピーターとなる人数を増やすことはできません。つまりマス広告を使って、マス(大衆)全般に訴求することは非効率な時代になったと言えるでしょう。



ウェブサイトは、購入しようかどうか考えている人の背中を一押しできる

ウェブサイトにおける消費者のパーチェスファネルの図

ウェブサイトにおける消費者のパーチェスファネルの図
※各段階を経ても、見込み客の急速な減退はありません。

それに対して、ウェブサイトの場合は、マス広告に比べて費用もかからないうえ、購買プロセスにおける見込客の減退に歯止めをかけられます。ウェブサイトの場合は、認知というよりも途中段階、つまりモノを購入しようかどうか判断する時点で投下するのが最も効果的だと言えます。

まだインターネットが普及していなかった時代は、車を購入する際、テレビCMや新聞広告のイメージを参考にしながら、休日にカーディーラー回りを行い、もらってきたカタログをもとに仕様や価格などの詳細情報を検討し、最終的に絞り込んだ車種に試乗したうえで購入していました。

ところが、インターネットが普及してからは、検索サイトに車の名前を入力し、その車のウェブサイトにアクセスすれば、動画コンテンツなどで実物に近いイメージを体験でき、詳細情報も簡単に手に入れることが可能です。さらに近場のディーラーを紹介してもらえるので、「それじゃあ行ってみようか」と気軽に試乗キャンペーンに参加することも可能です。しかも、これらをすべて自宅のパソコンから可能になるのでユーザビリティ(使い勝手)もバツグンに良いのです。

テレビCMで何十億円と使っていた媒体予算の一部を振り分け、ウェブサイトをリッチなものにしたとしても、その制作費は数千万円が限度です。巨額な費用がかかるテレビ広告予算を削減できるだけでなく、消費者の背中を一押しすることにより、最終的な購買者数も確保できると思います。



消費者は、企業が考える以上にインターネットに接している。

いずれにしろ、マスマーケティングには限界が見えているのですから、今後はセグメント分析をしっかり行い消費者に訴求していくことが重要になってきます。また、パーチェスファネルの各プロセスをしっかり把握して、どこに力点ポイントを置くかを再検討することも同時に重要だと言えます。

「消費者がメディアに接する時間」と「企業のマーケティング支出」の差分
テレビ新聞雑誌ラジオインターネット
消費者がメディアに接する時間
46%
7%
5%
21%
21%
企業のマーケティング支出
45%
20%
21%
8%
6%
差分
-1%
13%
16%
-13%
-15%

ところで、消費者がメディアに接する時間と企業のマーケティング支出の割合に関するデータがあるのでここで紹介します。これを見ると、消費者がテレビを見ている時間は全体の46%、新聞7%、雑誌5%、ラジオ21%、インターネット21%となっています。一方、企業が投下しているマーケティング支出割合は、テレビ45%、新聞20%、雑誌21%、ラジオ8%、インターネット6%なのです。

これらのデータから見えてくるのは、消費者がテレビを見ているのは、メディアに接する全時間の46%で、テレビCMに対する企業のマーケティング支出の割合は全体の45%となり、ほぼ同率となっていること、それに対して、全時間の21%を占めているインターネットには、マーケティング支出の6%しか使われていないという実態とのギャップです。マーケティングROIの観点からすると、インターネットに対して、今以上にお金をかければさらに高い効果を期待できると思います。



ウェブサイトの中でEコマースは最もその特性が発揮できる分野

ウェブサイトは、一方通行型のマス広告とは異なり、インタラクティブ(双方向)という特徴があります。また、マス広告では、視聴率によってどのくらいの人が接触したかが測れ、例えば、主婦層がテレビを多く視聴する時間帯では30代、40代、50代はそれぞれ約何人がCMに接触しているかわかると言われますが、それらは推定に過ぎません。

一方で、ウェブサイトの場合、何か情報を流した時にユーザーが見たのかどうか、そのページに進んだのかどうか、それは何時何分で、何秒間なのかをログ解析を行うことで、確定することができます。そう考えると、インタラクティブなメディアにお金をかける重要性がわかると思います。

こうしたウェブサイトには、ホームページやキャンペーンサイト、バナー広告などのいくつかのカテゴリーがありますが、中でもEコマースはその真骨頂だと言えます。というのは、興味や関心を持ち、意図・試行まで進んでもらった消費者の背中をポンと押した瞬間に、一気に購入まで導くことができるからです。ウェブサイトの中でEコマースはその特性も最も有効に発揮できるパワフルな存在だと言えるでしょう。



次回以降は、こうしたEコマースサイトで多くの人が陥りやすい問題点を指摘するとともに、どうしたら確実に購買まで進んでもらえるユーザビリティのよい仕組みを構築できるかについて述べてみたいと思います。



取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社



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