インターネット調査の優位性とは?

前回のレポートでは、マーケティングにおけるマーケティングリサーチの位置付けや目的・機能・領域について述べましたが、今回は、まず、このマーケティングリサーチの一つであるインターネット調査の特徴について述べたいと思います。

インターネット調査が持つ特徴の優位性としては、以下を挙げることができます。

・低価格である
・調査期間が短い
・回収データの加工や集計が速い(データを即電子ファイル化できる)
・調査対象者が回答する際に操作的なコントロールが可能である(性別・年代などの割付、質問項目のランダマイズ、動画提示など)
・広域または点在する地域での調査や大規模サンプルの回収が可能である
・出現率の低い調査対象者の回収が容易である
・他の自記式調査に比べ、自由回答の記入率が高い

マーケティングリサーチや世論調査など、一般的な定量調査では、母集団のすべてを調べるのはコストと手間が膨大にかかることもあり、「母集団(もとの集団)」から選ばれた「標本(サンプル)」を対象として調査を行っています。

ただ、現時点のインターネット調査は、「調査対象者がインターネット利用者のみであることはもちろん、特定の調査パネルに登録しており、調査に積極的に答えたいという意志をもつ人の回答であること」「報酬目当ても多い」「設定された対象者条件へのなりすましを100%確認できない」などの課題も抱えておりますが、調査対象や調査目的によっては、他の調査手法に比べて有効利用が可能です。

このように手軽に低価格で実施できるインターネット調査の活用を考えるうえで、マーケティングリサーチの基本的な考え方を知ることはとても重要ですので、それらについて解説していきたいと思います。




マーケティングリサーチが備えるべき3つの基本要因とは?

図1 調査が備えるべき要因

図1 調査が備えるべき要因


一般に、マーケティングリサーチ(主に定量調査)が備えるべき要因としては以下が挙げられます。まず、この基本要因の3つについて解説します。

代表性
調査対象となる母集団から、ある方法により抽出された一部の対象者に調査を行った時、調査結果が母集団を反映しているということが認められた場合、その調査結果には「代表性」があると言えます。そのため、例えば、母集団から標本(サンプル)を抽出する場合、母集団全体の男女比や年代階層の比率なども母集団の構成比通りに抽出される必要があるなど、母集団の形を忠実に再現する必要があります。


信頼性
調査を行う際には、目標とする結果をめざして、質問項目の作成や回収されたデータの集計方法などの手続きが定められますが、その定めた方法・手続きが遵守されなければ、目的とするデータは上手く収集できません。そのため、方法・手続きをきちんと決めたうえで標準化し遵守することが、調査の「信頼性」につながってきます。


妥当性
調査においては、意図する目的に対して、質問文や選択肢が適切かどうかという「妥当性」が問題になってきます。例えば、例としてはあまり良くないかもしれませんが、わかりやすく言うと、「自家用車の所有状況」について調査する場合、自動車のメーカー名だけを聞くのか、車種やそのグレードまでを聞く質問をするのかを考える必要があります。この場合、単に全体的な傾向だけを知りたい場合は前者でもかまわないのですが、もっと細かい情報を知りたい場合は当然後者になります。このように、意図する目的に応じて妥当性は変化するのです。




定量調査が備えるべき機能で、最大のポイントは「再現性」

次に、マーケティングリサーチが備えるべき機能の中で最大のポイントとなるのが「再現性」です。

例えば、自家用車の所有状況の調査を行い、一年後にその変化を見たい時、適切かつ標準化された手順で標本の抽出が行われてないと、その推移に関する正しい調査結果は得られません。このように毎回同じ定義や手順のもとで調査対象となる人たちが抽出されているということが重要であり、それによって調査の「再現性」は実現されるのです。



標本抽出(サンプリング)の種類と方法とは?

国勢調査のようにすべての対象をくまなく調べる全数調査(悉皆調査)と異なり、マーケティングリサーチや世論調査などに幅広く利用されている標本調査は、無作為抽出法と有意選出法があります。無作為抽出法は、母集団から標本(サンプル)をランダムに抽出する方法で、確率論による「代表性」が保証されており、調査の客観性が高いというメリットがあります。また、有意抽出法とは、調査者の主観的な判断によって、母集団を代表すると思われるサンプルを抽出する方法で、無作為抽出法と比較すると客観性が低くなると言われています。

無作為抽出法とは

1.単純無作為抽出法
くじ引きのように主観を介在させずにランダム(無作為)にサンプルを抽出する方法

2.系統抽出法(等間隔抽出法)
母集団のサンプルを並べたリストから、サンプルを等間隔で機械的に抽出する方法

3.層別抽出法
母集団を男女構成比などの層に分けて、単純無作為抽出や系統抽出を行う方法

4.二段(多段)抽出法
母集団の地域が広い場合に利用。いくつかのエリアを抽出した後、さらにいくつかのエリアを選び出し、そこから無作為にサンプルを抽出する


有意選出法とは

1.割当法
性別・年代の比率などのサンプルの代表性を保つために、「性別×年代別」に対象者数を割り当てる方法

2.典型法
サンプルが母集団を代表するように、事前に特定の条件を設定しておき、それに従い選出する方法




定量調査は標本(サンプル)調査の結果から母集団の推定が可能

標本調査では、母集団を全部調べずに、その一部だけを抽出して調査するために、誤差はどうしても生じてきます。ただ、代表性を保つために無作為抽出法を用いてサンプルを抽出すると、「区間推定法」という方法によって、母集団を推定することができます。

「区間推定法」は、得られた結果(比率; %)に一定の幅を持たせ、例えば、ある回答結果が全体の50%を示した場合、「46%~54%の間にある」という言い方で、母集団を推定する方法です。この「46%~54%」を「信頼区間」と言い、信頼区間を2で割った値を「標本誤差」と言います。標本誤差の値が小さいほど精度が高くなります。

現在、インターネット調査は、こうした無作為抽出法とは異なる調査ですが、現在では、有用なマーケティングリサーチの手法として市民権を得ています。インターネット調査の得意分野である「出現率が低い調査対象を抽出できる」「調査エリアが遠距離/点在しても調査可能」「低予算/短期間」などのケースに利用していくなど、その用途に応じて他の調査手法と使い分けて実施することがインターネット調査の信頼性をより一層高めるために重要だと考えています。




次回は、マーケティングリサーチの企画設計について述べたいと思います。





取材協力:GMOクリエイターズネットワーク株式会社

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