ユーザビリティ上の問題点1:非常に長いトップページの縦スクロール

まず、このトップページは、ノートPCでみると16ページ分もある縦スクロールの長いレイアウトになっていることが注目できます。こうしたウェブサイトの長さは、国によっても異なっていて、ユーザビリティを意識している日本やドイツなど先進国では短く作られているようですが、まだそこまで考えが及んでいない中国などでは長くなる傾向にあるようです。

こうした数あるウェブサイトの中、最も高度なユーザビリティを備えているのが、Yahoo!JAPANといったポータルサイトで、何万というコンテンツを2ページ半くらいに集約し、そこから枝葉のサイトにリンクさせています。ユーザーがまずポータルサイトにアクセスさえすれば、旅行、オークション、メール、地図、路線案内など、あらゆるコンテンツにたどりつけるわけですから、ユーザビリティの極みがここにあると言えます。

それに対して、この「作業管理.com」のトップページは縦スクロールが長く、16ページ分もあるので、それだけで迷ってしまう人がでてきてしまいます。そこで、まずはトップページを2ページ程度にまとめ、枝葉の情報を想定できそうな幹の情報だけを載せるなど、ページ構成を考え直す必要があると思われます。

実際に、被験者にこのウェブサイトを閲覧してもらった調査によると、59%が「分かりづらい」、47%が「縦スクロールが長い」「情報が多い」と回答し、長いページを解読することに注力するあまり、商品名、会社名、価格を正確に回答できた被験者はいなかったという結果になりました。




ユーザビリティ上の問題点2:上部のコピーラインが重複し、長い

ウェブサイトにおける消費者のパーチェスファネルの図

ウェブサイトにおける消費者のパーチェスファネルの図
※各段階を経て、見込客は「ファネル=じょうご」型に減退します。

ユーザーが最初に目を留めるトップページの上部に、同じような意味合いのコピーが二重、三重に重複して掲載され、いわゆるキャッチコピー、サブコピー、ボディーコピーといった論理構成になっていないため、同じようなフレーズばかりで、“もやもや”とした不満感ばかりが高まります。

ユーザーからすると、全体としてどんなコンテンツがあるのかをざっと把握したうえで、目的の場所へすぐに向かいたいと思っているはずです。その目的とは、100人も統計をとれば、明らかになってくるはずですが、おそらく「製品情報」「動作環境」「体験版のダウンロード」などでしょう。パーチェスファネルにおける「考慮」や「選好」のプロセスに結びつくような情報を徐々に提供していくことが大事なのではと思われます。




ユーザビリティ上の問題点3:ハイパーリンクを想起させる動きがあり、混乱する

ユーザビリティ上の問題点3の図

トップページ中部の「画面スナップショット」の説明箇所では、カーソルを走らせた瞬間にボタンの色が変化するハイパーリンク(指定範囲をクリックすると関連ページへジャンプするしくみ)を想起させるような動きが見受けられます。しかし、実際には、別のページへのリンクはなく、ページ構成として、期待外れの結果になってしまいます。

特に日本人の場合、いろいろなウェブサイトの機能に慣れているので、自分の期待値以下のものに出会うと、落胆してストレスを感じてしまうのです。その結果、信頼感が損なわれて、別のウェブサイトにジャンプしてしまうことになるので、こうしたマイナス面を一つ一つ丹念に摘み取っておくことも、成功するウェブサイトをつくるための重要な要素だと言えるでしょう




ユーザビリティ上の問題点4:ナビゲーションバーの不統一感

ユーザビリティ上の問題点4の図

ユーザビリティ上の問題点4の図

トップページの上部にあるナビゲーションボタン(「よくあるご質問」「お客様の声」「ニュース」「製品デモ」など)を実際にクリックしてみると、新しいウィンドウがポップアップしたり、新しいタブで開かれたり、同じページで推移したりと、それぞれ反応が異なっています。ユーザーは予想外の動きに戸惑ってしまい、ストレスを感じてしまうので、これらを統一する必要があると思われます。

また、トップページから、各リンク先ページまでの全体の構造化を通じて、[ホーム]→[製品情報]→[作業管理.com]など階層順位を記述した「パンくずリスト(ブレッドクラム)」をページの上部につけることをお勧めします。そうすることで、今、ユーザーが全体のページマップの中でどこにいるかを直感的に認識でき、さらなるユーザビリティ向上が可能になるはずです。




ユーザビリティ上の問題点5:作業管理.com と他のバナーの相関性

ユーザビリティ上の問題点5の図

ユーザビリティ上の問題点5の図

トップページの一番上にある「フォレンジック法律コンサル」などのバナーについては、クライアントが提供するサービスだと思われますが、「作業管理.com」との相関性がないだけでなく、ユーザーの目線が行きやすいスぺースに多くの情報が掲示されていることは、メインとなる製品自体の訴求力を阻害する要因となっています。

というのは、実際の店舗でアイトラッキングを利用した調査を行うと、壁に商品ポスターが何点も貼られて壁面が埋め尽くされている場合、来店客はそのいずれも見ていないという結果が出ています。それとは反対に、白い壁というホワイトスペースを生かして、一番売りたい商品のポスター1点だけを貼ったほうが、注目度を上げ購買を押し上げることができるのです。つまり、欲張って数点を掲示して、アピール効果を無にしてしまうよりは、周囲をスッキリさせて1点だけは確実に獲得するようにした方がマーケティング上、賢いやり方だと言えるでしょう。

実際の調査においても、上部のバナーは読み飛ばされていて、記憶に残った人はいなかったという結果ができていますので、この上部はホワイトスペースにして、「作業管理.com」だけに目線がいくようにしたほうが、製品への注目度を高めるうえでずっと有効だと言えるでしょう。



取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社

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