Scanadesignのサービス紹介

■デザイン評価に対して、高い親和性を持つScanamind
Scanadesignは、Scanamindの持つ「ありのままの概念構造を可視化」できるという優位性をそのまま受け継ぎ、視覚情報(画像)を取り込んでデザイン評価、クリエイティブ評価に活用することを目的としています。

ここで言う「ありのまま」とは、次の2点を指しています。

①調査対象者みずから言葉を挙げてもらうため、調査設計に伴うリサーチャーのバイアスを受けない「ありのまま」の個別概念が抽出できること。

挙げられた個別概念相互の関係性が、量子数理を用いることにより「ありのまま」に可視化されること。

Scanamindはリサーチャーのバイアスを徹底的に排除するため、「トヨタ」と「TOYOTA」など、調査対象者によって挙げられた、一見似ているものの若干ニュアンスが異なる言葉を統合することはありません。また、ある種の回答傾向を生み出すことを意図して調査設計を行うなど、リサーチャーがアウトプット作成に関わるようなこともありません(図1)。だからこそ調査対象者全員の「ありのまま」の概念構造が可視化できるのです。

図1 リサーチャーのバイアスを排除したScanamind

図1 リサーチャーのバイアスを排除したScanamind


デザイン評価やクリエイティブ評価において、バイアスがかからない結果が得られることは非常に重要だと言えます。なぜなら、調査対象者はデザインに対する自分の考えや感じたことを具体的に説明することに慣れていないからです。例えば、「パッケージの色」に関する質問で「赤が好き」と答えた人にその理由を尋ねると、「なんとなく」に過ぎなかったりなど、デザイン評価では説明が表層的だったり言葉が足りなかったりすることがしばしばあります。

こうした問題点を補うために、「高級感」や「店頭で目立つ」といったクライアントが評価したいテーマを調査項目に入れるなど、従来の調査手法ではリサーチャーが調査設計をコントロールしたり、得られた情報を、分析者が主観によって構造化したりしていました。そのため、その過程でどうしても一定のバイアスが生じてしまう危険性を排除できなかったのです。

私たちは、こうした大きな課題を解決する方法としてScanadesignの活用を提案します。



■Scanamindを拡張し、画像の利用を可能にしたScanadesign
Scanamindでは、調査対象者自身が自由に言葉を挙げたうえで、すべての言葉同士の関係性を4段階で評価し、その結果をもとに概念構造マップが生成されます。一方、Scanadesignは、調査対象者が挙げた言葉に、リサーチャーが提示する写真やイラストなどの画像データを加えて、それらの関係性を評価することにより、画像と言葉を混在させた概念構造マップを生成することができます。




Scanadesignの調査の流れ

次のような具体的な事例を通じて、Scanadesignの調査の流れを紹介します。

2-1.調査設計概要
◆株式会社クリエイティブ・ブレインズ自主調査◆
[1]目的:バッグのデザインのイメージ構造の可視化(マッピング)
[2]調査時期:2012年5月14~15日
[3]調査対象:GMOリサーチ保有オンラインパネルinfoQ(日本国内 女性のみ20~59歳)
[4]有効回答数:2,313件
[5]調査方法:以下の「調査の流れ」を参照

調査の流れ


2-2.調査の流れ
調査の流れは次のようになります。
調査対象となるバッグの画像をリサーチャーが準備し、調査対象者に好きなバッグを選択してもらいます。

仮説を持たず、すべての色、形、種別を含んだバッグの画像200個を著作権付画像ストック提供会社のサイトから購入します。

▲最初に、選択の対象となるバッグの画像を準備します。仮説を持たず、すべての色、形、種別を含んだバッグの画像200個を著作権付画像ストック提供会社のサイトから購入します。


ランダムに36個をピックアップし、そのうち6個ずつを6回に分けて表示し、各回で「一番好きなバッグ」を1個ずつ選択してもらいます。

▲この画像から最終的に「好きなバッグ」を各自が3個選択してもらうようにシステムを構築します。まず、ランダムに36個をピックアップし、そのうち6個ずつを6回に分けて表示し、各回で「一番好きなバッグ」を1個ずつ選択してもらいます。


バッグの画像を心の中のイメージに転化する「表象化」

▲続いて、現在選ばれている6個の中から二者択一で3個を選択してもらいます。この結果として36個から3個が選択されたことになります。


ここまでのステップの目的は、人気のあるバッグを知りたいのではなく、バッグの画像を心の中のイメージに転化する「表象化」にあります。表象化については、「3.表象化について」で簡単に解説します。

自分の好みのバッグの「素材」「色」「雰囲気」「こだわり」などについて、思いつく12個の言葉をランダムに列挙してもらいます

▲次に、Scanamind同様、自分の好みのバッグの「素材」「色」「雰囲気」「こだわり」などについて、思いつく12個の言葉をランダムに列挙してもらいます。


列挙してもらった12項目+最初に選択した3個のバッグの画像の計15項目のうち2項目ずつを取り上げ、その関係性について調査対象者に4段階で評価してもらいます

▲列挙してもらった12項目+最初に選択した3個のバッグの画像の計15項目のうち2項目ずつを取り上げ、その関係性について調査対象者に4段階で評価してもらいます。このケースでは、15C2=15×14/2=105通りの設問が設けられますが、調査対象者は、1問につき2秒以内で回答してもらうことが望ましいことも推奨されます。




