マーケティングリサーチには、「定量調査」と「定性調査」の2つがある

これまでのレポートでは、インターネット調査を中心に、マーケティングリサーチの基本や調査企画を考えるうえで重要なポイントについて解説してきました。調査を通じて課題解決につながる有効な結果を導くためには適切な調査手法を選ぶことが重要ですが、今回のレポートでは、そもそもマーケティングリサーチを含む調査手法には、どのような種類/タイプがあるかについて述べていきたいと思います。

まず、マーケティングリサーチは、データ・情報取得手段という観点から見ると、「定量調査」と「定性調査」の2つに大きく分けることができます。


定量調査とは?
定量調査とは、量的調査とも呼ばれています。いわゆる「アンケート調査」のようなものだと思ってもらえばイメージしやすいかと思います。

<主な特徴>
・予め定められた質問文に対する対象者の回答を一定の形式で計測・計量する。
・すべての対象者に対して全く同じ質問の仕方で回答を求め、回答も所定の項目の中から選択させる。
・調査結果として得られる情報を統計数字として表現する。【例:「現行製品に対して、全体の60%が継続購入意向を示した」など】
・多くの人数を調査対象として、それらの対象者が母集団の代表性を持つことが重要である。
・母集団の代表性を保つように標本抽出すれば、調査結果から母集団を推定することが可能である。
・仮説(マーケティング要因から類推した問題解決への手がかり)の検証に最適である。


定性調査とは?
定性調査とは質的調査とも呼ばれ、数値・データよりも回答の内容・中味が重視されます。いわゆる「インタビュー」だと思ってもらえばイメージしやすいかと思います。

<主な特徴>
・質問項目は予め定められているが、調査対象者に自由に発言してもらい、インタビュアーは話が主題からあまりそれないように、時には口をはさむ方法である。
・調査結果は数字ではなく、言葉で表現される。【例:「対象者は新製品に対して高い購入意向を示した」など】
・各人に対する質問・回答が一定ではなく、比較的自由な形式をとっており、結果を定量化できない。
・定量調査に比べ、対象者はあまり多くなくてよい。
・問題の発見や認識構造の理解、大規模な定量調査を設計するための手がかりに役立つ。
・仮説の設定に最適である。



定量調査の手法は4つ、定性調査の手法は2つに分類できる

その時の内閣支持率や総理大臣に相応しい政治家は?などでお馴染みの新聞社が行う世論調査に使用される「定量調査」ですが、さらに細かく分類すると4つの手法があります。ただ、次に挙げた電話調査や郵送調査の多くは、マーケティングリサーチの分野ではインターネット調査に移行しているようです。


定量調査の4つの手法とは
1. 訪問面接調査
実際に調査員が自宅まで訪問し、玄関先などで調査票をもとに1対1で対象者から回答を聞き取っていく調査手法です。データの信頼性を高くするには、標本抽出がキーポイントになります。代表性・信頼性は最も高い反面、コストと時間がかかるのが難点だと言われています。

2. 電話調査
比較的短期間に安価にできる調査。訪問面接調査に比べ、対象者の居住地域が分散している場合に適しています。ただ、昼間の在宅率の低下や携帯電話の普及により、調査対象者へのアクセスが難しくなっていることや、一回の調査時間が15分程度なので、情報量が限られるなどの難点があります。

3. 郵送調査
全国にユーザーが分散しているなど広いエリアで行う際に向いている調査。対象者自らが記入する自記式法のためコストも安く上がりますが、常に調査対象リストの更新が必要であったり、調査票の回収までに、思いのほか時間がかかるという難点があります。

4. 会場調査・集合調査
広告制作物やパッケージなど、調査対象者に評価してもらう提示物を多く使用する際などに適した調査。インスタント食品の試食や、実際に新車を用意して対象者に評価してもらうようなケースもあります。事前に対象者をリクルートする場合には、交通費や高額の謝礼なども必要となりコストは割高となるため、調査員が通行人に声をかけて会場へ誘導するストリートキャッチなどもよく行われています(許諾されたエリア限定)。


定性調査の2つの手法とは?
1. インデプスインタビュー
インタビュアーと調査対象者の1対1で行うインタビュー形式です。普段どのように製品を使用し、満足度はどうかなど、製品に対する消費者の認識の構造を明らかにする場合などに多く用いられます。30分?1時間かけてじっくり話を聞き出すので1回あたりの情報量が多いのが特徴で、集団の中でははばかる内容や見栄をはるようなテーマの時にも有効だと言われています。ただ、定性調査なので代表性は認められません。


2. グループインタビュー
6~8人くらいのメンバーで2時間程度の座談会形式で行われるのが標準的で、終了時にはテーマに対する何らかの答えを得られるために、結論を得るのに早いのが特徴です。ただ、代表性は認められず、一人あたりの発言は20分程度と情報量が少ない傾向があります。短期間に方向性を決定したい時、定量調査のための質問項目作成や仮説の設定を行う場合に適しています。




マーケティング・プロセス別の調査の種類について

図1 マーケティング・プロセス別の調査の種類

図1 マーケティング・プロセス別の調査の種類


次に、製品開発から販売後の評価まで、マーケティング・プロセスに応じた用途別の調査は以下のようなものがあります。マーケティングリサーチとは、製品を売り出すためのマーケティング戦略のあらゆる段階をサポートする手法だということがお分かりいただけるのではと思います。

1. 市場機会の識別/確認→市場分析、社会動向分析、業績分析、競合分析、利用実態調査、ブランドイメージ調査、消費者行動分析、ライフスタイル分析、市場細分化分析 など

2. 製品アイデアの設計→アイデア開発、製品ベネフィット調査 など

3. 製品開発→製品テスト、パッケージテスト、ネーミングテスト など

4. 製品コンセプト開発→製品コンセプトテスト、価格受容性調査、流通受容性調査 など

5. 広告コンセプト開発→広告コンセプトテスト、広告コピーテスト、広告テスト など

6. 最終「製品」開発→需要予測、販売予測 など

7. 販売実績分析:小売店/消費者→顧客満足度調査、新製品追跡調査、流通経路調査、小売店調査、販売店パネル調査 など



その他の調査の分類方法について

図2 その他の調査の分類方法

図2 その他の調査の分類方法


最後に、マーケティングリサーチを含む調査全般の分類方法として、1.調査対象者、2.調査主体/標本(サンプル)、3.調査目的/内容、4.調査地域という観点から以下のようなものがあります。

1.調査対象による分類
消費者調査、企業調査、小売店・販売店調査、専門家(学者、有識者など)調査などがあります。

2.調査主体/標本(サンプル)による分類
オムニバス調査とは、複数の調査データ購入者を募集して同一の調査に相乗りさせて実施するもので、パネル調査とは事前に依頼した協力者グループ(消費者、小売店など)に調査する方法です。インターネット調査はこのパネル調査の手法を用いて行われています。

3.調査目的/内容による分類別
社会調査には、世論調査、意識調査、実態調査、ニーズ調査などがあり、官公庁や地方自治体が主に実施しています。

4.調査地域による分類
企業の特定国への海外進出に伴う調査を行う国際調査があり、言語や文化・慣習の違いに留意することが重要です。



次回は、マーケティングリサーチの調査票の考え方について述べたいと思います。




取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社

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