中国で実施されたインターネット調査に再現性はあるのか?

前回までのレポートでは、日本国内に居ながらにして現地の消費者ニーズを低コストで調べられるインターネット調査の利用が中国でも広がっていく可能性は大いにあるということを述べてきました。

そこで、今回のレポートでは、今年の3?4月にかけて、品質検証を目的に実際に中国で行ったインターネット調査の結果を通じて、

1.パネル規模-ネットの普及による必要サンプル数の確保-?

2.国民性-回答者の意識の変化-?

3.再現性-リサーチの質の確保-?

という前回述べたインターネット調査の成立条件のうち、特に「再現性」という質的な要件が確保されているのかを検証してみたいと思います。

今回の中国でのインターネット調査は、GMOリサーチ株式会社が提携している中国現地パネルを使用して実施したものです。この調査の主な目的は、その提携企業の調査パネルに登録している中国在住の男女を調査対象とし、マーケティングリサーチ分野の品質検証において、最も重要な「調査結果の再現性」を確認することでした。

ここで言う「調査結果の再現性」とは、同じ調査を繰り返し実施する際に、同じ手順を繰り返して調査を実施することができるか、それらの得られたデータは誰が見ても同じ理解ができるかという、マーケティングリサーチでは必須の要件のことです。

その再現性を確認するために、今回の中国でのインターネット調査は、調査パネルを2つのグループに分けて、同一設問に対して同時期に2つのグループから回答を得ました。回収サンプル数は、グループ1、グループ2ともにN=400となっており、再現性の判定を容易にするために、

1.「婚姻状況」「職業」「世帯年収」などの属性に関する設問

2.「保有携帯電話」「保有自動車」「使用化粧品」「保有家電製品」などの事実に関する設問

3.「生活の不安や悩み」、「諸外国に対する好感度」などの態度や考えに関する設問

に分けて調査を実施しました。




実際の調査結果から認められる中国でのインターネット調査の高い再現性-その1

1.「婚姻状況」「職業」「世帯年収」など属性に関する設問への回答傾向について

図1 「婚姻状況」のリサーチ結果

図1 「婚姻状況」のリサーチ結果


図2 「職業」のリサーチ結果

図2 「職業」のリサーチ結果


図3 「世帯年収」のリサーチ結果

図3 「世帯年収」のリサーチ結果

まず、「婚姻状況」、「職業」、「世帯年収」などの回収サンプルの属性に関する調査結果を見ていきましょう。お断りしておきますが、未・既婚の比率や各職業の比率をあらかじめ決めてからデータを回収したわけではありません。

世帯年収を含め、2つのグループともに自然出現した調査結果です。未・既婚の比率や、それぞれの職業の分布を見ても、グループ1とグループ2の間に大きな差は見られませんでした。

詳しく見ていくと、グループ1の未婚の子供無しが全体の41%、既婚の子供有りが同じく全体の54%、それに対して、グループ2の未婚の子供無しが39%、既婚の子供有りが56%となっています。

職業では、会社員の比率は、グループ1が全体の38%に対し、グループ2が全体の37%、学生の比率は、グループ1とグループ2ともに24%となっています。

おそらく、これらの調査結果は、パネル登録者全体の代表性を示しているものと思われます。また、世帯年収においては、最も構成比の高かった「100,000元~150,000元」の範囲において、グループ1とグループ2の間に僅かに差が見られましたが、全体的に大きな差は見られませんでした。


2.「保有携帯電話」「保有自動車」「使用化粧品」「保有家電製品」などの事実に関する設問への回答傾向について

図4「保有携帯電話」のリサーチ結果

図4「保有携帯電話」のリサーチ結果


図5「保有自動車」のリサーチ結果

図5「保有自動車」のリサーチ結果


図6「使用化粧品」のリサーチ結果

図6「使用化粧品」のリサーチ結果


図7「保有家電製品」のリサーチ結果

図7「保有家電製品」のリサーチ結果

これら回答サンプルの属性が自然出現の調査結果として再現されることは、マーケティングリサーチの分野では非常に重要なことです。

なぜなら、これらの属性は、他の設問である「携帯電話」、「自動車」、「化粧品」、「家電製品」の保有/使用状況との間に高い相関関係が見られるからです。

結果として、「保有携帯電話」、「保有自動車」、「使用化粧品」、「保有家電製品」の調査結果においても、グループ1とグループ2の間に大きな差は見られませんでした。

こちらも詳しく見ていきましょう。はじめに携帯電話の保有状況です。チャイナモバイルの保有者が最も高い構成比を示しており、グループ1で全体の86%、一方、グループ2では全体の88%でした。

自動車の保有状況では、フォルクスワーゲンの保有率において、グループ1が18%、グループ2が12%となっており、若干の差が認められましたが、ホンダ、トヨタ、ビュイック、アウディ、フォード、ヒュンダイの保有率では、グループ1とグループ2の間に差は見られませんでした。

化粧品の使用状況では、グループ1、グループ2ともに、洗顔料、乳液、クリーム、化粧水の順に使用率が高く、その他の製品の使用率も総じてグループ間に差は見られておりません。家電製品の保有状況においても同様の結果となっております。



取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社

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