2-3.アウトプット

アウトプット

アウトプットは、Scanamindと同様の概念構造を可視化したマッピング図になります(図2)。この図にプロットされた言葉や画像の位置関係を通じて、バッグの「色」「形」「機能」「情緒」「素材」などに対する、約2,300名の女性の持つ認識の構造が明らかになりました。また、バッグに対して、消費者は、このように複数の異なる基準から無意識にそのデザインの価値を判断していることも推察できると思います。

Scanadesignは画像を用いることによって、調査対象者の感性や価値観を具体化することが可能になります。画像を活用することによって表現の曖昧さがなくなり、「たとえば○○」というイメージを画像で示すことができるのです。

そもそも自分が考える「高級感のあるバッグ」というイメージを言葉で具体的に説明するのは難しいことです。そこで、多くの言葉を連ねるより、「これが高級感のあるデザイン」と画像で示した方がよりイメージを伝えやすくなります。その点、Scanadesignは、画像と言葉を用いた概念構造マップがアウトプットされるため、デザインに対する感性や価値観をより豊かに、より的確に表現することが可能になるのです。

また、概念構造マップは、概念の位置関係から近い価値観、遠い価値観を同時に把握することができます。今回の、バッグについての自主調査の例(図3)では、「きれい」と「シンプル・上品」、「シンプル・上品」と「大人・高級」がそれぞれ近い価値観で、「かわいい」と「丈夫」「革」、「大容量」と「シンプル・上品」が遠い価値観としてプロットされています。そこで、各々のイメージに近いものや遠いものはどんなデザインのバッグなのかを画像を通じて具体的に理解できると思います。

図3 概念構造マップからわかる近い概念、遠い概念の把握

図3 概念構造マップからわかる近い概念、遠い概念の把握




表象化について

Scanadesignは、言葉や画像の関係性を評価する前の段階で、調査対象者に多くの画像を提示して好きなものを選択してもらうプロセスを経るのが大きな特徴だと言えます(「2-2.調査の流れ」の3および4)。これこそが、Scanadesignを用いた調査における不可欠なプロセスであり、表象化と呼ばれる人体の情報処理機能とも深く結び付いているのです。


3-1.表象とは
表象とはあるものを表すシンボル、表記、記号のことであり、人が物体を認知する過程で心の中に形成するイメージのことです。認知心理学では特に内的表象(心的表象)と呼ばれています。つまり表象とは、ある物体を見たり言葉を聞いたりした後、それらを心の中のイメージに転化することだと言えるでしょう。

ただし、同一の情報でも人によって表象は異なり、「りんご」という同一の言語情報を与えられても、心にパッと思い浮かぶ表象はその人のりんごに基づく過去の記憶や経験に応じてさまざまです(図4)。今回の調査のように約2,300人もの調査対象者に聞くと、一見すると表現は似ていても微妙にニュアンスの異なるさまざまな言葉情報が挙げられることになります。

図4 人によって異なる表象

図4 人によって異なる表象


3-2.Scanadesignにおける表象化の必要性
ScanamindとScanadesignの双方とも、自分が挙げた言葉や画像の関係性を評価する時、人間の無意識を抽出するために2秒以内の回答を推奨しています。

こうした瞬間的な判断が可能になるのは、調査対象者が回答する対象物についての表象化(心の中のイメージに転化)を完了しているからです。それに対して、表象化が完了していない情報を与えられた場合は、人は瞬間的な判断ができないと言われています。

したがって、Scanadesignを使った調査では、多くの画像の中から好きなものを選択してもらうプロセスを経て、調査対象者が無意識のうちに表象化を完了できる仕組みが組み込まれていると言えるでしょう。



まとめ

今回のまとめは、次の3点です。

1. Scanamindの拡張版であるScanadesignは、言葉のほかにリサーチャーが提示する写真やイラストなどの画像データを含めて「ありのまま」の概念構造を可視化できる。

2. Scanadesignではリサーチャーが画像を提示する際に、画像を「表象」と呼ばれる心の中のイメージに転化させる「表象化」作業を、調査対象者が意識しないうちに終了させる仕組みを導入している。

3. 調査対象者が言葉で表現しにくい感性の世界を、画像データを用いた「ありのまま」の概念構造として可視化できる仕組みを持つScanadesignは、デザインやクリエイティブ評価に適した調査手法である。




次回は、「3.表象化について」で触れた「画像情報の表象化プロセス」について詳しく解説します。



※「Scanamind」に関わる技術は株式会社クリエイティブ・ブレインズが特許法に基づく特許権を取得しています(特許第3335602号,特許3278415号,特許3417941号,特許3638943号,特許4824837号)。
米国・ドイツ・フランス・英国でも同社の特許権が成立しています。
※「Scanamind」は株式会社クリエイティブ・ブレインズの登録商標です(登録番号第5109952号)。また世界主要35カ国における同社の登録商標です(国際登録第1131308号)。
※「Scanamind」公式サイト
http://www.scanamind.jp/